米国がパリ協定から正式に離脱 トランプ政権が国際的な気候変動対策から離反

米国は2026年1月27日、国際的な地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定から正式に離脱しました。トランプ大統領は2025年1月の就任初日に離脱を命じる大統領令に署名し、協定上の規定により1年後の今日、離脱が正式に発効することになりました。

パリ協定離脱までの経緯

米国とパリ協定の関係は、政権交代によって大きく揺れ動いてきました。2015年12月にパリ協定が締結された際、当時のオバマ大統領は気候変動問題に積極的に取り組む姿勢を示し、2016年9月3日に米国は協定に加盟しました。

しかし、2017年に発足したトランプ前政権は、国内産業保護と経済優先を理由に協定からの離脱を表明し、2020年11月4日に正式に脱退しました。その後、2021年に就任したバイデン大統領は米国の再加盟を決定し、脱炭素化と国際協調の強化を進めていました。

そして2025年1月、トランプ大統領が再選を果たし、就任初日にパリ協定からの再離脱を宣言したのです。今回の離脱は、米国がこうした国際的な気候変動対策から距離を置くことを意味しており、世界の気候変動対策に大きな影響を与えることになります。

トランプ政権が掲げる離脱の理由

トランプ政権がパリ協定からの離脱を決めた表向きの理由は経済優先です。同政権は、パリ協定に参加し続ければ、排出削減目標を達成するために石炭火力発電所などの閉鎖や再生可能エネルギーへの転換が必要となり、雇用喪失やエネルギー価格の上昇につながると主張しています。

また、バイデン政権の温暖化対策によってエネルギー価格が高騰し、インフレが加速したと批判。アメリカ経済への悪影響が、協定に参加し続けることの不公平な負担だと訴えています。

さらにトランプ大統領は、地球温暖化は人為的なものではなく自然現象だという立場をとっており、パリ協定のような国際的な枠組みそのものが不要だと考えています。同政権は「アメリカ第一主義」を掲げ、シェールガスや石油などの化石燃料の開発を推進し、エネルギーの自給自足を目指す方針です。

本質的な背景 政治的利権と支持層へのアピール

専門家やメディアの分析によると、トランプ氏がパリ協定からの離脱を決めた背景には、より本質的な政治的な狙いがあるとされています。

同氏の支持基盤には、化石燃料産業に従事する労働者層と温暖化対策に懐疑的な層が含まれています。パリ協定からの脱退と化石燃料産業の推進は、こうした支持層へのアピールであり、政権の政治的利権を守る手段だと指摘されています。

規制撤廃と経済優先の姿勢は、支持者の期待に応える政策として機能しており、トランプ政権にとって重要な政治的課題となっているのです。

パリ協定の基盤となる条約からも脱退 復帰がより困難に

さらに懸念される動きとして、トランプ政権はパリ協定の前提となる「国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)」からも脱退する指示を出していることが報じられています。

UNFCCCは1992年に採択された国際条約であり、パリ協定はこの枠組みの上に成立しています。UNFCCCからの脱退は世界初の事例となり、パリ協定の基盤そのものを崩しかねない動きとして国際社会から懸念されています。

もし米国がUNFCCCからも脱退した場合、将来政権交代が実現したとしても、パリ協定への復帰には相当な時間がかかることになる見通しです。これは単なる協定からの離脱ではなく、国際的な気候変動対策の枠組みそのものからの撤退を意味しており、世界的な課題解決に向けた協力体制に深刻な影響をもたらします。

世界の気候変動対策に与える影響

米国のパリ協定離脱は、世界全体の気候変動対策に大きな打撃を与えることになります。米国は世界有数の経済規模を持つ国であり、同時に世界有数のエネルギー消費国です。その米国が国際的な気候変動対策から離反することは、地球温暖化を1.5℃に抑える目標の実現をいっそう困難にするものです。

世界各国が協力して温暖化対策に取り組む中、米国という重要なプレイヤーの離脱は、全体的な達成目標の引き下げやモチベーションの低下につながりかねません。国際社会の一員として、米国は多国協調を壊すべきではないという指摘も相次いでいます。

今後の課題と国際社会の対応

米国の離脱によって、他の先進国やEU、途上国といった国々がどのように対応するかが注目されています。一部の国々は、米国抜きでも気候変動対策を推し進める姿勢を示していますが、世界最大級の経済規模を持つ国の不参加は、取り組みの実効性に影響を与えることは避けられません。

今後、米国が政治的な状況の変化によって国際協調に回帰するのか、それとも孤立主義的な姿勢を貫くのかが、世界の気候変動対策の行方を大きく左右することになるでしょう。

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