伊勢神宮から示された「希望の年」への決意――高市早苗首相、年頭所感2026

2026年の幕開けにあたり、高市早苗内閣総理大臣は、三重県の伊勢神宮で年頭の記者会見を行い、新しい年への決意と国づくりの方向性を語りました。

日本の政治において、年初に伊勢神宮を参拝し、そこで年頭の所感を述べることは、長く続いてきた重要な習わしの一つです。その厳かな空気の中で、高市首相は、自らの政権運営の歩みを振り返るとともに、これからの日本が目指す姿を、わかりやすい言葉で示しました。

伊勢神宮での年頭会見という意味

高市首相が年頭会見の場に選んだのは、日本の精神文化を象徴する伊勢神宮でした。 伊勢神宮は、太陽の神・天照大御神を祀る、日本人にとって特別な存在の神社として知られています。政権のトップがここから一年の歩みを語ることは、「日本という国のあり方」を改めて見つめ直し、国民とともに新しい一歩を踏み出すという強いメッセージでもあります。

首相は会見の冒頭で、伊勢神宮の「厳粛な空気」に触れ、命の尊さや国民の暮らしを守る決意を新たにしたと述べました。 そして、「国民の皆様の暮らしと命を守り、日本の誇るべき国柄を、未来を担う次の世代へとしっかり引き継いでいく」との思いを、静かに、しかし力強く語りました。

就任から77日間の振り返り――物価高対策と「責任ある積極財政」

高市首相は、会見の中で自らの首相就任からの77日間を振り返りました。 この短い期間の中で、国民生活を直撃している物価高対策に重点的に取り組み、補正予算の成立を図ったことを強調しました。

エネルギーや食料価格の高騰により、多くの家庭が家計の負担増に苦しんでいる現状を踏まえ、政府として「やるべきことは明確だ」と述べた首相は、景気や雇用を下支えしつつ、安心して暮らせる社会をつくるための政策を、着実に進めていく考えを示しました。

また、首相は「責任ある積極財政」という言葉を用い、将来世代にツケを回さない形で、必要な分野には思い切った投資を行っていく姿勢を明確にしました。 その対象として、

  • 食料安全保障
  • エネルギー安全保障
  • 健康・医療の安全保障

など、生活と直結する重要分野を挙げ、危機に強い日本をつくるための「危機管理投資」を積極的に進める意欲を示しています。

「年収の壁」引き上げと所得税負担の軽減――現役世代を支える政策

高市首相は、昨年の成果として、いわゆる「年収の壁」引き上げに取り組んだことを挙げました。 パートや非正規で働く人が、一定の年収を超えると社会保険料の負担増などで手取りが減ってしまう「壁」は、特に子育て世帯や女性の就労に大きな影響を与えてきました。

この「壁」の引き上げは、「もう少し働きたいのに働けない」「収入を増やしたいのに制限せざるを得ない」といった状況を少しでも改善するための一歩です。首相はこうした制度の見直しに触れながら、現役世代が「今日よりも明日は良くなる」と実感できる日本をつくることが大切だと訴えました。

さらに、幅広い現役世代を対象とした所得税負担の軽減を実現したことにも言及し、物価高の中でも可処分所得を増やして、暮らしを支える姿勢を強調しました。

「教育無償化」と次世代への投資

高市首相は、今年4月から実施される「教育無償化」を大きな柱の一つとして紹介しました。 教育費の負担は、多くの家庭にとって大きな悩みの種であり、少子化の一因にもなっていると指摘されてきました。

教育無償化の拡充は、「生まれた家庭の経済状況にかかわらず、子どもたちが学ぶ機会を得られる社会」を目指す取り組みでもあります。首相は、こうした教育分野への投資を「未来への投資」と位置づけ、子ども・子育て世代を支える政策を加速させる考えを示しました。

また、令和8年度予算には、未来を見据えた大胆な投資を数多く盛り込んだと説明し、こうした投資を通じて経済成長を実現し、その成長による税収増をさらに新たな投資へとつなげていく「投資と成長の好循環」を生み出すことを目標に掲げました。

強い経済と官民投資――50兆円を超える規模へ

経済面では、首相は本年の日本経済の見通しについて、一定の明るさが見え始めていると述べました。 政府の経済見通しでは、物価上昇率が落ち着きつつある一方で、賃上げの動きも続いているとし、実質的な生活の改善につながるよう政策を総動員していく姿勢を示しています。

特に、官民連携による50兆円を超える投資を促し、約160兆円の経済波及効果を目指すと説明しました。 その中心には、

  • 脱炭素や再生可能エネルギーなどの分野
  • 宇宙関連技術や半導体などの先端技術
  • 地方創生やインフラの強靭化

といった成長分野への投資が据えられており、日本全体の経済力を底上げしつつ、国民一人ひとりの生活の安定につなげていく考えです。

「日本人が日本国の主役」――国柄を守り、次世代へつなぐ

高市首相の年頭会見で特に印象的だったのは、「日本人が日本国の主役」という言葉でした。 首相は、日本について、

  • 長い歴史と固有の文化を誇る国
  • 美しい自然を守り、和を大切にしてきた国
  • 家族や社会が支え合いながら、困難を乗り越えてきた国

であると述べました。 そして、そのような日本を「列島の隅々まで、強く豊かにして次の世代に引き継ぐ」ことが、自身に課された使命だと語っています。

この言葉には、単に経済指標を改善するだけでなく、日本の文化や暮らし方、地域のつながりなども含めて「守り、育て、つないでいく」という思いが込められています。伊勢神宮という特別な場所からこうしたメッセージを発したことは、日本の「国柄」を意識した発信だといえるでしょう。

国民との距離を縮める言葉――「寒いのに待っていてくれてありがとう」

会見の最後に、高市首相は集まった人々に向かって「寒いのに待っていてくれてありがとうございます」と感謝の言葉をかけました。 年始の冷え込みの中、首相の言葉に耳を傾けようと集まった人たちに対して、率直で温かい言葉を投げかけたシーンは、政治家としてだけでなく、ひとりの人間としての素顔も垣間見える瞬間でした。

また、「本年が国民の皆様にとりまして希望の年となるよう、全力を尽くしてまいります」と結んだ首相の言葉には、先行きへの不安を抱える人々に少しでも安心を届けたい、という思いが表れていました。

伊勢神宮から始まる一年――問われる「有言実行」

伊勢神宮での年頭会見は、高市首相にとって就任後初めての新春の恒例行事でもありました。 そこで語られたのは、

  • 物価高や不安定な国際情勢の中でも暮らしと命を守るという決意
  • 教育無償化や税負担軽減などを通じて、現役世代と子どもたちを支える方針
  • 危機管理投資や官民連携による大規模投資で、強い経済をつくるという構想
  • 日本の歴史や文化、自然を大切にしながら、次世代へ国を引き継ぐという覚悟

といった、大きな方向性でした。

一方で、こうした方針や目標が、どこまで具体的な成果として国民の暮らしに届くのかは、これからの政権運営にかかっています。首相自身も、「国民の皆様に、物価高対策や経済対策の効果を実感していただくことが大切」だと述べており、実行と成果が何よりも問われる一年となります。

伊勢神宮の静かな森の中で語られた「希望の年」へのメッセージは、単なる儀礼的な挨拶ではなく、「守るべきものを守り、変えるべきものは変える」という、日本のこれからの歩みへの宣言でもあります。国民一人ひとりが、その内容を自分の暮らしに引きつけて考え、見守っていくことが、政治を動かす大きな力になっていくでしょう。

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