FIFAインファンティーノ会長、エジプトでの和平サミットに参加し注目を集める

2025年10月14日、FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長がエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された「平和サミット」に参加し、世界中で大きな話題となっています。このサミットは、ドナルド・トランプ米国大統領とエジプトのアブデル・ファッターハ・アル・シシ大統領が共同議長を務め、ガザ地区での2年間にわたる戦争を終結させ、長期的な安定と復興計画を策定することを目的として開催されました。

20カ国以上の首脳が集結した歴史的サミット

このサミットには、インファンティーノ会長のほか、20名以上の世界の指導者や要人が集結しました。参加者には、アントニオ・グテーレス国連事務総長、エマニュエル・マクロン仏大統領、ジョルジャ・メローニ伊首相などの著名な国際的リーダーが含まれていました。また、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領、ヨルダンのアブドラ2世国王、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領も出席しています。

サミットでは、地域の将来に関する文書への署名が行われ、最近確立された停戦を支援し、ガザ地区の安定と復興を目指す具体的な計画が話し合われました。

インファンティーノ会長の「歴史的な日」への言及

文書署名後、インファンティーノ会長は次のように述べています。「歴史的な日について語るなら、これは間違いなく歴史的な日でした。中東にとっての歴史的な日であり、世界にとっての歴史的な日、そして平和にとっての歴史的な日です。トランプ大統領が言ったように、新たな始まり、地域全体、そして世界全体にとっての新たな夜明けです」

会長は、FIFAがこの平和プロセスを支援し、協力し、可能な限りの支援を提供することの重要性を強調しました。また、トランプ大統領の役割について、「トランプ大統領の役割は絶対的に基本的かつ重要でした。トランプ大統領がいなければ、平和はありませんでした」と述べ、その貢献を高く評価しました。

サッカー界のトップが政治サミットに参加した理由

多くの人々が、なぜFIFA会長が主に外交に焦点を当てた政治的な集まりに出席したのか疑問に思いました。ソーシャルメディアで拡散された動画では、インファンティーノ会長がトランプ大統領の隣に立ち、カジュアルな会話を交わし、笑顔で写真撮影に応じる姿が確認されています。

トランプ大統領との深い友好関係

インファンティーノ会長の出席は、主にトランプ大統領との親密な友好関係に起因しています。会長はこれまでトランプ大統領を称賛することが多く、ノーベル平和賞候補としての支持を公に表明したこともあります。

インファンティーノ会長とトランプ大統領の友情は、年を重ねるごとに深まっています。2020年1月のダボス経済サミットでは、インファンティーノ会長がトランプ大統領を「私の偉大な友人」と呼び、アブラハム合意の署名式にホワイトハウスに招待されました。さらに、2025年8月にはホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領にサッカーのレッドカードとイエローカードをユーモラスに手渡す場面もありました。

その際、インファンティーノ会長はワールドカップトロフィーも持参し、トランプ大統領に持たせました。「FIFA会長と各国の大統領、そして優勝者だけがこれに触れることができます。なぜなら、これは勝者のためのものだからです。そしてあなたは勝者なので、もちろん触ることができます」とインファンティーノ会長は述べ、トランプ大統領は冗談めかして「これを持って帰ってもいいですか?」と尋ねながら、両手でトロフィーを持ち上げました。

ガザのサッカーインフラ再建への具体的な支援表明

インファンティーノ会長は、サミットでの演説において、サッカーが地域に新たな希望をもたらす重要な役割を果たすことを強調しました。具体的には、ガザ地区とパレスチナ全域でのサッカー施設の再建に対する包括的な支援を約束しています。

FIFAによる復興支援の詳細

「サッカーの役割は、支援し、団結させ、地域に希望を与えることです。ガザとパレスチナでは、パレスチナサッカー協会と協力して、すべてのサッカー施設の再建を支援します。国のあらゆる場所にサッカーを取り戻すために協力します」とインファンティーノ会長は語りました。

具体的な支援内容として、以下のような取り組みが挙げられています:

  • サッカーボールの提供:子どもたちがすぐにサッカーを楽しめるよう、多数のボールを届ける
  • ピッチの建設:ミニピッチやFIFAアリーナなどの施設を整備する
  • 指導者の派遣:適切なトレーニングを行うため、インストラクターを派遣する
  • 大会の開催支援:地域コミュニティでの競技会の組織化を支援する
  • 復興基金の設立:パレスチナのサッカーインフラ再建を支援するための基金を立ち上げる

インファンティーノ会長は、「貢献したい人は誰でも参加できます。私たち自身もミニピッチやFIFAアリーナで貢献してきましたが、世界全体に貢献してほしいと思っています。なぜなら、サッカーは子どもたちに希望をもたらすからです。これは非常に重要なことです」と述べ、国際社会全体への協力を呼びかけました。

政治への関与を深めるインファンティーノ会長

インファンティーノ会長は近年、イスラエル・ハマス紛争に関連する問題に積極的に関与するようになっています。先週には、サッカー界に対して中東での平和構築活動への貢献を求めていました。

ヨーロッパフットボールクラブ総会の冒頭演説では、トランプ大統領の役割を強調し、戦争終結の重要性を訴えました。「今、停戦が実現しています。誰もがそれを喜ぶべきです。これはサッカーを超えたことですが、サッカーも含まれています」と述べています。

2026年ワールドカップとの関連性

インファンティーノ会長がトランプ大統領との関係を強化している背景には、2026年に米国、カナダ、メキシコで共同開催される史上最大規模のワールドカップがあります。このイベントは、貿易戦争、経済的ボイコット、ビザ禁止、ICEによる取り締まり、そして米国における権威主義の高まりといった複雑な背景の中で開催される予定です。

過去には、2018年ワールドカップ開催時にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と、2022年のカタール大会前にも同様の関係を築いていました。インファンティーノ会長は2019年にプーチン大統領からロシア友好勲章を授与されています。これらの事例は、主要大会開催国の指導者との緊密な関係構築というパターンを示しています。

批判的な見方も存在

インファンティーノ会長のこうした政治的関与については、批判的な意見も存在します。一部の専門家は、サッカー連盟のトップが独裁的な指導者と友好関係を築いたり、石油国家にサッカーを売り渡したりしているのではないかという疑念を表明しています。

また、ガザでの暴力行為に対してイスラエルの資格停止を拒否したことについて、偽善だという批判も向けられています。これに対してインファンティーノ会長は、サッカーは政治を超越するものだと主張する一方で、数十億ドル規模の開催契約に署名したばかりの国家元首とステージに立つという姿勢を取り続けています。

インファンティーノ会長が目指す「平和」の形

批評家たちは、インファンティーノ会長の「平和外交」は、条約や妥協の外交ではなく、ブランディングとスペクタクルの外交だと指摘しています。他の人々が紛争を見るところで、インファンティーノ会長は機会を見出しているというわけです。

インファンティーノ会長の平和構築者としての遺産は、戦争を終わらせることにあるのではなく、「平和」の意味を再定義することにあるかもしれません。会長の世界観では、平和とは正義、和解、平等を意味するのではなく、良好な放送契約とバイラルなPRの瞬間を意味するという見方もあります。

サミットでのインファンティーノ会長の発言

インファンティーノ会長は自身のInstagramへの投稿で、「シャルム・エル・シェイクで開催された極めて重要な平和サミットに出席しました。このサミットは、ドナルド・J・トランプ米国大統領とアブデル・ファッターハ・アル・シシ・エジプト大統領が共同議長を務め、地域の安全と安定の新時代を確立することを目的としています」と述べています。

サミットでトランプ大統領は、「ジャンニがここにいます」と紹介し、インファンティーノ会長を中東和平プロセスの重要な参加者として位置づけました。この「Peace 2025」と名付けられたイベントでの存在感は、スポーツと政治の境界線がますます曖昧になっている現代において、FIFA会長の役割の変化を象徴しているとも言えるでしょう。

今後の展望

インファンティーノ会長のこの動きは、サッカーが単なるスポーツを超えて、国際関係や平和構築の場でどのような役割を果たせるのかという問いを投げかけています。ガザでのサッカー施設再建という具体的な支援計画は、紛争後の地域コミュニティ再建において、スポーツが持つ力を示す試みとして注目されます。

一方で、FIFA会長が政治的なサミットに参加し、特定の指導者との親密な関係を公に示すことについては、今後も議論が続くでしょう。スポーツの政治的中立性とは何か、そしてスポーツ組織のトップが国際政治にどこまで関与すべきかという根本的な問題について、このニュースは改めて考える機会を提供しています。

2026年ワールドカップまで残り8ヶ月となった今、インファンティーノ会長のこうした外交的な動きが、大会の成功にどのような影響を与えるのか、世界中が注目しています。

参考元