ドジャース救援左腕ベシアの戦線離脱、その真相と“51”の帽子に託された思い

救援投手ベシアに起きた出来事

2025年10月下旬、ロサンゼルス・ドジャースに衝撃が走りました。救援左腕アレックス・ベシア投手(29歳)がワールドシリーズ直前、突然チームから離脱する事態となったのです。離脱の理由は「家族の深刻な問題」と発表され、詳細は明かされていません。しかし、妻ケイラさんが出産を間近に控えており、関係する重要な事情があったと見られています。

球団の公式SNSでは、「アレックス・ベシアと妻のケイラは深刻で個人的な家族の問題に対処するため、チームを離れました。ドジャース球団一同、ベシア家の皆様に心よりお見舞い申し上げます」と発信され、多くのファンや野球関係者が気遣いと心配のコメントを寄せました。

ワールドシリーズ中も「情報ゼロ」、高まる心配の声

ドジャースは、ワールドシリーズ第6戦(10月31日・敵地トロント・ブルージェイズ戦)を 2勝3敗で王手をかけられた状況で迎えました。しかし、ファンやメディアが最も気にかけていたのは、マウンドにベシアの姿が見えないことでした。「何があったんだろう」「ベシアどうなったんだろう」「情報が何もあがってこないから余計に心配」と、SNSや現地報道で不安の声が続出しました。

デーブ・ロバーツ監督は「全試合欠場の可能性が最も高い」とし、「野球と比べ物にならないほど大きな案件」と深刻さを伝えています。球団フロントも「今は見通しを立てられない」「日々の様子を見ながら判断するしかない」と、極めて慎重かつ配慮された発言にとどめました。

“51”の番号に込めるチームの絆と祈り

ベシアは、背番号51番のドジャースきっての左リリーフ投手です。彼の離脱後、ドジャース救援投手陣は試合で帽子に「51」と記してマウンドに上がるようになりました。その理由は極めてシンプルで、「ベシアとともに戦っている」という意思表示に他なりません。

  • 救援投手陣が自発的に「51」と帽子に書き、連帯感やベシアへの思いを示した
  • ロバーツ監督は「ベシアがいないのは辛いし痛い。だが我々は彼のことを思い、気持ちは一緒に戦っている」とコメント
  • 野球だけでなく、一人の仲間やその家族のために、チーム全員が心を一つにしたことを強調

強豪ドジャースにとって、ベシアはブルペンの柱であり、今季は4年連続50試合以上の登板、今季も68試合登板で4勝2敗5セーブ、防御率3.02と盤石の成績でした。ポストシーズンの直近7試合でも2勝をあげるなど、絶対的な信頼を集めてきました。

戦力ダウンの現実と、それでも続いた挑戦

ベシア離脱はドジャースにとって大きな痛手であり、ポストシーズンの戦力バランスにも影響しました。結果、ワールドシリーズでは彼の登録を外し、新たに救援右腕エルガルド・エンリケスやウィル・クラインが昇格し、その穴埋めに追われました。抑え候補のタナー・スコットもケガで離脱し、ブルペンは急造体制となりました。

それでも、チーム内には「家族の事情」を理解し、サポートする暖かい空気が流れていました。「野球よりも、まず家族が優先されるべきだ」というアメリカ球界らしい価値観と、苦しい状況でも希望を失わず戦う姿勢が印象的でした。

再合流の可能性とロースター規定

今シリーズ中、ベシアの再合流はあるのかという点にも注目が集まりました。しかし、ワールドシリーズ登録メンバー規定のため、状況は簡単ではありませんでした。MLBルールでは、家族の事情やケガでロースターを外れた選手が再登録される場合、一定の手続きと待機期間が必要です。

アメリカのスポーツメディアも「唯一の方法は、他に本人の事情と同等かそれ以上の理由が生じた場合」として、今シリーズ中の復帰は極めて難しいとの見方が強かったのです。

  • ロースター登録締め切り後は、基本的に新規登録ができない
  • 仮に急な事情が発生しても、複雑な手続きが求められる
  • よって今シリーズでベシアが戦列復帰することは現実的でなかった

大谷翔平など主力選手の奮闘

ドジャースの絶対的スター大谷翔平選手も、ベシア不在という苦境のなかでチームを鼓舞し続けました。ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦では、大谷の奪三振ショーのあと、ベシアが見事な救援で無失点投球を見せる場面もありました。

このように、ドジャースは総力戦を強いられつつ、背番号“51”に込めた思い、その“穴”を全員で埋めるチームワークで頂点を目指していました。

ファン・関係者に広がる「思いやり」と「応援」

SNSや各種報道では、「まずはご家族の健康と無事を祈ります」「ベシアがいない分、みんなで頑張ってほしい」「野球だけが人生じゃない」など、野球ファンの温かい声が相次ぎました。孤独やプレッシャーを感じやすいスペシャルイベント(ワールドシリーズ)で、ベシアや家族への配慮が多く寄せられているのは、アメリカ球界ならではの懐の深さでしょう。

まとめ:ベシアの存在、背番号“51”が示したもの

今回のベシア離脱劇は、“51”という数字を通じ、一人ひとりの選手の人生・家族を大切にするあり方を改めて浮き彫りにしました。ドジャースのブルペン、選手、ファンが「ベシアは試合にいなくても、常に我々と共にいる」という思いで結ばれていたのです。

スポーツの本質が勝敗や記録だけではなく、「人間同士の絆や支え合い」そのものにあることを、プロ野球最高峰の舞台・ワールドシリーズが示したエピソードとして、多くの人々の胸に深く刻まれました。

ベシア、そして彼を支える家族に、今後も温かなエールが届きますように。その祈りは「帽子の“51”」と共に、きっとドジャースの歴史に残り続けることでしょう。

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