【ニュース解説】れいわ新選組・山本太郎代表が訴える「消費税廃止」と農業再生プラン――全国巡回対話が各地で注目

■はじめに――今、消費税と農業に注目が集まる理由

強まる物価高と長引く経済不振のなか、消費税のあり方が大きな社会的議論となっています。その中心に立っているのが、れいわ新選組代表・山本太郎氏です。今夏の参院選を控え、山本氏は全国各地で「消費税廃止」を強く訴え、農業の担い手不足に対する独自の提案も打ち出しています。本記事では、2025年10月の動向をもとに、山本氏の主張と現地での反響を詳しく整理します。

■山本太郎氏の主張――「消費税廃止」がなぜ必要なのか

  • 30年に及ぶ経済低迷と物価高。山本氏は失われた30年(長期不況)と、コロナ禍後の急激な物価高を挙げ、「消費税は景気回復の妨げ」と断言しています。
  • 可処分所得の増加を最優先。市民が自由に使えるお金(可処分所得)を増やすため、迅速な減税、理想として「消費税廃止」が必要だと強調しています。
  • 景気の循環を重視。「みなさんが使ったお金が誰かの収入になる」という観点から、「減税や消費税廃止で消費を増やし、経済を回すべき」と述べています。

■財源論:「消費税廃止」はどう実現する?

消費税廃止に対し、よく挙がるのが「財源はどうするのか?」という疑問です。山本氏は次の二段階アプローチを掲げています。

  • 段階的な税制改革:法人税の累進化(高所得の企業に高い税率を課す)、金融所得への課税強化など、税制全体の改革を進める。
  • つなぎの国債発行:新制度が整うまでの間は国債発行で一時的に財源を確保する(国としての信用で資金を賄う)。

山本氏は「現状のままの税制や社会保険料で市民に負担をかけては、経済の基盤が崩れる」と危機感を表明し、抜本的な改革が避けられないとしています。

■他党へのスタンスと「消費税減税論争」

各党も物価高対策として「消費税減税」案を打ち出していますが、山本氏はこれを「選挙前の小手先」と批判。れいわ新選組は「廃止」こそ根本解決、減税では不十分との考えを譲らず、一方で「国民の利益に資するなら5%減税案にも歩み寄りは可能」と柔軟な姿勢も見せています。

また、共産党との間で税制改革の主導権争いが起きていることに対し、「ライバル意識は持っていない」と語りつつも、「その場しのぎの減税には反対」と明確に線引きをしています。

■農業政策:担い手不足への「国による直接買い取り」案とは

消費税廃止論と並んで注目されるのが、農業再生策です。山本代表は鹿児島県薩摩川内市ほか各地の巡回集会で、農家の苦境や高齢化・担い手不足を具体的に取り上げ、「生産物を国が直接買い取る」という優遇策を提案しました。

  • 趣旨: 農産物の価格暴落や、競争力低下を防ぐため、国が一定量の農産物を安定価格で直接買い取る。
  • 期待される効果: 農家の安定収入確保。若い世代が安心して農業を継げる環境づくり。
  • 背景: 農業従事者の高齢化や地方の人口減少が急速に進み、対策が急務となっている。

また山本氏は、「食料自給率の向上なくして日本の安心は守れない」とも述べ、「日本の胃袋を守る」という強い使命感を打ち出しています。現場からの「もっと農業を元気に」という声が多数寄せられました。

■現地の対話会:九州・東北での反響と議会選へのねらい

各地の「おしゃべり会」や対話集会では、生活者や農家から率直な悩みや要望が寄せられ、山本氏はひとつひとつ丁寧に受け止めています。熊本県八代市、佐賀県鳥栖市、大分県玖珠町などでは、地元議会選への候補者支援も活発に行われ、参院選のみならず地方政治にも影響力を拡大しています。

  • 農業関係者の反応: 「国の買い取り案で初めて希望が見えた」「担い手の若返りと自給率向上に期待」の声が上がる。
  • 一般市民の反応: 「減税・廃止で家計が楽になるなら応援したい」「現実的な財源論をもっと聞きたい」といった切実な意見が多く寄せられています。
  • 政治家・有識者の評価: 「消費税論争の中心になった」「地方からのボトムアップ政治への可能性」と注目する向きも増えています。

また、山本氏は各市町村で「候補者擁立ゼロ地域も見捨てない」とし、地方独自の課題にも率先して耳を傾けています。

■今後の課題と展望

山本氏が掲げる「消費税廃止」「農産物の国買い取り」構想には、社会保障とのバランスや長期的な財政持続性など、今後詰めるべき課題も少なくありません。しかし、これまで「変えられない」とされてきた政策議論を広く社会に投げかけ、市民と双方向で考えるきっかけを作ったこと自体が大きなインパクトを与えているのは確かです。

全国巡回を続ける山本太郎代表とれいわ新選組の動向から、消費税・農業・地域経済の未来をともに考える必要性が高まっています。

■おわりに――市民・農家とともにつくる新しい政治議論

消費税の廃止や農業再生策は、多くの国民が身近に感じる切実なテーマです。山本太郎代表の「市民の声から政策を生み出す」積極的な現場主義が、政治にどのような変化をもたらすか――これからも全国各地で議論が続きます。

参考元