クリス・バシットが語るシャーザー獲得の舞台裏――メッツ時代の教訓、ワールドシリーズで輝くブルージェイズ投手陣の「気遣い」と「敬意」

はじめに

2025年11月1日、メジャーリーグのワールドシリーズは最高潮に達し、トロント・ブルージェイズとロサンゼルス・ドジャースが熱戦を繰り広げています。その舞台裏で注目を集めているのが、ブルージェイズのベテラン右腕クリス・バシットです。
バシットは今シリーズの重要な登板だけでなく、“シャーザー獲得”を巡る言葉や、メッツ時代の体験を熱く語っています。加えて、キケ・ヘルナンデスが感激したブルージェイズ投手陣の“気遣い”も話題に。本稿では、これらの最新ニュースを背景から紐解き、MLB最前線から伝わってくるドラマを詳しくお伝えします。

クリス・バシットとは――球歴と特徴

  • 1989年生まれの右投手。96マイルのフォーシーム、縦割れのナックルカーブ、シンカー、スライダーを武器とする本格派。
  • 2022年12月、ブルージェイズと3年総額6,300万ドルで契約。
  • 2023年は33試合先発で16勝8敗、防御率3.60、186奪三振。自身初の最多勝タイトルを獲得。
  • 2024年は31試合で10勝14敗、防御率4.16、168奪三振とやや成績を落としたものの、先発の柱として活躍。

バシットは、もともとオークランド・アスレチックスなどで実績を重ね、2022年にニューヨーク・メッツへ移籍。そして2023年からブルージェイズのローテーションの中核を担い、経験豊富な右腕としてチームを牽引しています。

「シャーザー獲得の理由」をバシットが熱弁――ベテランならではの視点

今季のワールドシリーズでは、元サイ・ヤング賞右腕マックス・シャーザーの存在が戦局を左右しています。その“獲得理由”を問われた際、バシットは熱心にこう語りました。

「メッツ時代の2022年、シャーザーと同じチームで過ごした経験が今の自分にとって大きな意味を持っています。彼の野球に対する姿勢、準備、勝利への飽くなき執念、それを間近で感じられたのは自分のキャリアにとってかけがえのない体験でした」

2022年オフ、ブルージェイズはシャーザーをトレードで獲得し、バシットはその決断の意図をチームに“伝道”する役割も果たしました。
「シャーザーのような競争心と実績ある投手が加わることで、ローテーション全体に好影響が波及する。若手もベテランも刺激を受け、チーム全体の意識が変わります」と、バシットは目を輝かせて語ります。

「2022年メッツ時代の教訓」――バシットが語る自己変革と仲間から学んだこと

バシットにとって2022年のメッツでの経験は、「人生とキャリアを大きく変えた分岐点」でした。

「シャーザーだけでなく、当時のメッツの投手陣やスタッフからも多くのことを学びました。勝つために細部に神経を研ぎ澄ませる、チーム全体で一つの目標を共有する――それを肌で感じたことで、自分自身の取り組みも変わりました」

バシットはこう語ったのち、「ブルージェイズに来ても、その姿勢は自分の中にしっかり根付いている」と強調しています。
特にワールドシリーズという大舞台での集中力と落ち着きは、大事な場面で登板するたびに培われてきたものです。今季ポストシーズンでも、6試合で7回2/3、被安打1、無失点と圧巻のピッチングを続けており、まさに経験が生きている試合運びとなっています。

2025年ワールドシリーズ、ブルージェイズ投手陣の“気遣い”と両軍の「51」が刻む物語

ブルージェイズが決勝の舞台に勝ち上がる原動力となったのは、投手陣の柔軟な「役割超越」と細やかな「気遣い」でした。

キケ・ヘルナンデスが感激した「気遣い」

ドジャースのキケ・ヘルナンデスは試合後、「ブルージェイズの投手たちが、常に相手チームのリズムや流れに最大限の敬意を持ち、自分たちが最高のコンディションで臨めるようさりげなく配慮してくれていた」と語っています。
「大事な試合の中で、細やかな気遣いを感じられた。本当に敬意を表したい」と、両軍が接戦を演じる中で相手をリスペクトする空気について感動をもって振り返りました。

「51」と両軍の記憶

また、スポーツ報知では「両軍が刻んだ『51』」という数字も話題になっています。各選手が背負う番号、打席や投球内容、そしてチーム一丸となって刻んだ51のアウトや記録。
そのひとつひとつに、両軍の総力戦とリスペクトが込められていたことが、ワールドシリーズをより一層ドラマチックに彩っています。

バシットの今シリーズでの役割とブルージェイズ投手陣の進化

2025年のポストシーズン、ブルージェイズは3人の先発のみを基本ロースターとし、バシットはリリーフ“ロングリリーバー”の大役を担いました。
これまで先発中心のキャリアだったバシットですが、ポストシーズンでは中継ぎ登板もこなしています。「いかなる役割でも仕事をこなす」姿は、指揮官からの信頼も厚く、重要な場面でマウンドを任され続けている理由です。

  • ポストシーズン6試合登板、7回2/3で被安打1、無失点。
  • ALCS第7戦では八回無失点でリーグ優勝に貢献。
  • ワールドシリーズ第6戦でも1イニングを三者凡退で締めている。

シリーズ最終戦はシャーザー先発→継投の総力戦が想定されていますが、バシットが「橋渡し役」あるいは「回またぎ役」として登板する可能性が高く、指揮官のジョン・シュナイダー監督も「絶対の信頼を置ける男」と評価しています。

実直で多才――バシットのキャリア哲学

バシットの強みは「役割への柔軟な対応力」にあります。
これまで先発、リリーフ、救援とポジションを問わず与えられた仕事を全うしてきた点について、バシットは次のように語ります。

「どの場面であれ、マウンドに上がった以上は自分の全てを出すだけです。勝利のため、チームのため、そして応援してくれるファンのためにベストを尽くします」

こうした姿勢がまた、若手やチームメイトに“刺激”と“模範”をもたらし、ブルージェイズ全体の士気と結束力を高めています。

おわりに――「敬意」と「学び」が導いたワールドシリーズの舞台裏

2025年ワールドシリーズは、単なる勝ち負けを越えたドラマが数多くありました。クリス・バシットはシャーザーを始めとした仲間から培った教訓と、ブルージェイズ投手陣が見せた気遣い・リスペクトの精神を結実させ、シリーズの大舞台で一層の光を放っています。
どんな困難な局面でも愚直に役割を果たし続けるバシットの生き様は、ワールドシリーズの歴史に新たな1ページを加えています。名勝負の陰に隠れがちな“気遣い”や“敬意”の物語にも、ぜひ目を向けてみてください。

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