伊東市長・田久保眞紀氏「除籍」発覚から百条委員会初出席まで――揺れ続ける市政と“学歴詐称疑惑”の全貌

■ はじめに

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)を巡って今、“学歴詐称疑惑”が大きな社会問題となっています。2025年春、市議や市民の間に広がったこの問題は、本人による大学への出向・除籍確認、度重なる記者会見、そして8月の市議会百条委員会への初出席へと拡大し、市政そのものの信頼性にも影響を及ぼしています。

この記事では発端から現在に至るまでの経緯をたどり、田久保市長本人の説明や、市議会の質疑、疑惑を巡るさまざまな論点、市民や識者の声をもとに、事実をわかりやすく整理してお伝えします。

■ 疑惑の発端――匿名文書と“東洋大学卒業”経歴

  • 2025年6月、伊東市議ら全員に「田久保市長の学歴に虚偽がある」とする匿名文書が送付される
  • 市の広報誌や選挙活動の公的資料にも「東洋大学法学部卒業」と掲載
  • 報道やSNS上で一気に拡散、「公文書虚偽記載では」との声も

田久保氏は東洋大学法学部を「卒業」として、選挙活動・市広報誌・プロフィールなどに記載していました。ところが、匿名の内部告発文書がきっかけとなり、「実際は卒業していないのでは」との疑念が飛び交いました。

■ 記者会見で明かされた「大学で事実確認」――“除籍”の衝撃

  • 7月2日:記者会見で「6月末に大学に出向き、初めて自己が〈除籍〉だったことを確認した」と説明
  • 「卒業証書を持っていると認識していた」とも発言
  • 取材や記者との質疑が噛み合わず、釈明の内容も混乱

田久保市長は会見で「自分は大学を卒業していると信じていたが、6月28日に東洋大学に直接赴き、実は除籍であったことを知った」と説明。経緯として、「成績証明等も取れていたため、疑問を持っていなかった」と述べました。

しかし「自分は卒業証書らしきものを持っている」とする発言が二転三転し、また質疑応答では記者の質問に正面から答えない場面も多く、説明が曖昧と指摘されています。

■ 市民・議会の不信拡大――百条委員会への発展

  • 学歴詐称の責任を問う声が、市議会や市民から高まる
  • 「卒業証書とされたもの」に関する論点も曖昧
  • 市議会、地方自治法に基づく「百条委員会」を設置し、事実関係の調査に着手

市議会は事態の重大性を重く見て、「百条委員会」(地方自治法第100条に基づく調査特別委員会)を設置。虚偽記載や市長当人による経歴詐称、さらに関連する市広報誌の公文書虚偽記載疑惑までを調査の対象としました。

■ 百条委員会での証人尋問――市長の主張とすれ違う質疑

  • 8月13日:田久保市長が代理人弁護士同席で初の証人として百条委員会に出席
  • 市長「良心に従い真実を述べ、何事も隠さず、付け加えもせず」と宣言
  • 委員から「卒業証書問題」「東洋大学除籍理由」等について質問が相次ぐ
  • やり取りは噛み合わない場面が目立ち、核心は曖昧なまま

当日の会合では市長から「本当に卒業だと信じていた」「アルバムの件も、記憶と異なることはないが、いま確認できるものがない」などと証言。その一方で、百条委側が提出を求め続けてきた「卒業証書」とされる書類はいまだ公式に提示されず、不信は払拭されないままです。

動画等の取材によれば、委員会での質疑はしばしば平行線をたどり、卒業証書の有無や、除籍理由、卒業と認識していた根拠、これまでの広報やプロフィール記載の経緯などについても、はっきりした説明がなかったことが報じられています。

■ 本人は「東洋大学との争いはしない」意向を表明

  • 大学側の「除籍」通告を受け入れ、「争う考えはない」と明言
  • 一部報道では、「再出馬の意思」も表明

問題発覚後、田久保市長は「東洋大学に対して、〈卒業でない〉という結論に異議は唱えない」と表明。一方で、7月の記者会見では、一度辞任し、速やかに再出馬して信を問いたいとの意向を示したと報じられています。

■ 選ばれたリーダー、その資質への問いかけ

田久保眞紀市長を巡る疑惑は、単なる学歴の正誤だけではなく、リーダーとしての説明責任・透明性・誠実さなど資質全体にまで問いが拡大しています。

  • 経歴詐称問題:選挙公報、公式プロフィール等に「卒業」と記載
  • 危機対応能力:曖昧な説明、記者会見や質疑の不十分さ
  • リーダーシップ:市民、議会と真正面から向き合う姿勢があるか

それぞれの論点について、ネットやSNS上でも賛否や意見が白熱。中には「誰もが間違いを犯す」「正直に認めたのは評価すべき」との声も一部ありますが、「市長として最低限の説明責任は果たされていない」「市政・行政文書の信頼を損なった」とする批判が目立ちます。

■ “卒業証書”は存在する?形だけ?――核心にある書類の信憑性

  • 問題の「卒業証書」について、田久保市長は「見せた」と説明
  • しかし詳細は曖昧で、市議会や報道機関への正式なコピー提出はなし
  • 大学側は「<卒業>の記録なし。途中退学<除籍>が正しい」と断言

この点が「学歴詐称」騒動の最大の焦点であり、本人は「卒業証書らしきもの」を何らか所有・一部に提示したとも説明しています。一方、大学側は「卒業記録は一切ない」として、正式な卒業証明書は発行できないとの立場です。

卒業証書と称されていた書面の正体や出所も含め、依然として重要な論点が未解決のまま残っています。

■ 今後の市政と市民への影響

  • 市議会百条委員会は、13日の証人尋問等をもとに、今後結論をまとめる方針
  • 市政トップの不信・混乱が続く中、行政や市民サービスへの波及を懸念する声も
  • 再出馬・市長辞任等、今後の市政の行方も注目

百条委員会は今後も追加調査および証人尋問を進め、近日中に一定の結論を出す見込みです。伊東市としては、トップによる信頼回復・ガバナンス強化が急務となっています。

根本的な課題は「リーダーの説明責任」「市政運営の透明性」「公職選挙や公文書の厳格性」といった、市民と行政との信頼関係そのもののあり方にまで及んでいます。

■ おわりに――問われる公人の姿勢と説明責任

今回の一連の問題は、「有権者に対し、どれだけ率直に自らを説明できるか」「過ちがあった場合にどのように事実を明らかにし、責任を果たすのか」という、公人としての根本的な姿勢を問うものです。

この騒動をきっかけに、同様の問題が全国の自治体や企業、公的組織でも改めて見つめ直されるべきとの指摘もあります。

今後は、百条委員会、マスコミ・市民の監視のもと、田久保市長、市政運営の信頼回復に向けた具体的な対応が求められていきます。

本件が「学歴」そのものではなく、「説明責任」「誠実さ」「公の場での真摯な姿勢」の意義を再認識させる一幕となるか、引き続き注視が必要です。

参考元