トランプ大統領がグリーンランド取得で関税を武器に欧州8カ国に圧力

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、デンマーク自治領グリーンランドの領有に異様なまでの執着を見せています。2月1日から欧州8カ国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランド)への輸入品に対して10%の関税を課し、さらに6月からは25%に引き上げると表明しました。この強硬な関税政策は、グリーンランド購入に関する合意に達するまで続くとされています。

グリーンランド問題をめぐるトランプ政権の動きは、単なる「暴言外交」ではなく、冷徹で計算された戦略的思考に基づいています。実は、アメリカがグリーンランドの取得を目指した歴史は古く、1867年のアラスカ購入直後に検討されており、1946年にはトルーマン政権がデンマークに対して1億ドル相当の金での正式な購入提案を行いました。その際、デンマークが購入提案を拒否した後も、アメリカはデンマーク両国政府の同意の下でトゥーレ空軍基地(現在のプツフィック宇宙基地)を設置し、事実上の軍事的足場を確保してきました。

グリーンランドをめぐるアメリカと欧州の対立

トランプ大統領は、グリーンランドが中国やロシアによる軍事的脅威にさらされていると主張しており、これが防衛力強化策の名目となっています。グリーンランドの防衛装備についても、「犬ぞり2台だ」とコメントするなど、防衛能力の低さを指摘しています。

一方、グリーンランドとデンマークの外相がホワイトハウスを訪れ、ルビオ国務長官とバンス副大統領に対してグリーンランド取得構想への「拒否」を伝えました。デンマークのラスムセン外相は、「アメリカの立場を変えられなかった。私たちはアメリカと同盟国との連携を望んでいますが、敬意ある連携とレッドラインの尊重が必要です」とコメントし、同盟国としての主権と敬意を求める姿勢を示しました

トランプ政権の強硬な関税政策は、欧州各国の反発を招いています。現在、トランプ政権はEU諸国に対して15%の相互関税を課していますが、グリーンランド問題に反対する8カ国に対しては、さらに上乗せする形で関税を引き上げるというものです。この施策は、グリーンランド取得に軍事力行使も辞さない強硬姿勢を見せるトランプ政権をけん制する狙いがあるとも分析されています。

戦略的背景にある安全保障と資源競争

グリーンランドをめぐる動きは、冷戦期から続くアメリカの安全保障上の要請と、21世紀に入り顕在化した資源・地政学競争が交差した結果です。グリーンランドは北大西洋における戦略的に重要な位置にあり、ロシアや中国の北極圏への進出に対抗するための重要な拠点とされています。

この問題による米国とEUの関係悪化は、北大西洋条約機構(NATO)内部にも深刻な緊張をもたらしています。アメリカと欧州連合(EU)の間では、通商面での対立も厳しさを増しており、同盟国の主権を軽視するかのような発言は、国際秩序への挑戦と受け止められています。

グリーンランド取得の歴史的文脈

グリーンランドは18世紀からグリーンランドは歴史的にも地理的にもデンマーク王国の一部として存在してきました。トランプ大統領が主張するように、アメリカがグリーンランド取得を試みた歴史は150年前までさかのぼりますが、この歴史があるからといって現在の取得試みが正当化されるものではありません。

むしろ、軍事力と関税を武器にしてグリーンランド取得に動くトランプ政権の政策手法は、多くの国際社会の批評家から強く非難されています。

今後の見通し

グリーンランド問題は、単なる地政学的な争点にとどまらず、米国とEUの同盟関係の根本的な信頼性にも影響を与える可能性があります。デンマークとグリーンランドは、ハイレベル協議を続けることで一致していますが、トランプ政権の強硬姿勢が続く限り、関税を含めた経済的な対立が深まる懸念があります。

北大西洋地域での戦略的な重要性から、グリーンランド問題がどのように解決されるかは、今後の国際秩序とアメリカのリーダーシップの在り方に大きな影響を与えることになるでしょう。

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