「ゴゴスマ」出演者が番組報道に苦言──高市首相と公明党・斉藤代表をめぐる“目を合わせず”報道の波紋

はじめに

2025年10月21日、日本の政界は大きな転機を迎えました。自民党総裁の高市早苗氏が、日本憲政史上初となる女性首相として国会で指名されたのです。その翌日22日、高市首相が各党代表への就任挨拶を行う様子は多くのメディアで取り上げられ、情報番組「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(TBS系)でもその映像が放送されました。

しかしこの映像報道に関し、番組出演者やコメンテーターから「悪意ある演出ではないか」との苦言が呈され、SNSやネットニュースで大きな話題となっています。一体、何が問題だったのでしょうか。本記事では、発端となった報道内容を整理し、多角的に解説します。

「目を合わせず」報道の発端と真相

  • 10月22日放送の情報番組「ゴゴスマ」では、高市首相が連立を離脱した公明党斉藤鉄夫代表に挨拶する場面がVTRで流れました。

  • このVTRでは、『目も合わせず…』というナレーションやテロップが表示され、まるで両者のあいだにギクシャクした様子があったかのように伝えられました。

  • しかし、これにCBC特別論説委員・石塚元章氏が番組内で疑問を投げかけます。石塚氏は「斉藤代表本人は『ひるおび』で、ちゃんと目を合わせて握手したと否定されている。カメラマンの指示でそちらを向いただけなのに、ナレーションで“目を合わせない”と断定するのは良くない」と苦言を呈しました。

視聴者・ネットの反応

  • この一連の報道に対して、SNS上では「ゴゴスマスタッフはナレーション訂正できなかったのか?」、「視聴者の誤解を招く編集はやめて欲しい」などの意見が噴出しました。

  • 一方で、「実際に目を合わせて握手している写真が掲載されている」と指摘する記事もあり、メディア編集のあり方に疑問を持つ声が強くなっています。

斉藤代表の公式コメント

  • 斉藤鉄夫公明党代表は、22日の昼の番組「ひるおび」に出演し、「高市首相が就任挨拶に来た際、目を合わせなかったという報道は事実ではありません」と明言しました。

  • 「高市首相が入ってこられたときに、しっかり目と目を合わせて握手をしました。そのあと、報道陣から“カメラ向いてください”との指示があり、カメラに顔を向けたのです」と経緯を説明しています。

  • これにより「二人が視線を交わせず冷たい態度だった」という見方は、斉藤代表自身によって否定

報道番組編集の課題と倫理

いったい、なぜこのような「目を合わせず」というナレーションやテロップが使われてしまったのでしょうか。
編集部によるVTRの切り抜き、ナレーションの文言、テロップ表示は、視聴者の印象を大きく左右するものであり、慎重さが求められます。

  • 番組コメンテーター・石塚元章氏は、「ご本人が否定している事実を無視してまで“目を合わせない”と印象づける演出は、メディアの姿勢として問題がある」と語っています。

  • 加えて、「カメラマンの指示で視線をそらした場面だけを切り取り、悪意をもったナレーション・テロップを付ければ、事実とは異なるイメージが独り歩きする」と警鐘を鳴らしています。

政界に広がる波紋──高市首相の挨拶

高市首相の就任挨拶は、立憲民主党・野田佳彦代表を筆頭に、国民民主党、公明党、日本維新の会、共産党、れいわ新選組など、各党代表のもとを巡って行われました。多くの場面が和やかな雰囲気のもとで行われ、特に立憲民主党の野田代表とは「焼き肉を食べに行く約束もあった」など、人柄が伝わるエピソードも紹介されています。

こうしたなか、公明党との関係は「連立離脱」という大きな節目にあり、メディアもその様子に注目。だからこそ、“目を合わせなかった”という編集は、多くの人の関心を呼び、誤解を招いたとも言えるでしょう。

本当にあったこと:各報道を整理

  • 「ゴゴスマ」と同じTBS系列の「ひるおび」では、斉藤代表が自らの言葉で「目を合わせて握手した」ことを明確に否定。しかし『ゴゴスマ』ではその否定コメントが放送直前にも関わらず反映されず、「目も合わせず…」とナレーションされたVTRが流れたのです。

  • その後も、ウェブニュースやSNS上で議論が続き、“誤った印象操作”への批判や、「現場では実際どうだったのか?」と事実確認を求める声が広がっています。

メディアの役割と社会的責任

今回の騒動は、テレビ報道やネットニュースなどメディアの編集権限とモラルに深く関わる問題を明確にしました。
視聴者は、情報番組やニュースサイトが伝える内容について、容易に信じ込んでしまいがちです。しかし、編集部の意図や演出が加わることで、本来の事実とは異なる印象が生まれることもあります。

だからこそ、メディアには「公平・中立な情報伝達」と「発言や事実に忠実な編集」の姿勢が強く求められます。一連の騒動は、テレビ報道のあり方、自主規制、スタッフやコメンテーターの責任など、今後の報道倫理のあり方を考える機会となったのではないでしょうか。

まとめ:視聴者・国民ができること

今回の「ゴゴスマ」騒動のように、情報が編集や演出によって大きく変容することがあります。だからこそ、私たち一人ひとりが「本当に伝えられた事実は何か?」を自ら確認し、複数の報道や当事者のコメント、現場映像などを頼りながら冷静に受け止めるることが大切です。

また、メディアや番組側も、取材や報道に際して視聴者・国民に誤解を与えないよう、誠実な姿勢で情報を届ける責任を改めて認識する必要があります。今後も、正確な報道と公平な意見発信が期待されます。

「ゴゴスマ」騒動から考える報道のこれから

今回の“目を合わせなかった”報道を考察することで、番組編集やメディアの演出がどのように世論や政治家の印象に影響を及ぼしうるか、またコメンテーターの果たす役割の重要性が浮き彫りとなりました。今後、多様な情報が溢れる社会においては、信頼できるソースや当事者の言葉を重視し、批判的な視点を持ちながら情報を受け取ることがますます欠かせなくなります。

公正な報道の重要性を再認識しつつ、メディアと国民が建設的な議論を深めていくことが社会全体の成熟につながることでしょう。

参考元