16年ぶりの県政リーダー交代へ――激戦の広島県知事選挙、3人の新人が描く未来
2025年11月9日、広島県知事選挙が実施されました。今回の選挙は任期満了によるもので、16年ぶりに新たなリーダーが誕生する注目の選挙となりました。現職知事が立候補せず、全員が新人として立つ異例の構図。広島県民の声や若者のまちづくりへの願い、県外流出問題など、今の広島県を取り巻く課題の中で投票日を迎えました。
3人の候補者が新人同士で激しい選挙戦
- 横田 みか(よこた みか)さん:54歳。無所属。前広島県副知事・元農林水産省職員。長年行政の現場で政策実現に携わった経験を持ち、新しい広島づくりへの政策提案が注目されました。
- いのはら 真弓(いのはら まゆみ)さん:64歳。無所属。年金生活者。市民目線の福祉充実や生活防衛を前面に掲げ、地域の“暮らし”に即した政策で争いました。
- 大山 宏(おおやま ひろし)さん:77歳。無所属。サイエンス作家。科学的視点からの未来都市づくりや教育改革、環境政策などをアピールし、多様な有権者層に訴えました。
今回の知事選では、現職知事の退任を受けて全員が新人となりました。女性候補2人、男性1人という構図は、過去の広島県知事選にはあまり見られなかった特徴です。候補者の経歴も多様で、官僚出身や一般市民、作家といった、それぞれ異なる背景が選挙戦に新しい風を吹き込みました。
主要争点――「魅力ある広島」へ、県民の声が投影された選挙戦
今回の選挙の最大の争点の一つは「人口流出対策」でした。特に若い世代の「県外企業への就職」や「進学」を理由に、広島を離れる若者が急増し、今や全国でも人口転出超過数ワースト上位に。
- 県外に出る若者が抱えるのは、「魅力が足りない」「チャレンジできる場がない」「エンターテイメントや都市の刺激が弱い」という本音。
- 若者や有識者グループからは「新たな球場やドーム施設の設置」、「IT企業誘致」や「起業支援」といったアイディアも上がっています。
- 地域創生・産業振興、子育て・教育政策、防災や医療インフラなど、次の広島を形作る政策が議論され、候補者たちは各自の経験を活かして公約を掲げました。
また、広島独自の「まちづくり」や「住みやすさ」を高めるための政策提案にも関心が集まりました。「若者が戻りたい・住み続けたい」と思える町に進化させるには、どのようなリーダーシップと政策が必要か、県民の選択が注目されました。
投票日当日の様子――投票率は? 投開票速報
広島県知事選挙は2025年11月9日(日)に投票・即日開票されました。午前中から県内各地の投票所には有権者が訪れ、一票を託す姿が見られました。投票所設営や速報は順次、各市区町村を通じて公開され、有権者にもリアルタイムで情報が伝えられました。
過去3回の投票率は
- 2021年:34.67%
- 2017年:31.09%
- 2013年:31.97%
と、いずれもやや低調でしたが、今回は現職交代という大きな節目にあたり、投票への関心も高まっています。投票率の最終値と開票結果は速報サイトや市区町村選挙管理委員会のページで公開され、県内外で注目されました。
県民・若者の声:「もっと魅力的な広島であってほしい」
取材に応じた20代の女性(市内在住)は、「広島が好きだけど、同級生はもっと刺激のある仕事や生活を求めて東京や大阪に出ていく」と話します。「例えばカープのような地元に誇れるスポーツに加え、ライブやイベントができるドームみたいな施設がほしい」との願いも。
また県外就職を選んだ学生は、「チャレンジできる環境やスタートアップ支援、少し尖った企業誘致をもっとしてほしい」と率直な声を寄せます。
一方で、子育て中の親は「広島は歴史も食べ物も生活コストも魅力だからこそ、子育てや教育支援のさらなる充実を期待したい」と政策への訴えを語ってくれました。
知事の役割と報酬――新時代の県政ビジョン
広島県知事の月収は約138万9000円、年収(期末手当含む)は約2222万円とされています。県のトップとして人口約280万人、地方交付税に頼りながら都市と地方の暮らしをどう守り、活性化させていくかが重要な使命です。
- 県政の現状把握だけでなく、県民参画型の政策づくり・オープンな議論が求められています。
- 国から地方への権限移譲や、グローバルな視点を取り入れた都市づくりなども新知事の手腕が問われる分野です。
- 防災や医療体制の再構築、産業の強化など、コロナ禍を経て求められる新たなビジョンも議題になりました。
今後の注目――新知事が描く「ひろしま」のこれから
2025年の広島県知事選挙は「16年ぶりのリーダー交代」となる歴史的転機を迎えました。新人3人による選挙戦はそれぞれに個性と政策色が際立ち、県民は自身の生活や未来を重ねて一票を託しました。今後は新たな県政の陣容が固まり次第、人口流出への本格的な対応策、広島の魅力ある「まち」への再設計、産業・教育・福祉の再生など数々の課題に、県民とともに向き合う体制がスタートします。
新知事には、
- 若者や子育て世代が住み続けたくなる「選ばれる広島」づくり
- 産業誘致や起業支援を核とした経済活性化
- 持続可能性を見据えた環境・防災政策
- 多世代が参加できる市民対話と協働の推進
といった点が幅広く期待されています。
広島の未来を切り開く新たなリーダーのもと、県民の一人ひとりが主役となる「ワクワクするひろしま」の実現が強く求められています。選挙を通して高まった地域への関心、政策への期待。「あなたの一票」が、広島の明日を動かしていきます。




