大学ラグビー決勝は11度目の「早明戦」 伝統のライバル対決が6大会ぶりに実現

大学ラグビーの頂点を決める全国大学ラグビーフットボール選手権大会 決勝は、明治大学と早稲田大学による、伝統の「早明戦」となりました。決勝での早明戦は6大会ぶり11度目。かつてから多くのファンを魅了してきた黄金カードが、再び日本一の座を懸けてぶつかります。

今季の対抗戦グループでも激闘を演じた両校が、再び国立の舞台で顔を合わせるとあって、学生ラグビー界だけでなく、ラグビーファン全体の注目が集まっています。

明治大学は「完遂」を掲げて7大会ぶり14度目Vへ

対抗戦1位で今大会に臨んだ明治大学は、今季のスローガンに「完遂」を掲げています。
ここ数年、常に優勝候補に名を連ねながらも、最後の一歩で涙をのむシーズンもありました。だからこそ、「やりきる」「最後までやり通す」という意味を込めたこの言葉には、チーム全員の強い決意が込められています。

明治は準決勝で京都産業大学と対戦し、前半から主導権を握る試合運びを見せました。キックオフからの攻撃でFWとBKが一体となったアタックを仕掛け、SO伊藤龍之介からショートパスを受けた主将CTB平翔太がトライ。さらにモールからHO西野帆平がトライを奪うなど、前半を27−7と大きくリードして折り返しました。

後半は一進一退の展開となりましたが、SH柴田竜成のトライなどで加点し、最終的には37−19で京都産業大を下して決勝進出を決めています。
数的有利の時間帯でしっかりスコアを重ねるなど、「やるべきことをやり切る」ラグビーを体現した内容で、決勝に弾みをつけました。

指揮を執る神鳥裕之監督は、「前半スコアを広げて折り返したのは、学生たちがしっかり準備してきたことができたから」と準決勝を評価しつつ、「後半スコアを離せなかったのは次に向けての課題」とも語っています。
この「課題」を決勝までの短い準備期間でどう修正し、「完遂」へとつなげていくかが、明治のカギとなりそうです。

SO伊藤龍之介、早大の戦い方を徹底分析「何をやるかを理解している」

明治のゲームメーカーとして注目を集めるのが、SO伊藤龍之介です。
試合をコントロールする司令塔として、蹴るのか、仕掛けるのか、どこでリスクを取るのか、その判断がチームの出来を左右します。

伊藤は早稲田の戦い方について、「どんな状況で何をしてくるチームなのか、そのイメージはしっかり持てている」と語っており、相手の特徴と戦術をよく理解したうえで決勝に臨む姿勢を見せています(内容要旨)。
対抗戦での早明戦ではスクラムでプレッシャーを受けながらも、明治はモール、空中戦でのハイボール、そして前に出るディフェンスを武器に主導権を握り、25−19で勝利しました。

決勝でも、この「自分たちの強み」をどれだけ出し切れるか、そして伊藤がどれだけ冷静にゲームを運べるかが、勝敗を大きく左右すると見られています。

早稲田大学は「One Shot」で6大会ぶり17度目の栄冠へ

一方の早稲田大学は、今季のスローガンに「One Shot」を掲げています。
これは「ここ一番のワンプレー」「一撃で流れを変えるプレー」という意味合いを持ち、限られたチャンスを確実にものにする姿勢を強く打ち出したキーワードです。

決勝での早明戦は、2019年度大会以来、そのときは早稲田が45−35で勝利し、日本一に輝いています。
その記憶は、当時を知るOBやファンにとって今も鮮烈であり、「決勝の早明戦は早稲田が強い」というイメージを持つ人も少なくありません。

今大会でも、早稲田は伝統の展開ラグビーを軸にしながら、的確なキックと粘り強いディフェンスで勝ち上がってきました。特に、相手の隙を逃さずスコアにつなげる「ワンショット」の精度は高く、接戦でこそ強さを発揮するチームになっています。

司令塔対決:明治・伊藤 vs 早稲田・服部

決勝戦の見どころのひとつが、両チームのSO(スタンドオフ)による司令塔対決です。
明治の伊藤龍之介に対し、早稲田はSO服部がゲームを組み立てます。

SOは、試合のテンポを決め、どこでキックを使うか、どこでBKに展開するか、あるいはFWに近場でアタックさせるかなど、あらゆる局面で判断を求められるポジションです。
特に決勝のようなプレッシャーのかかる大舞台では、ほんのわずかな判断の違いが、試合の流れを大きく変えてしまうことも少なくありません。

今シーズンの対抗戦でも、両校のSOはそれぞれのカラーを発揮してきました。明治・伊藤の落ち着いたゲームコントロールと、早稲田・服部の鋭い仕掛けとキック。この両者のやり合いは、ラグビーの戦術面に興味があるファンにとって、最大の注目ポイントと言えるでしょう。

11度目の早明決戦が持つ歴史的重み

早明戦は、単なる大学ラグビーの一試合ではありません。長い歴史の中で、時代を代表する選手たちがしのぎを削り、多くの名場面とドラマを生んできた特別なカードです。

今大会の決勝で早明戦が実現するのは6大会ぶり11度目
過去10回の決勝早明戦を振り返ると、点差が僅差となる試合が多く、「最後の最後まで勝敗がわからない」試合展開になることが少なくありませんでした。
今回も、両校の実力は拮抗しており、一瞬たりとも目が離せないゲームになることが予想されます。

また、早明戦はその時代ごとのラグビースタイルを象徴する舞台でもあります。
かつてのパワーと根性の時代から、戦術とスキル、スピードが重視される現代ラグビーへと移り変わる中で、常に最前線に立ってきたのが早稲田と明治の両校でした。
その両雄が、2020年代半ばの学生ラグビーを象徴する「今のスタイル」でどのような試合を見せるのかも、注目する価値があります。

明治、1年生・古賀を先発起用 若い力にかかる期待

登録メンバー発表では、明治大学が1年生・古賀選手を先発起用することが話題となりました(報道内容に基づく)。
経験豊富な4年生が多く並ぶ中での1年生先発は、チームとして大きな決断であり、それだけ古賀選手の実力と、ここぞの勝負強さが評価されている証しでもあります。

大学ラグビーの決勝の舞台は、選手にとって極度の緊張とプレッシャーがかかる環境です。
その中で1年生が先発としてピッチに立つことは簡単なことではありませんが、むしろ勢いあるプレーがチーム全体を活気づける可能性もあります。

明治は「完遂」というスローガンのもと、学年の垣根を越えた一体感を重視してきました。
ベテランと若手が混じり合い、それぞれが役割を果たすことができれば、チームとしての厚みはさらに増します。古賀選手がその象徴的な存在となるのか、ファンの視線が集まります。

両校スローガンが示すもの:「完遂」vs「One Shot」

この決勝を象徴するのが、両校が掲げるスローガンの対比です。

  • 明治大学:「完遂」 … やるべきことを最後までやり切る、積み上げてきたものをすべて出し切るという意味が込められています。
  • 早稲田大学:「One Shot」 … 決定的な一撃、ここ一番のプレーで勝機をつかむという強い意志を表しています。

明治は、スクラムやモール、前に出るディフェンスといった積み重ね型の強みを武器に、80分間を通して「自分たちのラグビー」を遂行することを目指します。
一方の早稲田は、キックカウンターやターンオーバーからの速い展開など、少ないチャンスをものにして流れを引き寄せる一撃必殺型の強みを持っています。

「完遂」と「One Shot」。
どちらが正しいというものではなく、ラグビーというスポーツの中に共存する、ふたつの価値観とも言えます。
だからこそ、この決勝は単なる勝敗を超えて、「どう勝つのか」「どんなチームが頂点に立つのか」を示す試合としても、大きな意味を持っています。

ファンにとっての早明決戦:特別な一日

早明戦は、両校の学生やOB・OGにとってはもちろん、多くのラグビーファンにとっても特別な一日です。
応援歌や校歌がスタジアムに響き渡り、スクラムが組まれるたび、タックルが決まるたびに、大きな歓声とどよめきが起こります。

大学ラグビーの魅力は、「今しかない時間」を懸けて戦う選手たちの姿にあります。
4年生にとっては集大成の試合であり、1年生から3年生にとっては「先輩たちと一緒に戦える最後の舞台」です。
試合後、勝ったチームには喜びと充実感、負けたチームには悔しさと、それでも前に進もうとする清々しさが残ります。

この早明決戦も、きっとそんな大学ラグビーならではのドラマに満ちた試合になるはずです。
80分間、ひとつひとつのプレーに込められた思いを想像しながら観戦すると、スコアだけでは測れない深い感動を味わうことができるでしょう。

日本ラグビーの未来につながる一戦

大学ラグビーの決勝は、将来の日本代表候補たちが一堂に会する舞台でもあります。
明治、早稲田の両校からは、これまでも多くのジャパン戦士が生まれてきました。
スクラムの最前線で戦うFW、華麗なステップを見せるBK、そしてゲームをコントロールするSOやSH。
それぞれのポジションで輝く選手たちが、数年後には日本代表ジャージーに袖を通し、世界と戦っているかもしれません。

そう考えると、この決勝は「大学日本一を決める試合」であると同時に、「日本ラグビーの未来を垣間見る試合」でもあります。
若い選手たちが、重圧のかかる大舞台でどのようなパフォーマンスを見せるのか。その経験が、必ず次のステージへの糧になるはずです。

伝統の早明戦が、再び決勝の舞台で実現した今大会。
「完遂」の明治か、「One Shot」の早稲田か。
学生ラグビー最高峰の激突から、目が離せません。

参考元