ウズベキスタン大統領、国連総会で「新生ウズベキスタン」の成果と未来像を語る

2025年9月、ニューヨークの国連本部にて開催された第80回国連総会において、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨーエフ大統領が登壇し、国際社会の注目を集める演説を行いました。大統領は自国の近年の変革と成果、そして国際社会が抱える課題への提案を語り、世界各国の連帯を呼びかけました

国際社会の変化と課題への訴え

ミルジヨーエフ大統領は演説の冒頭、国際機関の役割の弱体化や、紛争や戦争の増加、さらに社会・技術格差の拡大および経済・人道危機の深刻化という、世界的に増大する課題に真摯に言及しました。

  • 国際秩序の維持と平和の重要性を強調し、国連こそが妥協点を見出すための最重要なプラットフォームであると述べました。
  • 開発途上国の声を十分反映させるため、国連安全保障理事会の構成を拡大することを提案しました。
  • 全世界が抱える多様な課題への対処には、各国の連帯とオープンな対話、パートナーシップ強化が不可欠であると強調しました。

「新生ウズベキスタン」の具体的成果

大統領は、「新生ウズベキスタン」と称される自国の大改革によって、劇的な社会経済の進歩が実現したことを具体的に報告しました。

  • 貧困率の大幅な減少: わずか数年間で35%から6.6%にまで減少。
  • 教育制度の発展: 教育の普及が大きく拡大。
  • グリーンエネルギー推進とイノベーション: 環境に配慮した再生可能エネルギーの導入、革新的産業が飛躍的に発展。
  • 所得分類の目標: 2030年までに世界銀行分類で高中所得国入りをめざすという明確な目標を掲げました。

これらの成果は、「自由と公正、持続的成長」を基本理念とした政府・国民一体の取り組みと国際社会の協力によって導かれたものです。

人道・安全保障への国際的呼びかけ

国際社会が直面する深刻な人道危機や安全保障上の課題に対しても、大統領は明確な姿勢を示しました。

  • ガザ地区問題:
    イスラエル・パレスチナ情勢について、軍事的行動の停止と政治交渉の継続を求め、国連決議による「二国家解決」原則の早期実現を強く支持しました。
  • ウクライナ情勢:
    長期化する戦闘に深刻な懸念を表明しつつ、外交的解決に向けた対話の開始を歓迎しました。
  • 国連改革:
    特に常任理事国の構成拡大など、より多様な価値観と利益を反映できる国連システムを求めました。

気候変動と持続可能な発展のための国際協力

ウズベキスタンが直面する環境課題、それへの国際的枠組みづくりについても大統領は強い決意を示しました。

  • アラル海問題:
    かつて世界第4の湖であったアラル海の環境被害について、200万ヘクタールの干上がった湖底に対する大規模な植林事業を既に展開、2030年までにそのうち80%を緑地化目標としています。
  • 水資源の保全:
    2028年にはウズベキスタンが世界水フォーラムを開催し、各国が協調して水資源危機を乗り越えるグローバルな「ロードマップ」策定を呼びかけました。
  • 気候変動による移住:
    気候変動がもたらす人口移動(クライメート・マイグレーション)について、対応のための国際的な新条約締結を提案しました。
  • テクノロジー協力:
    AI技術を含め、最新技術を発展途上国を含む世界各国が平等に共有できる国際的な枠組み作りを訴えました。

国連総会でのウズベキスタンの存在感と展望

今回の演説は、ウズベキスタンがアジアの中心で新たなリーダーシップを発揮し、グローバルな課題解決への積極的な関与を示すものでした。大統領の言葉からは、次のようなメッセージが感じられます。

  • 「新生ウズベキスタン」は変革を恐れず、よりよい社会と未来を建設する意欲に満ちている。
  • 自国の経験や成功事例を、成長途上国へのモデルケースとして世界に提供できることを誇りとしつつ、謙虚さと連帯の精神を大切にしています。
  • グローバル課題にウズベキスタン自らがイニシアティブをもって積極的に参加し、より平和的で持続可能な国際社会を目指していく意志が鮮明に打ち出されました。

おわりに

ウズベキスタン大統領による第80回国連総会での演説は、国家的な成果のみならず、世界のあらゆる場所で奮闘する人々へのエールであり、「みなで力を合わせ、持続可能な未来を創ろう」という力強い呼びかけでもありました。

「新生ウズベキスタン」の取り組みや国際的なパートナーシップが、今後どのような変化とインパクトを生み出すのか、日本を含む多くの国々も注目しています。新しい時代への決意を胸に、ウズベキスタンは着実に歩みを進めています。

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