衆議院選挙を巡る自民党と公明党の選挙協力、そしてその「不仲説」の舞台裏

はじめに

2025年秋の衆議院選挙を控え、日本の政界が大きく揺れています。自民党公明党という二大与党の連立関係、特に小選挙区における選挙協力が今、注目の的です。本記事では、
「公明党の選挙協力がなければ自民2割落選」
との試算や、両党の間に囁かれる不仲説、そして現場で奮闘する衆議院議員たちの姿など、今話題のニュースを踏まえて丁寧に解説します。

小選挙区制と自公選挙協力の仕組み

まず、日本の衆議院選挙では「小選挙区比例代表並立制」が採用されています。全国を細かく区分した「小選挙区」では、最も多くの票を集めた1人だけが当選します。複数政党が乱立すると票が分散し、有力政党であっても落選することがあります。

そこで、現行制度の下、自民党公明党は長年にわたり「選挙協力」を行ってきました。具体的には、両党が一定の選挙区で候補者を一本化し、互いの支持層の票を集中させることで、当選の確率を高めてきました。この協力体制は「自公連立政権」として1999年から続き、少なくとも直近数回の選挙でもほとんどの小選挙区で効果的に機能してきました。

選挙協力なしなら自民2割落選?最新の選挙情勢

  • 2025年の衆議院選挙をめぐる自治体や有識者の最新試算によれば、自民党が公明党の協力なしで小選挙区選挙に臨めば、約2割の候補者が落選する可能性があるとされています。つまり現職議員や有力新人の中からも、多数が議席を失う恐れがあります。
  • 小選挙区では、保守票(自民支持層・公明支持層・無党派保守層など)が分散すれば、対抗馬となる野党候補の漁夫の利となりやすく、たとえば約10%台の公明党票が失われるだけで、自民党の当選ラインが大きく変動します。
  • 実際、過去にも両党の一部協力が崩れたり対立が生じた選挙区で接戦となった例が複数ありました。こうした経験が、各党の選挙戦略を大きく左右しているのです。

この「2割落選」という試算は、両党の現場レベルから中央政界に至るまで、強い危機感を持って受け止められています。

自民党と公明党の「不仲演出」は本当か?舞台裏を探る

一方で、最近の政界関係者やメディアでは「自民党と公明党の不仲説」が度々取り沙汰されています。特に、政策の違いや利益相反が取り上げられ、執行部同士の会談では一部に険しい表情も見られました。

  • 2025年10月7日の党首会談でも、公明党から「政治とカネ」に関する懸念、靖国参拝や歴史認識、外国人排斥問題などについて指摘がなされ、自民党側とのすり合わせが難航している場面がありました。
  • しかし、両党の幹部は「信頼関係の基本は揺るぎない」「連立の枠組みは絶対に守るべき」とも繰り返し強調しています。
  • さらに、野中しんすけ氏のような現職・元議員も「自民党と公明党の不仲演出は選挙戦略の一環」と分析しています。すなわち、選挙協力への警戒心を和らげたり、双方の支持基盤を固めるために「適度な距離感」を演出することこそが「茶番」であるという声です。

一見、両党が激しく対立しているかのように見えますが、裏では「相互の政権安定」「議席最大化のための本音の協力」路線が維持されているのです。

東京都の事例:実際の協力が現場にもたらすインパクト

注目すべきは、東京都での選挙協力です。2025年8月、岸田文雄首相(自民党総裁)と山口那津男・公明党代表が再度会談し、「東京でも自民と公明が小選挙区で選挙協力をする」と合意しました。この合意によって、たとえば東京29区では公明党候補を自民党が公然と推薦し、他の区でも相互に調整して推薦候補を決める仕組みが打ち立てられました。

  • 都内の激戦区では、両党の組織力と支援者が結集し、組織選挙の本領が発揮されます。
  • 同時に、「党首間合意」というトップダウンの形で、現場にも大きな影響を与えています。
  • 次回、次々回の衆院選でも「公明党が東京都内で2議席獲得」を共同の目標とし、長期的な協力体制を推進しています。

この協力体制の再構築は、「互いに議席が減らない」「野党に漁夫の利を与えない」ための現実的戦略と言えるでしょう。

衆議院議員たちの現場と「思い出の一枚」

選挙協力の大枠には、全国の衆議院議員たちの現場での努力と葛藤も隠れています。例えば堀内詔子議員のように、日々の活動で地域の有権者とふれあいながら、党本部の方針と現地実情の間で知恵と工夫を重ねています。この「思い出の一枚」が象徴するように、議員一人ひとりの政治活動と有権者の声こそが、連立政権と選挙協力の本質を支えているのです。

また、選挙協力の影には、互いの支持層への丁寧な説明と説得、組織間のパワーバランスの調整が欠かせません。こうした現場のリアルな調整力も、連立・協力体制の要と言えるでしょう。

今後の課題と展望

  • 「政治とカネ」など政策の溝や理念の違いは依然として存在しますが、与党連立による政権安定を何より重視する現実路線が続いています。
  • ただし、中長期的には都市部と地方、組織と無党派、世代間の支持層変化が両党にとって課題となりうるため、さらに柔軟な戦略や新たな信頼構築が必要とされるでしょう。
  • 市民社会や有権者の目も厳しくなっている今、表面的な「茶番」だけでなく、実質的な政策調整や説明責任が問われる時代になっています。

衆議院選挙をめぐる自民・公明両党の協力と葛藤――今後も目が離せません。

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