櫻井よしこ氏も注目――自民党総裁選と高市早苗氏の経済政策に迫る
2025年10月4日に予定されている自民党総裁選をめぐり、高市早苗前経済安保担当大臣の出馬表明とその経済政策が大きな話題となっています。政治評論家として知られる櫻井よしこ氏も、今回の選挙と高市氏の戦略的判断についてメディアで継続的にコメントを発し、国民の関心を集めています。
自民党総裁選「フルスペック選挙」とは何か
今回の総裁選は、いわゆる「フルスペック選挙」となります。これは、国会議員だけでなく党員・党友も全て投票権を持つ形で実施されるもので、党内外で大規模な注目を浴びています。しかし一部では「この時期のフルスペック選挙は自民党と日本政治にとって自爆行為だ」と指摘する声も聞かれます。これは、党の分断や不透明な合意形成プロセスが露呈し、政権基盤のさらなる弱体化につながりかねないと懸念されているためです。
高市早苗氏、経済政策を軸に訴え
総裁選出馬を正式に表明した高市早苗氏は、生活の安全保障を掲げ、「物価高から暮らしと職場を守る」と力強く訴えています。本年5月には食料品の消費税ゼロを唱えていましたが、政策転換を表明。「食料品の消費税ゼロは見直すことになると1年ほど要し、目下の物価対策として即効性がない」と判断し、封印しています。代わりに、高市氏は以下の政策を主張しています。
- ガソリンと軽油の暫定税率廃止:「ガソリン暫定税率」の年内廃止を掲げています。これは与野党で議論が進められてきた重要テーマです。
- 「年収の壁」の引き上げ:就労時間調整の一因となる「年収の壁」を引き上げることで、人手不足対策を講じます。
- 平均賃金100万円アップの目標(2030年度まで):賃金上昇を目指すことで生活基盤の強化につなげます。
- 給付つき税額控除の導入検討:特に所得の低い層を対象とした新たな経済支援策です。
給付つき税額控除とは
給付つき税額控除は、物価高対策の一環として注目されています。所得の低い人を主な対象としたこの制度は、納税額に応じて現金が給付される仕組みです。例えば10万円の控除を実施した場合、
– 所得税15万円納税者には10万円減税され、5万円納税
– 所得税5万円納税者は納税不要、さらに5万円現金給付
– 所得税なしの方には10万円の現金給付
といった形です。
従来の直接的現金給付より公平性・即効性が高く、アメリカやドイツなどでも既に導入されています。日本国内では、与野党が本格的な制度設計のための協議を開始しており、立ち位置を大きく変えた高市氏がこの導入に前向きな姿勢を示しています。
消費減税への向き合い:排除せず、だが現実主義も
高市氏は以前は消費減税を強く主張していましたが、現状「消費減税を排除せず」としつつも、現実的な時間軸や実行可能性から見直しに転じています。これは即効性や財政バランス、野党との競合的な政策の差別化など複数の観点に基づく現実的な判断とされています。
その背景には、欧米主要国の経済支援策の導入状況や、国内に蔓延する物価上昇への即時対応ニーズ、国会での安定財源の議論進展などが影響しています。
高市経済政策の特徴と他候補との違い
高市氏の経済政策には「積極的な支援」「即効性」と「選択と集中」が色濃く出ています。消費減税ゼロ案の封印は「与野党ともに現実的な制度論議を優先させる時期」との決断に他なりません。
- 「現金給付」路線への転換による対象の明確化。
- ガソリン・軽油税の即時的減免で日常生活支出の削減を目指す。
- 「年収の壁」の見直しで労働供給の拡大と中間層厚化。
同じく総裁選に出馬を表明している他候補の中には、従来型の金融政策拡充やインフラ投資優先を訴える声もありますが、高市氏は「生活直撃型の即効性重視」を最大のセールスポイントとしています。
与野党の動向と総裁選の行方
給付つき税額控除の協議体の立ち上げをめぐり、与党(自民・公明)と野党(主に立憲)の間で合意が形成されつつある点も注目です。「新総裁になっても制度設計協議の継続を確約してほしい」とする野田代表の発言にみられるように、これは今後の政局の流れにも大きく関わるテーマになっています。
一方、党員・議員間では「今行うフルスペック選挙」は党の将来性や国民の信頼を損ないはしないかとの声も強く、党内外の意見集約が急がれています。
物価高対策・生活支援――国民生活とどう向き合うか
高市氏の政策の根幹には「生活の安全保障」「実効的かつ公平な支援」「持続可能な成長戦略」があります。給付つき税額控除はその中核として、直接的、選択的に困窮層を支援する施策であり、国民の生活実感に寄り添ったものです。
櫻井よしこ氏の論評――政治と有権者の目線
著名なジャーナリスト・コメンテーターである櫻井よしこ氏は、今回の総裁選と高市氏の経済パッケージについて「国民目線で実効性を重視した政策論争こそが今まさに求められている」とメディアで繰り返し評論しています。櫻井氏は、フルスペック選挙のリスクと機会の両面を冷静に分析しつつ、「有権者の生活実感を優先して政治が変革しなければならない重大な岐路」と締めくくっています。
今後の論点と展望
- 総裁選の結果が日本経済政策全体に与えるインパクト
- 給付つき税額控除の具体的な制度設計と実現可能性
- 党の結束・政権への信頼維持という別の大きな課題
今後の論点は、高市氏の政策実現可能性と財源論、そして短期的な経済対策と長期的な経済再生とのバランスに及んでいくでしょう。総裁選の行方次第では、経済政策のみならず日本政治全体の風向きが変わる節目となる可能性もあります。国民、そして各界の識者が注目するこの歴史的局面から目が離せません。