第73回全日本剣道選手権大会・第64回全日本女子剣道選手権大会 2025──日本武道館で剣士たちが紡ぐ熱戦と物語
2025年11月3日、秋晴れの東京・日本武道館。剣道の日本一を決める夢舞台に、全国から選び抜かれた64名の男子剣士・64名の女子剣士が一堂に会しました。
本大会は男子第73回、女子第64回となり、毎年恒例でありながらも、その重みと緊張感は年ごとに増しています。
剣道最高の祭典──大会概要と特徴
- 開催日:2025年11月3日(月・祝)
- 会場:東京・日本武道館
- 参加者:男子64名、女子64名(各都道府県の厳しい予選を突破)
- 試合方式:5分間三本勝負、個人戦トーナメント(勝ち上がり6回で優勝)
本大会は男女同日開催。武道館には張り詰めた空気と剣士たちの静かな熱気が満ち、観戦席やライブ配信には多くの剣道ファンが詰めかけています。
注目選手――星野秀明・大駒素華、群馬勢の挑戦
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男子・星野秀明(5段・群馬県警)
星野選手は群馬県代表として数々の試合で力を発揮。警察官らしい厳格な基礎と、日々磨いた技術で大舞台でも平常心を崩しません。「この1本にかける」という思いが試合ごとに感じられ、武道館でも力強い剣道を展開しています。 -
女子・大駒素華(2段・伊勢崎市出身・明治大学)
明治大学所属の大駒選手は、群馬・伊勢崎で剣道の基礎を徹底的に叩き込まれ、大学進学後も各大会で頭角を現しています。「大学生での日本一」を目標に掲げ、この全日本選手権という頂点を目指し、持ち前の集中力と粘りで勝利を重ねます。
岡山からの新風――憧れの大舞台へ踏み出す若手剣士
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男子・鴨井(岡山県警)
初出場となる鴨井選手は、地方警察で鍛えながら全国の舞台に初めて臨みます。「岡山から全国へ」という気持ちを胸に、全力で一戦一戦を戦い抜きました。 -
女子・石田(関学大/西大寺高校出身)
岡山・西大寺高校から関西学院大学へ進み、初の全国選手権の場へ。地元への感謝と、今後の剣道人生の大きな節目として「一歩ずつ自分を試すつもり」で舞台に立ちました。
大会の進行と迫力ある試合の数々
試合はトーナメント形式。各剣士が5分間の三本勝負に挑みます。全国の猛者が「この1本」にすべてを賭ける緊張感の中、名勝負が次々と生まれました。
前回王者・竹ノ内(東京)、女子前回女王の近藤(東京)も再び登場し、昨年からの連続出場組も多く見られます。第1試合場から第4試合場まで、都道府県予選を突破した精鋭たちの戦いはライブ配信でも大きな反響を呼んでいます。
- 男子1回戦では神奈川の黒川、茨城の松﨑らが2回戦へ進出。
- 女子では静岡の山田が前回女王・近藤から勝利。
岡山の石田選手も笠(東京)との試合に臨みました。大駒選手は群馬県代表で渡邊(愛媛)との対戦など、地方剣士と強豪剣士の実力勝負が各所で展開。地方若手が全国舞台に初挑戦する姿も印象的です。
各地の熾烈な予選と代表選手たち
出場権を得るには、各都道府県での予選を勝ち抜かなければなりません。競技人口も多くレベルが高い関東・関西の予選は特に激戦で、経験・実力ともに高い剣士たちがしのぎを削ります。
大会当日は、全国から予選を勝ち抜いた代表が心技体のすべてを出し切れたか、自分への挑戦でもありました。
剣道の魅力と全日本選手権がもたらすもの
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日本が誇る武道の伝統を体現
剣道は単なる競技ではなく、礼儀や相手への敬意、そして自己鍛錬の厳しさを内包しています。全日本選手権大会は、剣道の「真」と「美」を全国に発信する最高峰の場です。 -
若手からベテランまで、多様な世代の剣士が集うテーマパーク
本大会はベテラン勢だけでなく、初出場の若手剣士も多いのが特徴。各世代のぶつかり合いが新たな剣道の歴史を刻んでいます。 -
武道館ライブ配信・速報で全国が注目
会場観戦だけでなく、インターネットやテレビでもリアルタイム配信され、剣道ファンが気になる試合をすぐにチェックできる環境が整いました。
具体的な試合模様――一戦一戦に込めた剣士たちの思い
男子1回戦で楠瀬(香川)と関川(北海道)が正面から激突。女子では鬼塚(千葉)vsキーファー(沖縄)、妹尾(福岡)vs西尾(高知)など、東西南北から現れた代表が剣を交えました。
一つ一つの勝負に、剣士の人生・意地・郷土の誇りが詰まっています。
試合後、剣士たちは深い礼を交わし、互いを讃え合います。敗者にも健闘を讃える声援が送られるのは、剣道ならではの美しい光景です。
剣道が育むもの――強さと優しさ、そして未来へ
剣道の全日本選手権は、ただ勝ち負けを競う場ではありません。技を磨き、人間力を高め、互いに切磋琢磨することで新しい自分へ成長し続ける舞台です。
大会を終えた剣士たちは、次の目標を掲げまた稽古の日々へ。地方の若手も、「憧れの舞台に立った」経験を自信に新しい挑戦に踏み出します。
武道館で繰り広げられた熱い戦いは、道場や学校、警察など全国の剣道界にも勇気と希望を与えました。
まとめ:2025年の剣道全日本選手権――技と心が響き合う「日本一」決定戦
全日本剣道選手権大会2025は、剣道を愛するすべての人にとって特別な一日となりました。
星野秀明・大駒素華をはじめ、各地代表の剣士たちが実力を出し切り、互いを讃え合う姿は、多くの人に感動と勇気を届けました。剣道の魅力は技の美しさだけではなく、「心の強さ」と「人としての成長」が根底にあります。
来年もまた、この武道館に全国の夢が集い、剣道の新たな歴史が刻まれることでしょう。



