金子恵美氏、小泉進次郎氏陣営の“ステマ”問題に厳しく指摘
──自民党総裁選を揺るがす「透明性」の課題に向き合う

はじめに

2025年秋の自民党総裁選をめぐって、“ステマ問題”やその対応に注目が集まっています。この問題の中心には、小泉進次郎氏の陣営と、その広報活動に関係した選挙コンサルタント会社、そして元衆議院議員の金子恵美氏という登場人物がいます。

SNSやYouTube等でも広く議論されているこの話題ですが、背景、経緯、関係者の発言、そして今後政治と選挙広報に問われる在り方について、初心者にもわかりやすく解説します。

問題の発端──自民党総裁選とSNS広報“例文”提供問題

今回問題となったのは、2025年に実施された自民党総裁選の際、小泉進次郎氏の陣営で選挙コンサルティング会社(株式会社ダイアログ)が関与し、SNSなどで使う投稿の「例文」を作成、その文面が複数の議員に送られ、投稿要請が行われたと報じられたことが始まりです。

ことの大きなポイントは、「広告(コンサル業務)として行われたにもかかわらず、その事実を公開しないまま投稿が行われた点が”ステルスマーケティング(ステマ)”ではないか」と一部で指摘され、社会的批判が高まったことでした。

株式会社ダイアログ松田馨氏の見解と謝罪

この件を受けて、株式会社ダイアログの松田馨代表は「自民党総裁選に関する週刊誌報道について」と題した声明を発表。「当該コメントの例文案を作成したのは当社従業員であると確認しました。今回の動画配信に関して、牧島氏がコメント例を作成し投稿を主導したかのように報じられましたが、それは事実と異なります」と説明するとともに、「牧島氏やその関係者にご迷惑をおかけしました」と謝罪しました。

松田氏はさらに、「これは報酬を受け取る広告を隠した”ステマ”には該当せず、ステマと報道すると誤解を招く」とも指摘。すなわち「広告主が明示されていないという点はあるものの、いわゆるペイドパブリシティである」と解釈される流れもあり、出来事自体の評価に幅があったのです。

金子恵美氏の厳しい指摘──「逃げちゃだめ。何も言わなくていいのか」

この一連の流れを受けて、元衆議院議員金子恵美氏は自身の動画配信などで、強い不満と疑問を表明しました。「当然、陣営の中で牧島氏や松田氏以外にも関わった人がいる。陣営の中枢の人がいるわけなんですけど、その方が何もこのまま言わずで終わっていいのかなと。牧島氏と松田氏の2人だけで終わってはいけない」と発言しています。

  • 「選対本部長だった加藤(勝信財務相)、そしてもちろん陣営のトップの小泉進次郎さん自身がこの問題を何も言わずに終わらせていいのか?」
  • 「逃げちゃだめです」

金子氏のこの問いかけは、表面的な謝罪だけで問題が収束することに強い危機感を示していると言えるでしょう。「公正な選挙」「透明性への説明責任」の大切さを、改めて政界に投げかける発言でした。

小泉進次郎氏と陣営側の対応

この問題について小泉進次郎氏は、報道直後の会見で「私自身は知らなかったこととはいえ、総裁選に関わることで申し訳なく思う」などと陳謝し、「再発防止を徹底し、緊張感を持って総裁選に臨む」と表明しました。

また、問題となった前デジタル担当相の牧島かれん氏は、「自分の事務所の判断で参考例を送付したが、確認不足で一部行き過ぎた内容になった。申し訳ない」と文書でコメントし、選対広報班から辞任する事態となりました。これにより、指摘の矛先は個人へと偏り、「組織的な全責任」についての説明は不足しているとの批判も残りました。

“トカゲの尻尾切り”に対する不信──組織的責任を問う視点

金子恵美氏はこの点にも怒りをにじませています。「小泉陣営の中心人物が『これは牧島氏個人の問題』として処理したのではないか。確認責任や組織的な検証がなされたのかという疑問がぬぐえません」「問題発覚後の対応も、トップや責任者である本部長の説明が甘かった」と指摘しています。これは、「リーダー・組織の説明責任」そして「指針やモラルが守られるべきだ」という根本的な疑問提起です。

  • 「もしかして中枢の人が『これ、牧島さんがやったんです』と言ったとしても本当なのか確認せずに終わったのか」
  • 「報道上、優秀な女性議員である牧島さんだけが“首謀者”とされ、結果的に彼女が被害を受けている」
  • 「組織がだれかひとりの責任にして問題から目をそらしていないのか」

このような“トカゲの尻尾切り”とも言える対応への批判は、今後の党内論議や有権者による評価に直結していく可能性があります。

政治家と選挙コンサルタントの関係とは

現代の選挙戦において、専門の選挙コンサルタントやコンサルティング会社が候補者の広報支援を担うことは珍しくありません。SNSや動画媒体などにおける効果的な発信、イメージ戦略などが必要とされる中、こうしたプロフェッショナルの存在は大きな意味を持ちます。

しかし一方で、今回のように「投稿文例の配布」や「外部会社からの指導・要請」が発覚し、しかもそれが有償サービスの一部である場合は「広告表示義務」「透明性の担保」そして「倫理的説明責任」の観点から厳しい評価が避けられません。

  • 政治家個人とコンサル会社の「適切な距離感」
  • キャンペーン参加者や支援者も十分な説明を受けられているか
  • 選挙広報物・発信行為はどこまでが「個人の意思」なのか

こうした議論は、本件に限らず民主主義社会にとって今後も継続的なテーマとなるでしょう。

党員軽視・有権者への信頼低下の影響

この件に関連して、金子恵美氏は「党員を軽視した言動が党内の信頼低下を生んでいるのでは」とも指摘しています。実際、神奈川県連の一部では党員名簿削除を巡るトラブルが報じられ、党員や有権者の「納得感」や「信頼」は揺らぐ事態にもなりました。

金子氏は「党員1人1人に頼んで票を集めてきた経緯を重んじるなら、それを裏切るような制度運用や表面的な情報公開ではいけない」と語り、政治活動はいかに現場や支援者の思いに寄り添えるかが重要だとしています。

今後に求められる対応と信頼回復への道

今回の“ステマ問題”から得るべき教訓は、「説明責任」と「組織としての統治責任」を曖昧にしないこと、そして外部委託やSNS活用をめぐる新時代の選挙広報の在り方を、あらためて全体で議論・整理していくことにあります。

  • 誰が何を決定し、誰がどの段階で責任を負うのか、を明確にする
  • 広報・情報発信の際のルールと明示義務を徹底する
  • 個人攻撃で終わるのではなく、再発防止のための組織的な点検と検証を惜しまない姿勢

金子恵美氏や多くの指摘が促すのは、「誠実な説明こそが有権者の信頼回復には不可欠だ」という基本に立ち返る重要性です。

今後もこの件については各関係者や政党、コンサル業界、そして報道機関による議論が続くことが予想されます。政治における透明性と信頼の醸成、それこそが問われている時代でしょう。

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