キャデラックF1チーム始動――ボッタス&ペレスを新時代の主役に抜擢した理由
F1界を揺るがす新勢力、キャデラック登場と正式発表の舞台裏
2025年8月26日、モータースポーツファン待望の大ニュースが発表されました。ゼネラルモーターズ(GM)の名門ブランドキャデラックが、2026年からフォーミュラ1世界選手権(F1)に本格参戦することを正式に告知し、バルテリ・ボッタス選手とセルジオ・ペレス選手という二人のベテランドライバーを起用することとなりました。
F1での新規参戦は、膨大な技術投資とグローバルな注目を集める大プロジェクトです。米国本拠のキャデラックがF1へ参戦すること自体が歴史的トピックですが、それに加え、初年度に選ばれたドライバーに世界最高峰の経験豊富な二人を指名したことが、今もっとも話題となっています。
歴戦の二人、ボッタスとペレス――経歴と起用理由
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バルテリ・ボッタス
フィンランド人ドライバー。F1で通算246回のグランプリ出場、67回の表彰台、10勝(全てメルセデス時代)を記録したベテラン。2024年はザウバーのレギュラーシートを離れ、2025年にはメルセデスのリザーブドライバーとしてチームを支え、今回のキャデラックの挑戦で再びグリッドに帰ってきます。 -
セルジオ・ペレス
メキシコ人ドライバー。6度のグランプリ優勝経験を持ち、長年にわたりレッドブルやフォースインディアなど有力チームで活躍。100回以上の表彰台に上がった豊かな経験は、初参入チームにとって計り知れない財産となります。
なぜベテランを起用?若手やアメリカ人ではなかったワケ
キャデラックF1のドライバー選定には、アメリカ人や注目の若手ドライバーも候補として名が挙がっていました。しかし最終的にベテラン二人が選ばれた背景には、初年度ならではのシビアな事情があります。
F1参戦初年度、特にマシンもオペレーション体制もゼロから作り上げる新規チームにおいては、単に速いだけでなく「圧倒的な開発・セットアップ経験」、「技術フィードバック力」、「現場でチームを引っ張るリーダーシップ」が不可欠です。ボッタスとペレスはそれぞれ異なるチーム、異なる文化で幾多のアップデートやマシン開発に携わり、混乱を最小限に抑えながら着実に経験を重ねています。
若手や将来有望なドライバーにも魅力はありましたが、「即戦力」としてマシン開発や組織立ち上げをスムーズに進めるには、F1トップレベルの現場経験を持つ彼らこそ最善と判断されたのです。実際、市場でも“複数年を見据えた長期的プロジェクト”というキャデラックのビジョンに、ベテランふたりのプロ意識と実績が見事にフィットしたと言えるでしょう。
アメリカブランドF1初挑戦×グローバルなベテラン起用の背景
F1は近年アメリカ市場の拡大が著しく、アメリカGPが3戦にも増え、番組”Drive to Survive”のヒットで人気が急上昇中です。それもあり、アメリカ人ドライバー起用や、アメリカの若手にチャンスを――との声はファンや一部メディアにも根強くあります。
しかし、F1の現実は世界規模のハイリスク・ハイリターンなビジネス。キャデラックF1のプロジェクトリーダーも「初年度は結果を求めるだけでなく、基盤を固めるフェーズ」としてリーダーシップや技術面で妥協できないポイントを強調してきました。
ゆえに彼らが選んだのは、「話題性」よりも「確かな基礎作り」。その土台が完成してこそ、将来アメリカ人や若手ドライバーにもシートを与える余地が広がっていく――という長期戦略なのです。
両選手のコメントににじむ“挑戦の意欲”
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バルテリ・ボッタス選手のコメント
「キャデラックF1チームは野心的でありながら現実的なビジョンがある。ゼロから本物のF1チームを作り上げるのは滅多にない機会。アメリカのレーシングスピリットを世界中に示すのが楽しみです」「メルセデスには、このエキサイティングなステップを支援してくれたことに感謝したい」 -
セルジオ・ペレス選手のコメント
オフィシャル発表時、「新しいチームと歴史を作っていくことにワクワクしている。持てる力を最大限に発揮したい」と語りました。
初参戦初年度というF1最大の壁――ふたりが担う役割と期待
新規参入チームにとって、初年度は“生き残り”そのものが大きな関門です。車両規則の変更や超高難易度のテクニカルチャレンジ、現場スタッフの組織化、パートナー企業との連携など、あらゆる面で安定志向が求められます。ボッタス&ペレスの両名はその点で、技術的な知見だけでなく、危機管理能力やメディア・チーム内の調整役も担うでしょう。
また、レース界では経験豊富な選手が開発初期の“羅針盤”役となることが多く、彼らのコメントやフィードバックは、今後数年間にわたるチームの方向性や進化を大きく左右します。グランプリではポイント争いはもちろん、時には魅せる駆け引きや冷静な判断力も期待されています。
このふたりがキャデラックの歴史的な初グリッドでどんなドラマを見せるのか――すでに世界中のファンが注目しています。
ベテラン起用はF1新規参入チームの“正攻法”
F1には過去にも、新規参入時に経験豊富なドライバーを起用して着実に基礎固めを行い、その後に若手や自国出身ドライバーを登用した例が数多くあります。最初の年で運営やマシン開発の基準レベルを引き上げ、2年目以降新たな戦略に転換する――この「二段構え」が“F1新規参戦成功の定石”として見なされているのです。
実際に、2026年キャデラックがどこまで戦えるかは不透明ですが、すでに「トップレベルで闘う覚悟」と「成長する土壌づくりへのこだわり」は、初年度の布陣からも明らかです。
今後のキャデラックF1と新時代への期待
近年モータースポーツとくにF1は、テクノロジー、国際市場、ブランドイメージ構築の最前線です。キャデラックというグローバルブランドがビッグネームふたりと共にF1ワールドへ挑む――これは、米自動車業界とF1双方に大きなインパクトを与えるものです。
今後、アメリカ人や若手育成への道が開かれるかどうか、キャデラックがどんな色をF1界に持ち込むのか。そのすべてにおいて、ボッタスとペレスという「確かな経験の結晶」こそ、キャデラックF1が未来へ向かう重要な羅針盤となるでしょう。
かつてない注目の的となったキャデラックのF1参入。この歴史的プロジェクトを成功へ導くメンバーに抜擢されたボッタス、ペレス両選手の手腕と、彼らが築くチームカルチャーに今後も目が離せません。