れいわ新選組代表選で山本太郎氏が3期目続投 高校生候補も健闘した選挙の全体像
れいわ新選組は、任期満了にともない実施した第2回代表選挙の開票を行い、山本太郎代表の続投を正式に決定しました。今回の代表選には高校生を含む5人が立候補し、政党の代表選としては異例の顔ぶれとプロセスが大きな注目を集めました。
代表選の結果:山本太郎氏が3期目の代表に
れいわ新選組は8日に代表選の開票を行い、山本太郎氏(51)の再選が決まりました。任期は2028年12月までで、今回が3期目の代表就任となります。山本氏は開票後、「れいわのネクストステージに向かって全力で旗を振っていきたい」と、今後の党運営と政策実現に向けた意気込みを語りました。
代表選は12月1日に告示され、山本氏を含む5人が立候補しました。選挙は、国会議員票15票と、地方議員や一般党員などに割り当てられた15票を合わせた計30票を争う仕組みで行われました。山本氏はこのうち17.04票を獲得し、他候補を上回って当選しました。
5人が名乗りを上げた代表選:高校生候補も立候補
今回の代表選には、以下の5人が立候補しました(五十音順)。
- あおやぎ みつあき 氏
- 阪口直人 氏
- 篠原一騎 氏(宇都宮市在住の高校3年生)
- やはた愛 氏
- 山本太郎 氏
候補者は、告示日である12月1日に国会内で開かれた候補者記者会見に臨み、それぞれが自らの政策や代表像、れいわ新選組をどう発展させたいかを語りました。この会見には、党所属の高井たかし代表選管委員長が進行役として出席し、選挙の公平性と透明性が強調されました。
5人が並び立つ会見は、れいわ新選組が掲げてきた「ボトムアップの政治」「多様な声の反映」を象徴する場となり、ベテラン議員から若者までが同じ土俵で議論する様子が注目されました。
宇都宮市在住の高校3年生・篠原一騎氏が出馬
今回の代表選をめぐって大きな話題となったのが、栃木県宇都宮市在住の高校3年生・篠原一騎氏の立候補です。れいわ新選組の支持者であり、一人の若者として政治に声を届けたいという思いから、代表選への出馬を決意したとされています。
開票の結果、篠原氏は5人中4位という成績でしたが、高校生という立場で全国政党の代表選に名乗りを上げたこと自体が、大きなインパクトを持ちました。得票数の上では上位には届かなかったものの、「若い世代の政治参加」「教育と政治」「地方在住の若者の声」など、多くの論点を社会に投げかけたと言えます。
政党の代表選に高校生が正式な候補者として参加するケースは極めてまれであり、今回の挑戦は、れいわ新選組の開かれた選挙制度と、若者の政治意識の変化を象徴する出来事として受け止められています。
候補者記者会見で示された「れいわのこれから」
12月1日に国会内で行われた第2回れいわ新選組代表選挙 告示日 候補者記者会見では、5人の候補者が順番に登壇し、代表に立候補した理由や、党の進むべき方向性について語りました。
会見では、次のようなテーマが繰り返し取り上げられました。
- 物価高・生活困窮への具体的な支援策をどう打ち出すか
- 消費税廃止など、れいわ新選組が掲げてきた経済政策をどう進化させるか
- 若い世代や地方からの声を、党運営にどう反映していくか
- 国会内外での野党共闘や、政権交代に向けた戦略
ベテラン候補は、これまでの政治経験を踏まえた現実的な政策の組み立てや、国会での交渉力をアピールしました。一方で、若い候補や新人候補は、自分自身の生活実感から出発した問題意識を語り、「困っている人の立場に立つ政治」への強い思いを前面に出しました。
こうした公開の場での議論を通じて、れいわ新選組が「代表個人の人気」に依存するのではなく、「チームとしての多様性」と「党全体の成長」を重視している姿勢がうかがえます。
選挙制度と得票構造:国会議員票と党員・サポーター票
今回の代表選は、れいわ新選組の国会議員15票と、地方議員や一般党員らに割り当てられた15票を合わせた計30票によって争われました。これは、小さな政党であっても、さまざまな立場の関係者がバランスよく意思決定に関われるよう設計された仕組みといえます。
山本氏はこのうち17.04票を獲得し、全体の過半数を上回る支持を得て再選を果たしました。細かい得票の内訳は公表されていませんが、国会議員からの支持基盤が引き続き厚いことに加え、党員やサポーターからも一定の信任を得ていることがうかがえます。
一方で、他の4候補もそれぞれ票を積み上げており、「山本氏一強」という単純な構図ではなく、党内に多様な意見や選択肢が生まれつつあることを示す結果とも受け止められています。
山本太郎氏が語る「ネクストステージ」とは
3期目の任期が2028年12月までとなる山本太郎氏は、再選を受けて「れいわのネクストステージ」という言葉を用いました。この表現には、これまでの「旗揚げ期」「拡大期」を経て、政党としてさらに一段階成長するという決意が込められています。
れいわ新選組は、結党以来、次のような政策を前面に掲げてきました。
- 消費税廃止とインボイス制度の撤回
- 所得税・法人税の累進強化や金融資産課税などを通じた格差是正
- 5年間で43兆円の軍事費倍増計画を中止し、非軍事分野への投資を強化する方針
- 製造業やグリーン産業への大規模投資による雇用創出
- 再生可能エネルギー100%を目指すエネルギー政策と、福島原発事故被災者支援の継続
- 憲法25条を重視した「健康で文化的な最低限度の生活」の実現
- マイナンバーカードへの統合に反対し、国民皆保険制度を堅持する姿勢
「ネクストステージ」とは、これらの政策を「掲げる」段階から、「より多くの国民に届き、実際の制度や予算に反映させていく段階」へと進めることを意味すると受け止められます。代表選で支持を確認したうえで、次期衆議院選挙や地方選挙に向け、党の組織力と発信力を高めていくことが求められます。
若者の政治参加に与えた影響
今回の代表選で特に象徴的だったのは、やはり高校3年生の篠原一騎氏が正式な候補者として出馬したことです。結果は5人中4位という数字でしたが、「10代でも政党のトップに挑戦できるのか」という驚きとともに、多くの若者に「政治は遠い世界の話ではない」という実感を与えました。
SNS上では、「同世代が代表選に出ているのを見て、初めて政治に興味を持った」「自分も何かできるかもしれないと思った」といった声が見られ、単なる一度きりの出来事ではなく、若い世代の政治意識に少なからぬ影響を与えたと考えられます。
れいわ新選組はもともと、難病当事者やシングルマザー、非正規労働者など、既存の政治からこぼれ落ちてきた人々を国会へ送り出してきた政党です。その延長線上で、今回の高校生候補の立候補は、「政治に参加するハードルを下げる」というメッセージにもなりました。
党内民主主義と「開かれた代表選」の意味
今回の代表選では、「現職代表がそのまま続投するのかどうか」を党内だけで話し合って決めるのではなく、公募された5人の候補による選挙という形がとられました。これは、小規模政党としては手間も時間もかかるプロセスですが、それでも実施したことにはいくつかの意味があります。
- 代表の権限をあえて「選挙にさらす」ことで、党員や支持者に判断を委ねる姿勢を示したこと
- 異なる世代・バックグラウンドを持つ候補者が政策やビジョンを語ることで、党内の多様性を可視化したこと
- メディアや有権者に対して、「れいわ新選組の中でどのような議論が行われているのか」をオープンにしたこと
こうしたプロセスは、単に代表を選び直すというだけでなく、「党としてどう変わっていくのか」「どこに向かうのか」を共有する場になりました。結果として山本氏が続投することになりましたが、その過程を通じて、今後の党運営に対する期待や課題も浮き彫りになったと言えます。
今後のれいわ新選組と山本太郎氏に注がれる視線
3期目に入る山本太郎体制には、次のような点で注目が集まります。
- 経済政策:物価高や実質賃金の目減りが続くなかで、「消費税廃止」などの主張をどこまで現実の政治に近づけられるか
- 安全保障・外交:防衛費増額や国際情勢の緊張が続くなか、「軍事一辺倒ではない安全保障」の具体像をどう示すか
- 組織拡大:国会議員、地方議員、党員・サポーターをどこまで増やし、政党としての基盤を固められるか
- 若者との連携:高校生候補の登場をきっかけに、若い世代との対話や参加の場をどう広げていくか
今回の代表選は、「山本太郎」という個人の人気に頼るのではなく、「れいわ新選組という器」をどう育てていくのかを問う選挙でもありました。その意味で、高校生を含む5人が立候補し、記者会見や選挙戦を通じて議論を交わしたことは、党にとって大きな財産になったといえます。
山本氏が掲げた「ネクストステージ」が、どのような形で現れてくるのか。今回の代表選で示された多様な声が、今後の政策づくりや選挙戦略にどのように生かされていくのか。れいわ新選組と山本太郎氏の歩みが、引き続き注目されています。



