トランプ大統領がグリーンランド領有を巡りヨーロッパと対立

アメリカのトランプ大統領がグリーンランドの領有に強い意欲を示していることから、デンマークを含むヨーロッパ各国との関係が急速に悪化しています。グリーンランドはデンマーク領の自治領であり、この問題は国際関係における大きな火種となっています。

グリーンランド領有に向けた圧力戦略

トランプ大統領は地政学的な重要性を理由にグリーンランドの領有に執着しています。「地理上重要な場所にも関わらず無防備な状態だ」と指摘し、アメリカ以外にグリーンランドを防衛できる国はないと主張しています。さらに、中国やロシアの脅威を念頭に、アメリカがグリーンランドを領有しなければ国家安全保障に大きな穴が開くと繰り返し述べています。

トランプ大統領はこの領有構想を実現するため、強硬な経済的圧力を活用しようとしました。グリーンランド領有に反対するイギリスやフランスを含むヨーロッパ8カ国に対して、追加関税を課すと発表しました。当初、来月1日から10%の追加関税を実施し、その後6月1日には25%に引き上げる予定とされていました。

急転した政策と国債売却への警告

しかし、この強硬姿勢は急速に変わることになりました。わずか4日でトランプ大統領はヨーロッパ諸国への追加関税措置の実施を見送ると発表したのです。この急な転換の背景には複数の要因があると見られています。

一方で、トランプ大統領は別の形での圧力を継続しています。22日のFOXビジネスのインタビューで、ヨーロッパ各国がグリーンランド領有に対抗措置としてアメリカ国債を売却すれば「大規模な報復措置をとる」と強調しました。この警告は、デンマークの年金基金がアメリカ国債売却の意向を示したことから、ヨーロッパ各国が追随するとの観測が広がったことへの対抗措置と考えられます。

デンマークと当事国の反発

デンマークはグリーンランドの領有問題に対して、明確に反対の意思を示しています。デンマーク副首相は14日、アメリカの関係者との会談でアメリカによるグリーンランド領有を拒否する考えを直接伝えました。

グリーンランド自治政府も積極的な抵抗を示しており、首相は「当事者抜きの交渉はない」とけん制する姿勢を見せています。グリーンランド住民はこの問題について大規模なデモを開催し、トランプ政権による領有に強く反対を表明しています。

国家戦略としての背景

トランプ大統領の領有構想の背景には、南北アメリカ大陸などを西半球全体をアメリカの勢力圏とみなす戦略的な思想があります。しかし、グリーンランドには既にアメリカ軍基地が存在しており、専門家からは中流部隊を増やすことで対応可能との指摘も出ています。市民からは、この領有構想は純粋な安全保障の問題ではなく、別の経済的・戦略的狙いが存在するのではないかという指摘も聞かれています。

複雑化する国際関係

この問題は単なる領土問題ではなく、ヨーロッパとアメリカの関係、そしてグリーンランド自体の自決権に関わる重要な課題となっています。トランプ大統領の急な政策転換にもかかわらず、緊張は緩和されておらず、引き続き国際的な注視を集めています。

今後、この問題がどのように展開するかは、アメリカ、デンマーク、そしてグリーンランド自治政府間の外交交渉の進展に大きく左右されることになるでしょう。

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