えちご・くびき野100キロマラソン、来秋で30年の歴史に幕 ― 地域をつないだウルトラマラソン、最後の開催へ
地域に愛された一大イベント、ついに最後の大会が決定
新潟県上越市で毎年多くの市民とランナーに親しまれてきた「えちご・くびき野100キロマラソン」が、2026年秋の第16回大会をもって終了することが決定しました。この大会は1996年の第1回大会から隔年で続いてきた伝統あるウルトラマラソンで、30年間にわたって地域の一体感と振興に大きな役割を果たしてきました。
大会終了の背景 ― 運営課題と地域事情
実行委員会は2025年8月29日に開かれた会議で、ボランティア不足や参加者の減少といった深刻な運営課題を受け、来年の開催を最後とする方針を決めました。コロナ禍以降、応募者数が減り、運営資金の確保も難しくなっています。事業費の増加、少子高齢化を背景とした人的資源の不足など、回を重ねるごとにこうした課題が顕著になりました。
- ボランティア不足:地域ごとの負担が年々大きくなり、継続的な人員の確保が困難に
- 参加者減少:全国的にウルトラマラソン参加者が減少する流れにあり、前回の第15回大会(2024年)は定員の7割ほどしか集まらず1982人にとどまった
- 事業費増加と資金難:運営には多くの費用がかかり、出場者減により資金調達が厳しくなった
ウルトラマラソンがつないだ上越市12市町村の絆
もともとこの大会は「市町村合併」を見据えた地域の一体感醸成や地域振興を目的として、上越地域12市町村のほぼ全域を走る大会として始まりました。田園、峠道、海沿いを駆け抜ける壮大なコースは、国内外から集まったランナーにとって特別な挑戦となり、地元住民の協力による沿道応援や軽食の提供など“おもてなし”の精神は大会の大きな魅力となっていました。
- 地域のおもてなし:地元食材を使ったエイドステーションの提供や温かな応援が高評価
- 全国ランニング大会100撰:昨年の第15回大会は全国のランニング大会選定にも選出され、質の高い大会として知られる
30年間の歩みと数字で見る大会の盛衰
第1回大会は1996年にスタート。最盛期の2018年(第12回大会、台風で中止)は100キロと60キロの部に合計2761人が申し込み、ボランティアも約3700人が登録していました。一方、近年は参加者減少が続き、2024年の第15回大会は1982人にとどまりました。
- 最盛期の参加者数:2018年大会は2761人の応募(台風で中止)
- 最新大会の状況:2024年は1982人で定員の7割、ボランティアも減少傾向に
- 累計開催回数:2026年秋で第16回、30年の歴史に幕
参加者・関係者の思いと地域の今後
大会を愛したランナーや運営スタッフの中には、終了を惜しむ声も根強くあります。多くの人が「一つの時代の終わり」への寂しさとともに、このイベントがもたらした地域活性や絆の深まりに感謝の気持ちを寄せています。実行委員長は「残念だが、新しい何かを生むきっかけになる」と語り、次の地域づくりへの希望も示しています。
- 地域の絆:大会やエイドでの交流を通じ、世代や地域を越えて多くの人がつながった
- 今後の地域活性化:大会終了がきっかけとなり、地域に新たな交流やイベントが生まれる可能性も
最後の大会に向けて ― ランナー・市民へメッセージ
来年秋の最終大会に向けて、運営体制の準備が進みます。参加希望者やボランティアには、集大成となる大会への熱い想いを持って準備を呼びかけています。長年の歴史と伝統を誇るえちご・くびき野100キロマラソンが、最後まで多くの笑顔と感動を生んでくれることが期待されています。
- 最後の走りに向けて:これまでの思い出とともに、最終大会での新たなドラマが生まれることを願っています
- 感謝と惜別:大会の成功を支えた全ての人々に感謝の気持ちが集まっています
えちご・くびき野100キロマラソンのこれまでとこれから
このマラソンが30年にわたって上越地域にもたらしたもの――それは、単なるスポーツイベントを超えた人と人、地域と地域の絆でした。ウルトラマラソンという過酷な挑戦を通じて、たくさんの感動、交流、そして地域の誇りが生まれました。大会終了が決まったとはいえ、多くの市民と参加者の心に「えちご・くびき野100キロマラソン」はこれからも残り続けることでしょう。
- 大会の意義:スポーツを通じた地域活性・交流のモデルケースともいえる存在
- 未来へのバトン:これまで培った絆を、新しい地域づくりやスポーツイベントへと活かしていくことが望まれています