トランプ大統領、NATO諸国にロシア産原油購入停止を要請 ~ウクライナ情勢で各国に強い圧力~

2025年9月13日、アメリカのトランプ大統領は、ウクライナ情勢を巡る国際的な緊張の高まりを背景に、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に対してロシア産原油や石油の購入を直ちに停止するよう強く要請しました。大統領は自身のSNSで、ロシアからのエネルギー供給が継続していることが、ロシアに対する国際社会の圧力を弱めていると指摘し、「全てのNATO加盟国がロシア産の石油購入を停止した時点で、アメリカはロシアに対して大規模な制裁を発動する用意がある」と明言しました。

ウクライナ侵攻に対する国際社会の対応

2022年から続くロシアによるウクライナ侵攻。各国による資金・軍事・人道支援や経済制裁が段階的に強化されてきましたが、ここにきてトランプ大統領は「ヨーロッパの問題」として欧州諸国により強い対応を求める姿勢を鮮明にしました。大統領は「プーチン大統領のウクライナ攻撃が止まらず、我々の忍耐も限界に近づいている」と述べ、強い危機感をあらわにしています

ロシア産原油停止と新たな制裁への構図

トランプ大統領の提案する「ロシア産原油購入の全面停止」は、ロシア経済の生命線であるエネルギー収入に直接打撃を与える狙いがあります。実際、2022年以降の制裁下でも、多くのNATO加盟国がエネルギー安全保障の観点から一部ロシア産原油やガスを輸入し続けてきました。トランプ大統領はこの点にあらためて言及し、「一部の国がロシア産原油を買い続けているのがロシアに対する交渉力を弱めている」と批判しました

この要請を守らない場合、アメリカは独自の制裁強化を示唆しています。「NATO各国が一致してロシア産の原油購入を止めれば、アメリカもロシアに対して大規模な制裁に踏み切る用意がある」とし、逆に言えば、それまではアメリカ自身も最大級の経済制裁には着手しないという姿勢が明確です。この「連帯行動」を条件に制裁戦略を組み立てるのが特徴的です。

中国への追加関税提案とその狙い

さらにトランプ大統領は、中国からの輸入品に50%から100%の関税を課すという新たな経済カードを示しました。これは「中国は実質的にロシアを支配しているといえる。強力な関税は、この支配構造に楔を打ち込むものだ」との考えに基づきます。もしロシア・ウクライナ戦争が終結すれば、この関税を撤回する用意があるとも述べ、中国への経済圧力とウクライナ戦争の早期終結をリンクさせる構図を見せています。

ヨーロッパ諸国への「自立」要請

トランプ大統領は「NATOが私の指示どおり動けば、ウクライナ戦争は即座に終わる」とし、ヨーロッパがアメリカよりも先に行動を起こすべきだと繰り返し強調しています。「これはヨーロッパ諸国の問題であり、まずは彼らが一致してロシアに圧力をかける責任がある」との見方を示し、これまでの「世界の警察」的なアメリカの姿勢からヨーロッパ主導型へのシフトを強烈に促しています

国際社会への影響と今後の展望

この一連の発表はウクライナ侵攻の長期化とそれに伴う戦争疲れ、そしてNATO内で対応に温度差が生じている現状を示しています。ヨーロッパ諸国は自国のエネルギー事情や経済的背景を抱える中、アメリカの指導力と次の一手が国際秩序維持の鍵となってきました。しかしトランプ大統領は、より「等価な負担」と「連帯」を強く求める姿勢に明確に舵を切っています。

  • ロシア産原油停止要請 現状、NATO加盟国の一部は依然としてロシア産原油・石油を輸入しており、完全停止には各国のエネルギー安全保障や価格高騰対応などの難題が山積しています。
  • アメリカによる制裁強化の条件 NATO加盟国が一致団結してロシア産をボイコットしない限り、さらなるアメリカの大型制裁には踏み切らないという条件付きです。
  • 中国への高関税戦略 ロシア支援を抑制する狙いだけでなく、一方で中国との経済摩擦の激化など新たな国際問題を招くリスクもはらんでいます。
  • NATOとヨーロッパの自立 アメリカ主導から欧州主導へのシフトがトランプ氏の根底にはあり、今後も国際枠組みのなかでヨーロッパの対応に注目が集まります。

国民・専門家・市場の受け止め

このトランプ大統領の発表に対して、欧州の一般市民やエネルギー業界、軍事・国際問題の専門家からは「原油価格の高騰」「インフレ懸念」「欧州エネルギー政策への影響」などさまざまな意見が出ています。一方で、プーチン大統領は「西側の制裁はロシア経済に耐えられる」との強気な姿勢を崩していません。一連の制裁強化とエネルギー戦略が今後の勇気や外交にどのようなインパクトを及ぼすか、国際社会の動向が注目されています。

まとめ

  • トランプ大統領はNATO加盟国にロシア産原油の購入を全面停止するよう要請し、その実現をアメリカの大規模制裁の条件としました。
  • 中国に対する大幅関税の新提案や、ヨーロッパ諸国の自立した行動も呼びかけました。
  • ウクライナ戦争の今後や国際秩序のあり方を巡り、大きな注目を集めています。

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