フジテレビがF1日本国内独占放送・配信権を獲得 11年ぶりに地上波復活へ
フジテレビが、フォーミュラ1世界選手権（F1）の日本国内における独占放送・配信権を獲得し、2026年シーズンから2030年シーズンまでの5年間にわたり全戦をカバーすることが発表されました。 これにより、CS放送や動画配信サービスに加えて、地上波でのF1番組も11年ぶりに復活することになり、日本のF1ファンにとって大きな節目のニュースとなっています。
独占オールライツ契約の概要
今回フジテレビが締結したのは、日本国内におけるF1の「独占オールライツ契約」で、放送と配信の両方に関する権利を一括して保有する形となります。 契約期間は2026年から2030年までの5年間で、この間、日本国内でのF1公式中継はフジテレビ系列と同社が運営する配信サービスに一本化されます。
この契約によって、F1の全グランプリについて、フリー走行から予選、スプリント、決勝レースまで、すべてのセッションが日本向けに包括的に展開される体制が整うとされています。 放送と配信を一体の戦略として位置づけることで、視聴者の多様なライフスタイルに合わせた「選べる視聴環境」を整えるねらいがあります。
CSとFODで全戦ライブ中継
CSチャンネルの「フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」および配信の「フジテレビNEXTsmart」、そしてフジテレビの動画配信サービス「FOD」にて、全戦・全セッションがライブ中継・ライブ配信される予定です。 フリー走行、予選、スプリント予選・決勝、本戦決勝までをひとつも欠かさず視聴できる環境が用意されるため、これまで以上に細かい戦略や流れを追いかけることが可能になります。
- CS「フジテレビNEXT」での生中継に加え、スマートフォンやPCで視聴できる「フジテレビNEXTsmart」も対応する見込みです。
- 「FOD」では、ライブ配信に加えて、見逃し配信やオリジナルの関連コンテンツも提供される方針が示されています。
11年ぶりの地上波F1番組復活
今回の独占契約の大きなトピックのひとつが、フジテレビ地上波でのF1放送が約11年ぶりに復活する点です。 地上波では、年間最大5戦程度をダイジェスト番組として編成し、決勝のハイライトやシーズンの流れ、ドライバーに密着した企画などが放送される計画が伝えられています。
地上波放送の復活は、CSや配信サービスを契約していないライト層にもF1の魅力を届けることができるという意味で、国内人気再燃の起爆剤として位置づけられています。 深夜枠や特別番組など、編成面での工夫も検討されており、家族で楽しめるスポーツ番組としての側面も強化される見通しです。
「F1 TV」との連携でコンテンツ拡充
フジテレビの配信サービス「FOD」は、F1公式ストリーミングサービス「F1 TV」とも連携し、日本向けに「F1 TV Pro」および「F1 TV Premium」を展開することが決まっています。 これにより、公式オンボード映像やチームラジオ、詳細なライブデータ、舞台裏映像など、世界基準のデジタルコンテンツを日本語環境で楽しめるようになります。
「F1 TV」との連携は、フジテレビの中継を補完し、視聴者が自分だけの視聴体験をカスタマイズできる点が特徴です。 たとえば、気になるドライバーのオンボード映像を中心に追いながら、テレビ中継でレース全体の流れを見るなど、これまで以上に「観方」を自由に組み合わせられる環境が整えられます。
フジテレビとF1の長い歴史
フジテレビとF1の関係は、1987年に鈴鹿サーキットでF1日本グランプリが初開催された時期までさかのぼります。 以来、アイルトン・セナやアラン・プロストらの名勝負を通じて、日本のF1ブームを支え、モータースポーツ文化を広く伝えてきました。
2026年はフジテレビのF1中継開始からおよそ40年という節目にあたり、そのタイミングで国内独占契約が始まることは、双方にとって象徴的な出来事とされています。 F1側も、長年のパートナーシップを評価し、日本市場での成長をともに進めていく姿勢をコメントで示しています。
ファン向け番組・関連コンテンツも強化
フジテレビは、レース中継だけでなく、F1をより深く楽しめる周辺コンテンツも充実させる方針を打ち出しています。 CSおよびFODでは、従来からの人気番組「F1GPニュース」に加え、オフシーズンに1年を振り返る長時間の総集編番組や、過去の名レース・名場面を振り返る特別番組などの制作が予定されています。
こうした関連番組は、初心者にもレースの見どころや基本ルールをわかりやすく伝えるとともに、長年のファンにとっては懐かしいシーンを再び楽しめる場となります。 シーズン中は、最新ニュースやマシン開発のトピック、ドライバーのインタビューなども組み合わせ、情報番組的な役割も果たしていくことが期待されています。
社内「F1ブームアップ委員会」の発足
フジテレビは、今回の独占契約を機に、社内に「F1ブームアップ委員会」を立ち上げ、全社的にF1関連施策を推進していく体制を整えると明らかにしています。 放送局としてのリソースを横断的に活用し、スポーツ番組だけでなく情報番組やバラエティ、デジタル施策などを組み合わせることで、幅広い層にF1の魅力を届ける狙いがあります。
イベントやキャンペーン、コラボ企画なども検討されており、従来の「レースを中継するだけ」の枠を超えた総合的な展開が計画されています。 これにより、サーキットに足を運ぶ観戦スタイルと、自宅やモバイル端末で楽しむ視聴スタイルの両面で、モータースポーツファンの裾野拡大が期待されています。
視聴者が得られるメリット
視聴者にとっての最大のメリットは、「どこにいても、どのデバイスでも、F1を途切れず楽しめる」環境が整う点です。 忙しくてリアルタイムで見られない人も、見逃し配信やハイライト番組を活用することで、自分のペースでシーズンを追うことができます。
- コアファンは、全セッションのライブ視聴やオンボード映像、詳細データなど、よりディープな楽しみ方が可能になります。
- ライトファンや初心者は、地上波のダイジェスト番組や総集編、解説番組などを通じて、ルールや見どころをやさしく学べる環境が強化されます。
国内モータースポーツ界への波及効果
F1の国内露出が増えることで、日本におけるモータースポーツ全体の関心が高まることも期待されています。 若年層やモータースポーツに触れる機会が少なかった視聴者が、テレビや配信をきっかけにレースに興味を持ち、将来的にサーキット観戦や他カテゴリーへの関心へとつながる可能性があります。
また、日本人ドライバーや日本メーカーにとっても、国内メディア露出の拡大はスポンサー獲得やファン拡大につながる重要な要素となります。 F1を軸にモータースポーツ文化が再び盛り上がることで、下位カテゴリーや育成シリーズへの注目も高まり、長期的な人材育成の土壌が整うことが期待されています。
今後のスケジュールと注目ポイント
独占契約自体は2026年シーズンからのスタートとなりますが、フジテレビはそれ以前から情報番組や特集企画などを通じて、視聴者への告知やF1人気の喚起を進めていくと見られます。 配信サービスのプランや、F1 TV連携の詳細な料金体系、対応デバイスなども、順次案内されていく見通しです。
地上波での具体的な放送枠や番組構成、キャスター・解説陣の顔ぶれなども、ファンにとっては大きな関心事となるでしょう。 かつてのF1ブームを知る世代と、新たにF1に触れる若い世代が同じコンテンツを楽しめるような工夫がどのように盛り込まれるのか、今後の発表に注目が集まります。
