大学駅伝シーズンの幕開け、第37回出雲駅伝が間もなく開催
大学三大駅伝の一つとして知られる第37回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)が、2025年10月13日に島根県出雲市で開催されます。出雲大社正面鳥居前をスタートし、出雲ドーム前をゴールとする6区間45.1キロのコースで、午後1時5分に号砲が鳴り響きます。
この大会は、毎年駅伝シーズンの幕開けを飾る重要な大会として位置づけられており、今年も全国から強豪校が集結します。今大会には、オープン参加の中国四国学連選抜を含め、昨年より1チーム多い22チームが出場することが発表されました。
注目される優勝候補チーム
今年の出雲駅伝は、総合力が高い中央大学を軸に、2025年の箱根駅伝を制した青山学院大学、昨年の出雲駅伝を制覇した國學院大学、そして安定感のある駒澤大学などが優勝を争う激戦が予想されています。
中央大学は、上位6人の5000メートルと1万メートルの平均タイムが優れており、チーム全体の総合力の高さが際立っています。一方、青山学院大学は箱根駅伝優勝の勢いをそのまま出雲に持ち込もうとしており、黒田朝日選手をはじめとする実力者がエントリーされています。
駒澤大学の戦力と注目選手
駒澤大学は、地元山陰出身の伊藤蒼唯選手(4年、出雲工業高校出身)をはじめ、充実した布陣で臨みます。駒大は2024年の箱根駅伝以降の学生駅伝ですべて2位という成績が続いており、今回の出雲駅伝で王座奪還を目指しています。
特に注目されるのが、全日本大学駅伝でエントリーされたエース・佐藤圭汰選手の動向です。佐藤選手は1、2年時に全日本大学駅伝の2区で2年連続区間新記録をマークし、優勝の原動力となった実力者ですが、出雲駅伝ではメンバー外となっています。チームは主将の山川拓馬選手、伊藤蒼唯選手、帰山侑大選手ら4年生を中心に、3年生7人を含む充実したメンバー構成となっています。
早稲田大学の挑戦
早稲田大学からは工藤慎作選手らがエントリーされており、駅伝主将の山口智規選手が「優勝を獲りにいきたい」という強い思いを語っています。山口選手は「何区でも行ける準備をしている」と話しており、1区かアンカーを希望していることを明かしました。
山口選手は昨年の出雲駅伝1区では区間12位という成績でしたが、今年はトラックでの1500メートルなど多くのレースを経験し、自信を深めています。「チャンスがあるのは出雲かもしれないが、やっぱり狙っているのは箱根」と語る一方で、出雲駅伝でも十分に戦える準備が整っていることを示唆しています。
初出場校の挑戦
志學館大学の快挙
今大会で特に注目されるのが、鹿児島市の志學館大学陸上競技部の創部以来初の全国大会出場です。2024年12月に長崎県で行われた島原学生駅伝で優勝を果たし、念願の出雲駅伝への切符を掴み取りました。
志學館大学の長距離チームには1年生から4年生までの14人が所属しており、全員が鹿児島県出身という地元密着型のチーム編成となっています。チームの中心は出水中央高校出身の3年生、中村晃斗選手です。中村選手は「個人としては1区区間賞を目標にしている」と意気込みを語り、「チームとしてはひとつでも関東(の大学)を超えることが目標。鹿児島(の選手)だけで活躍できるところを見せられれば」と力強く宣言しています。
かつて廃部寸前だったという陸上競技部が、ここまで成長して全国の大舞台に立つことは、地域に大きな勇気と希望を与えています。
札幌学院大学も3回目の出場
北海道からは札幌学院大学が3回目の出場を果たしています。主将の浦田陽聖選手(2年)を中心に、西塚璃純選手(4年、10000メートル28分49秒31)らベテランと若手が融合したチーム構成で、北の大地から出雲の地で戦いに挑みます。
國學院大学の連覇への挑戦
昨年の出雲駅伝を制した國學院大学は、上原琉翔主将を中心に連覇を目指します。前回大会で培った経験と自信を武器に、今年も優勝候補の一角として注目を集めています。西山喜久恵アナウンサーも上原主将にエールを送るなど、メディアからも大きな期待が寄せられています。
三大駅伝シーズンの展望
出雲駅伝は、大学三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)の初戦として位置づけられており、ここでの結果が後の大会にも大きな影響を与えます。
全日本大学駅伝は11月2日に愛知・熱田神宮西門前をスタートし、三重・伊勢神宮内宮宇治橋前でフィニッシュする8区間106.8キロメートルで行われます。10月30日には区間エントリーが発表される予定で、各校がどのような戦略で臨むかが明らかになります。
そして駅伝シーズンの最大の舞台である箱根駅伝へと続いていきます。多くの選手たちが「狙っているのは箱根」と語るように、出雲駅伝と全日本大学駅伝は、箱根駅伝への重要なステップとして位置づけられています。
地元山陰両県出身者への期待
今大会では、駒澤大学の伊藤蒼唯選手をはじめとする山陰両県出身者の走りにも大きな注目が集まっています。地元出身の選手たちが、故郷の応援を背に受けて出雲の地を駆け抜ける姿は、地域にとって特別な意味を持ちます。
出雲大社の神聖な雰囲気の中でスタートを切り、出雲ドームでフィニッシュを迎える45.1キロメートルのコースは、選手たちにとって特別な舞台となることでしょう。
大会の見どころと放送予定
今年の出雲駅伝は、優勝候補が複数存在する混戦模様となっており、どのチームが栄冠を手にするか予想が難しい状況です。中央大学の総合力、青山学院大学の勢い、國學院大学の連覇への執念、駒澤大学の王座奪還、そして早稲田大学の巻き返し。さらに、志學館大学のような初出場校がどこまで食い込めるかも大きな見どころとなっています。
各区間で繰り広げられる激しい順位争い、エース区間での華々しい走り、そして最終6区でのゴールに向けた熾烈な戦いなど、駅伝ならではのドラマが期待されます。
大会の様子は地元のテレビ局をはじめ、各メディアで生中継される予定で、全国の駅伝ファンが注目する中、熱戦が繰り広げられることになります。10月13日午後1時5分、出雲大社正面鳥居前から22チームの精鋭たちが一斉にスタートを切り、2025年度の大学駅伝シーズンが本格的に幕を開けます。