高市早苗首相が語る「サナ活」とは? 国会で広がる新しいムーブメント
最近ニュースやSNSで話題になっている言葉「サナ活」。2025年12月9日、衆議院予算委員会の場で、高市早苗首相自らがこの「サナ活」について言及し、注目を集めました。この記事では、「サナ活」とは何か、その背景や広がり、高市首相の受け止め方、そして政治との関わり方という視点から、わかりやすく丁寧に解説していきます。
「サナ活」とは何を指す言葉?
「サナ活」とは、高市早苗首相が実際に使っている愛用品と同じものを購入したり、身につけたりする活動を指す、ネット発の言葉です。高市首相の名前「早苗(さなえ)」から、「サナ」と「活動(活)」を組み合わせた造語として広まりました。
具体的には、
- 首相が愛用している黒い革製の手提げバッグを同じメーカー・同じ型で購入する
- 首相が会見などで使っていたピンク色のボールペンを探して購入する
- テレビやニュースに映った服装や小物を特定し、同じものを手に入れる
といった行動が「サナ活」として認識されています。若い世代を中心に、SNS上で「同じバッグを買った」「このペンはこれでは?」といった投稿が相次ぎ、ひとつのブームのようになっているのが現状です。
「サナ活」が広がるきっかけとなったアイテム
「サナ活」が広がるきっかけとなったのは、高市首相が公の場で使用していたバッグとボールペンです。
まず話題となったのが、黒い革製の手提げバッグです。首相が公務で使用しているこのバッグは、長野県御代田町の工場で製造している老舗メーカー「浜野皮革工藝」(東京)の製品とされています。この情報が広まると、同じバッグを求めて注文が殺到し、メーカーには多くの問い合わせが寄せられるようになりました。
さらに、首相就任時の記者会見などで使っていたピンク色のボールペンも注目されました。インターネット上では「このペンはどこのメーカーか」「型番は何か」といった“特定”の動きが広がり、同じペンを購入しようとする人が増え、サナ活の代表的なアイテムとなっています。
国会で「サナ活」が取り上げられる
2025年12月9日の衆議院予算委員会では、「サナ活」が正式な場で話題となりました。自民党の島尻安伊子議員が、高市首相に対し、「サナ活」現象についての感想を質問したことがきっかけです。
この質疑の中で、高市首相は、
「サナ活の話は聴いております」
と述べ、自身もこの現象を認識していると明かしました。そのうえで、「サナ活」の対象となっているピンクのボールペンを、実際にジャケットのポケットから取り出して示しながら答弁する一幕もあり、委員会の場は一瞬和やかな雰囲気に包まれました。
高市首相の率直な本音「結構プレッシャー」
一方で、高市首相は「サナ活」によって自分の持ち物が細かく見られるようになったことについて、本音も語っています。
高市首相は、
「私の持っているかばんとか、ピンクのボールペンとか、たくさん持っていられる方もいらっしゃると聴いている」
と述べ、「サナ活」によって自分と同じアイテムを持つ人が増えていることに触れました。その一方で、特に洋服については、
「洋服に関してはたくさん持っているわけではないので、結構、プレッシャーにもなっている」
と、率直な気持ちを明かしています。ニュース記事でも、高市首相が「洋服はそんなにたくさん持っているわけではなく、結構プレッシャーだ」と語り、場を和ませたことが報じられています。
つまり、「サナ活」によって注目されることをうれしく感じつつも、「何を身につけているのか」「どんな服を着ているのか」が常に見られているという負担もある、といった複雑な心境がうかがえます。
それでも「若い方々が政治に興味を持つきっかけになるなら嬉しい」
高市首相は、「サナ活」についての考え方も丁寧に語りました。予算委員会での答弁では、
「もしも、若い方々が政治に興味を持つきっかけになればうれしいと思う」
と述べ、「サナ活」を前向きに受け止めている姿勢を示しました。また、別の報道では、
「若い方々が政治に興味を持っていただくきっかけになるのであれば、とてもうれしい」
とも語っており、「サナ活」を通じて政治への関心が少しでも高まることを歓迎していることがわかります。
さらに高市首相は、「次の世代への責任を果たしたい」「成長する日本を次の世代に送りたい」としたうえで、「若い方々にはそれを見守ってほしいし、意見もたまわりたい」と呼びかけました。単に「モノまね」や「ファッションの真似」にとどまらず、その先にある「政治や社会に目を向けてほしい」という思いが伝わる言葉です。
「サナ活」が若者と政治をつなぐ新しい窓口に?
「サナ活」は、一見すると「推し活」や「ファッションの一種」のようにも見えます。しかし、その背景には、政治家をこれまで以上に身近に感じたい、あるいは自分なりの応援の形を持ちたいという、若い世代の気持ちがあるとも考えられます。
たとえば、
- 難しい政策や議論はまだよくわからないが、「この人の考え方は応援したい」と思う
- まずは同じバッグやペンを持つことで、ささやかな連帯感を抱く
- そこから、ニュースや国会中継にも目を向けるようになる
といった流れが生まれれば、「サナ活」は政治に近づく“入口”として一定の役割を果たしているとも言えます。
高市首相が「サナ活」を歓迎し、「若い方々から意見もたまわりたい」と発言したことは、一方向ではなく双方向の関係を築きたいという姿勢の表れとも受け取れます。政治への関心の持ち方は人それぞれですが、「推しの持ち物から政治を知る」というのも、現代ならではのアプローチと言えるでしょう。
メーカーや地域経済にも広がる影響
「サナ活」は政治と若者をつなぐだけでなく、日本のものづくりや地域経済にも思わぬ形でスポットライトを当てています。
黒い革製の手提げバッグが作られているのは、長野県御代田町に工場を持つ老舗メーカー「浜野皮革工藝」です。首相が長年使ってきた品質の高い製品であること、国内の工場で作られていることなどが注目され、注文が殺到していると報じられています。
このように、一人の政治家の持ち物への関心が、地方の工場や職人の技術にも光を当てる結果となっています。「サナ活」は、政治・ファッション・地域産業という複数の領域をつなぐ現象としても見ることができます。
「サナ活」とどう向き合うか
「サナ活」という言葉や現象には、さまざまな受け止め方があります。
- 「政治家を身近に感じられて良い」と評価する見方
- 「モノだけでなく、政策や発言の中身にももっと関心を持つべきだ」と促す見方
- 「注目が集まることで、政治家本人へのプレッシャーも増す」と心配する見方
高市首相自身も、「結構プレッシャーだ」と正直な思いを語りつつ、それでも「政治に興味を持つきっかけになるならうれしい」と前向きな姿勢を示しています。
私たち一人ひとりにできることとしては、
- 「サナ活」をきっかけに、ニュースや国会での議論にも目を向けてみる
- 首相や政治家がどんな言葉を発しているのか、実際の発言内容も確認する
- 気になる政策やテーマについて、自分なりに調べたり周りと話したりしてみる
といったことが挙げられます。小さな興味からでも構いません。大切なのは、「なんとなく遠い存在」だった政治を、自分の生活と少しずつ結びつけて考えていくことではないでしょうか。
これからの「サナ活」と政治参加のかたち
今回、衆議院予算委員会という公式な場で「サナ活」が取り上げられ、高市首相も率直な思いを語ったことで、この現象は一過性の話題にとどまらず、「政治との新しい距離感」を象徴する出来事として記憶されるかもしれません。
従来、政治への参加といえば、選挙で投票するかどうか、集会やデモに参加するかどうか、といった「大きな行動」が中心に語られてきました。しかし今では、
- SNSで意見を共有する
- 国会中継の一部をクリップ動画で見る
- お気に入りの政治家の本や、使っているアイテムを通じて関心を持つ
など、より多様で小さなステップから関わり始める人も増えています。「サナ活」は、そのひとつの象徴的な形と言えます。
高市首相が語ったように、「次の世代への責任」を果たすためには、若い世代が政治を完全に「おまかせ」にするのではなく、少しずつでも目を向けていくことが大切になります。「サナ活」は、その最初の一歩として、政治をより身近に感じるきっかけを提供しているのかもしれません。
今後も、「サナ活」をめぐる動きや、高市首相の受け止め方、そして若い世代の反応などに注目が集まりそうです。小さな興味や共感からでも、政治との距離を縮めていく。その一例として、「サナ活」という言葉と、その背景にある人々の思いをていねいに見つめていきたいところです。




