高市早苗首相の「台湾有事」発言が波紋を呼ぶ
2025年11月、高市早苗首相が国会で「台湾有事は間違いなく存立危機事態になり得る」と発言したことが、日本国内外で大きな話題となっています。この発言は、台湾海峡で武力衝突が起きた場合、日本が集団的自衛権を行使する可能性があることを示唆するもので、中国政府は直ちに強く反発しました。
中国側の反発と対抗措置
- 中国外交部は、日本政府に対し「台湾有事」に関する発言の撤回を再三要求しています。
- 中国は日本への渡航自粛や、日本からの留学生受け入れの慎重な検討を呼びかけるとともに、日本の水産物の輸入を事実上停止する措置を発表しました。
- これらの対応は、日本側への明確な対抗措置と見なされており、中日関係の緊張が高まっています。
石破茂前首相の見解
こうした中、石破茂前首相は2025年11月23日、ABEMAのニュース番組に出演し、高市首相の発言について問われました。石破氏は「現場で聞いていないので、明確な批評はできない」としながらも、「高市さんは練達な政治家なので、いろんなことを考えながら発言しているはずだ」と述べました。
「歴代政権は避けた発言」
石破氏は、高市首相の発言について「歴代政権が避けてきた発言」と認識しています。つまり、台湾問題を「存立危機事態」と明言することは、これまでの日本政府の姿勢とは異なるものだと指摘しています。また、石破氏は「抑止力になるという説明がなければ、論評のしようがない」とも語り、発言の背景や意図を明確にすることが重要だと強調しました。
「台湾有事は日本有事」に近い発言
石破氏はさらに、「高市首相の発言は『台湾有事は日本有事だ』と言っているのに近い」と指摘しました。つまり、台湾海峡で衝突が起きた場合に日本が軍事介入する可能性を示唆していると受け止められています。この発言は、日本国内でも賛否両論を呼んでおり、一部からは「国家の危機を招く」との批判も出ています。
高市首相の立場と政府の対応
高市首相は、発言の修正や撤回をせず、「政府の立場は一貫している」と強調しています。高市氏の周辺からは、今回の発言が他国への抑止力になると期待する声も聞かれます。しかし、石破氏は「いかなる事態が起こるか、いろんな例があります」として、具体的な抑止力の説明を求めています。
与党議員の役割
石破氏は、「我々が選んだ総理なんだから、国益を誤ることがないように言うべきことは言う、収めるべきところは収める。それが与党の議員の仕事じゃないか」と訴えました。与党議員として、政府の発言を支持しつつも、国益を守るためのバランスを取ることが求められているのです。
台湾の立場と国際社会の反応
台湾当局は、高市首相の発言に対して「感謝」を表明していますが、一方で「台湾は中国の内政問題」とする中国政府の立場を踏まえ、慎重な対応を取っています。台湾は、中日関係の緊張が高まることを避け、自らの立場を明確にしないよう努めています。
国際メディアの見方
- ドイツ語メディアは、高市首相の発言を「危険なエスカレーション」と評価しています。
- 国際社会では、日本が台湾問題に直接関与することで、地域の緊張がさらに高まる可能性が懸念されています。
日本国内の世論と支持率
2025年11月23日、毎日新聞が実施した世論調査では、高市早苗首相の支持率は65%と横ばいでした。台湾有事に対する高市首相の答弁については、問題ないと考える意見が多数を占めていますが、一部からは「国家の危機を招く」との批判も出ています。
まとめ
高市早苗首相の「台湾有事」発言は、中日関係に大きな影響を与えています。中国政府は強く反発し、対抗措置を取っています。石破茂前首相は、歴代政権が避けた発言だと指摘しつつも、国益を守るためのバランスを取ることが重要だと訴えています。台湾当局は、中日関係の緊張を避け、慎重な対応を取っています。国際社会では、日本が台湾問題に直接関与することで、地域の緊張がさらに高まる可能性が懸念されています。
今後、日本政府がどのように対応していくか、そして中日関係がどうなるか、注目が集まっています。


