日本政府が決定したロシアへの追加制裁 − 原油購入価格上限引き下げと渡航制限一部緩和の最新動向

2025年9月13日、日本政府はロシアによるウクライナ侵略の継続に対する追加制裁として、ロシア産原油の購入価格上限の引き下げをはじめとする新たな措置を発表しました。さらに外務省は、ロシアへの渡航制限に関して条件付きで一部緩和を行い、「真にやむを得ない」渡航の場合のみ例外を認める対応を取っています。

ロシア産原油の購入価格上限を47.6ドルに引き下げ

今回の追加制裁の中で最も注目されたのが、「ロシア産原油の購入価格上限」の引き下げです。これまで日本は、1バレルあたり60ドルを上限としてロシア産原油の取引を行ってきましたが、今回の措置により47.6ドルまで引き下げられました。これは、価格による圧力を強めることでロシアのエネルギー収入を抑える狙いがあります。

  • 制裁対象の拡大:資産凍結の対象として新たに51団体と14人の個人が追加されました。
  • 輸出禁止措置:日本からロシアへの輸出についても、11団体が新たに禁止対象となりました。

ロシアへの経済制裁は、2022年2月のウクライナ侵攻以降継続的に強化されてきた経緯があります。原油価格に関するプライスキャップ(上限設定)政策は、G7と協調する形で日本も導入しており、2022年12月にはこの上限価格を超える原油や取引サービスについて承認制が導入されました。2025年9月の追加措置は、その流れの中でもさらに厳格化されたものといえます。

資産凍結と輸出禁止など幅広い制裁措置

過去数年にわたって、日本政府はロシアに対し継続的な追加制裁を実施してきました。本件の重要ポイントは以下の通りです。

  • 2022年6月以降、ロシア連邦関係者、団体、銀行などさまざまな対象者への資産凍結を断続的に拡大。
  • 化学兵器関連物品、生産基盤強化に資する物品、貴金属(金)などの取引・輸出を段階的に禁止。
  • 会計・監査、経営コンサルティングなどのサービス提供についても許可制を導入し、ビジネス面でも接触を規制。

今回の新制裁では、これまでの措置が網羅的に強化され、特に資産凍結の対象者が大幅に増加した点が特徴的です。

外務省による渡航制限の一部緩和

一方、外務省はこれまで厳格だったロシアへの渡航制限について、一部緩和措置を導入しました。今回の措置により、「真にやむを得ない場合」に限って、日本人のロシア渡航を例外的に認める方向へ方針変更しています。たとえば、緊急対応や人道的理由による渡航を想定したものです。

  • それ以外の一般渡航は依然として厳しく制限され、国際情勢の変化を注視しながら随時見直しが進められる方針です。
  • ビジネス・交流など一般的な目的での渡航は十分ご注意ください。

各省庁の対応と国際協調

追加制裁に関しては、外務省・財務省・経済産業省が連携し、発表・施行まで一貫して協調体制を取っています。日本は、EUや米国など主要国と歩調を合わせた制裁強化を継続しており、経済安全保障や国際秩序維持の観点からも重要な役割を果たしています。

ウクライナを巡る一連の国際対話においても、日本政府は積極的な発言と行動を続けており、9月4日にはゼレンシキー大統領が「日本も制裁措置に取り組んでいる」と公表する場面もありました。また、EUでは第19次制裁パッケージが進行中であり、日本の今回の措置もその一環として位置付けられています。

日本の追加制裁措置がもたらす影響

今回の制裁強化は、ロシアのエネルギー収入の大幅な減少を目指すだけでなく、日本国内企業や市民、そして国際社会にも複合的な影響を与える可能性があります。

  • 日本国内のエネルギー市場への波及:原油の価格動向や代替調達先の確保など、安全保障上の課題が顕在化しています。
  • ロシア側の報復措置や外交的緊張の高まり:今後の対話や国際協調の下、慎重な外交対応が求められます。
  • 企業のリスク管理:ロシア関連事業を手掛ける日系企業への影響や、サプライチェーン管理の必要性が高まっています。

こうした制裁措置や渡航制限などの政策は、国民ひとりひとりの生活や経済活動、国際情勢に直結する重要課題です。今後も政府や関係機関は、最新情報を迅速に発信し、市民への影響を最小限に抑える努力を続けています。

まとめ − 平和と安全保障をめざす日本の立場

ロシアへの追加制裁は、ウクライナ侵略の早期終結、国際秩序の維持、そして日本の安全保障の確立という視点から、今後も継続・強化されていく見通しです。外務省による渡航制限の緩和策は、人道的配慮との両立を目指した柔軟な対応となっています。国際社会と協調して、日本政府は引き続き“平和国家”としての責務を果たしていくことが期待されています。

関連する制裁履歴と最新情報

  • 2022年以降の主な措置:

    • 資産凍結:ロシア政府関係者や関連団体に対する措置を段階的に拡大。
    • 輸出禁止措置:軍事転用可能な物品・サービス、化学兵器関連物品、貴金属など幅広い分野を規制。
    • 金融制裁:ロシアの銀行および関連機関の取引を制限。
  • 2025年9月:原油購入価格上限の引き下げ、資産凍結・輸出禁止の対象者拡大、渡航制限の一部緩和。

今後も政府の公式発表やメディアの最新情報に注意しながら、市民・企業ともに冷静な対応が求められます。国際情勢は流動的ですが、平和と共存を目指す各国の動きに注目していきましょう。

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