パリ・サンジェルマンとル・クラスィクを巡る波乱の週末─バロンドール授賞式、そして悪天候による延期の全貌

1.パリ・サンジェルマンをめぐる注目の最新ニュース

パリ・サンジェルマン(PSG)は、昨季のチャンピオンズリーグ(CL)王者として名実ともにヨーロッパの頂点に立つ名門クラブです。近年は絶えず話題の中心にあり、特に今年は複数の注目イベントが同時期に重なったことで、国内外のサッカーファンの関心を集めています。

2.バロンドール授賞式とPSG―本命候補デンベレ、出席不能の事情

  • 2025年9月22日(現地時間20時)、サッカー界最大級の個人賞「バロンドール」の授賞式がパリで開催。PSGからは9人もの選手がノミネート
  • 特にウスマン・デンベレは大本命として大きな注目を集めたが、授賞式に参加できない事態となった

その背景には、フランス最大のライバル対決“ル・クラスィク”──マルセイユ vs. パリ・サンジェルマンの開催日程が大きく影響しています。本来は9月21日に開催予定だったこの一戦は、歴史と伝統、そして両クラブの熱い情熱が激突するフランス・リーグアン最大級のカードです。しかし、想定外の悪天候によって予定が大きく狂いました。

3.大雨・突風・雷雨──異常気象が引き起こしたル・クラスィク延期の舞台裏

  • マルセイユ本拠地「スタッド・ヴェロドローム」周辺にて大雨・洪水・強風・雷雨の警報が発令
  • フランス気象局は最大風速55km/hの突風・45km/hの強風を予想。観客と選手の安全確保が最優先課題となった
  • 地元行政(ブーシュ=デュ=ローヌ県知事)はリーグと協議の上、安全優先で9月21日開催を断念

マルセイユの激しい天候は、ただ試合を順延するだけでなく、「サッカーカレンダー」と「世界的授賞式」の衝突も引き起こしました。リーグアンの「中断した試合は翌日に再開」という規定が適用されたため、ル・クラスィクの新たな開催時間は22日20時に設定。この時刻は、バロンドール授賞式の開始時刻と完全に重なる形となりました。

結果としてPSGのスター選手たち──ウスマン・デンベレ、デジレ・ドゥエ、フヴィチャ・クヴァラツヘリア、ジョアン・ネヴェス──は授賞式への出席を断念せざるを得ませんでした。また、最優秀監督賞の候補にも選出されていたルイス・エンリケ監督も同様です。

4.ルイス・エンリケ監督が語る「冷静さ」の重要性とチームの士気

  • PSGはここまでのリーグ開幕戦で4連勝
  • ルイス・エンリケ監督は「(ル・クラスィクのような)大事な試合こそ、興奮し過ぎず冷静さが必要」と語る

エンリケ監督はこの大一番に向けて、「重要な試合では緊張はつきもの。監督として私の経験を生かし、興奮よりも冷静さをもって臨むことが大切」と強調しています。ライバル同士の伝統ある一戦だからこそ、「サポーターと強くつながり、誇りを共有したい」という思いを語りつつも、冷静な戦術運営で確実に勝利を狙う姿勢が印象的でした。

5.バロンドールと日程の衝突──PSGの主張とマルセイユ側の対応

  • PSG側は「試合時間を早めて、試合後にパリへ戻る」という主張を提示
  • マルセイユ側は「リーグ規定により、中断となった試合は翌日同時刻、同会場で再開」を原則とする姿勢を崩さなかった
  • LFP(フランス・プロサッカー・リーグ)も最終的に規定通りの試合再開を決定

この規定はサポーターへの配慮、クラブ間の公平性、そして何よりも「伝統あるル・クラスィク」の意義を尊重するもの。多くのファンが仕事や学校のある日中に試合が行われることのないよう、通常通りのキックオフ時間にこだわった点も注目されます。

6.バロンドール候補者リスト(PSG所属)

  • FW ウスマン・デンベレ(フランス)
  • FW デジレ・ドゥエ(フランス)
  • FW フヴィチャ・クヴァラツヘリア(ジョージア)
  • MF ジョアン・ネヴェス(ポルトガル)

上記4名を含む9選手がノミネートされており、PSGのチーム力や世界的評価の高さを裏付ける結果となっています。

7.ファン・サポーターへの影響と今後の焦点

  • 延期告知は直前のため、遠方から来場予定のファンへの影響も大きかった
  • 代替開催日は調整中と報じられており、今後の公式発表が待たれる

特にル・クラスィクは、PSGおよびマルセイユ双方の地元サポーターにとって年間最大の「お祭り」です。不測の悪天候による直前のスケジュール変更は、多くのサポーターの移動・宿泊計画、チケット手配にも影響し、現場は混乱を極める状況となりました。しかし、すべては「選手・観客の安全」が最優先とされています。

8.フランスサッカー界・リーグアンにおける今回の意味

  • コロナ禍以降、試合延期の仕組みや選手のコンディション維持といった「リスク管理」がサッカー界でも重視されてきた
  • 規定通りの運用により、公平性や伝統の尊重が優先された
  • ビッグイベント同士のバッティングに、今後はより一層の柔軟な調整・連携が求められる

今回の一連の騒動は、「グローバルイベント同士が重なった場合のリスク管理」「天候など不可抗力への対応力」など、あらゆるスポーツイベント運営において普遍的な課題を浮き彫りにしました。サッカーが社会に与える影響の大きさと、選手・関係者・ファンの三者それぞれの立場での調整の難しさを、あらためて強く認識させる事例となったのです。

9.おわりに

パリ・サンジェルマンの選手たちは、バロンドール授賞式という人生で一度あるかないかの晴れ舞台に立てず、またチームは過酷なスケジュールの中で最大のライバルと戦うことになりました。その一方で、選手や観客の安全を守るために即断したクラブ関係者・行政・リーグの素早い判断も評価されます。今後のル・クラスィク再戦日程や、バロンドールの受賞者発表に引き続き注目していきましょう。

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