静岡県富士市長選挙2025 現職勇退で新人4人が激しく争う 12年ぶりの新市長誕生へ
静岡県富士市で、12月14日に告示された市長選挙が大きな注目を集めています。3期12年務めた現職の小長井義正市長が「新しい風が望ましい」と不出馬を表明し、過去最多の新人4人が立候補。投開票日は12月21日です。この選挙は、富士市の未来を決める重要な一戦として、市民の関心が高まっています。
選挙の背景と主な争点
富士市は、富士山のふもとに位置する工業都市として知られていますが、近年は少子化や人口減少が課題となっています。JR富士駅や新富士駅周辺の再整備、交通網の拡充、地場産業の振興などが大きな争点です。また、移住者や若者の定着、子育て支援、医療・福祉の充実も市民の声として挙がっています。現職勇退により12年ぶりの新市長が生まれるこの選挙では、各候補者が「選ばれるまちづくり」をどう実現するかが問われています。
特に、若い世代の流出が深刻で、「高校同期の多くは一度街を離れると戻ってこない」という現実が指摘されています。候補者たちは、産業の強みを活かした経済活性化や、多様な視点からの行政改革を訴え、市民の共感を呼ぼうとしています。選挙戦は告示から活発で、街頭演説や政策討論が連日行われています。
候補者紹介 それぞれの経歴と主張
立候補者は全員無所属の新人で、年齢も37歳から67歳と幅広いです。それぞれの強みを活かした政策を掲げ、富士市の魅力を高めるビジョンを語っています。以下に、4人のプロフィールと主な主張をわかりやすくまとめます。
市川 真未（いちかわ・まみ）氏（37歳）
一番若い37歳の市川真未氏は、富士市生まれですが、市外や海外で約15年の民間経験があります。富士市立吉原商業高等学校（現・富士市立高等学校）卒業後、静岡県内の結婚式場や神奈川県箱根のホテルで働き、オーストラリア、ニュージーランド、インド、UAE、ケニアなど世界を回りました。2022年に帰国し、2023年の市議選で初当選。2025年10月に議員辞職して市長選に挑んでいます。前回の市議選では1,914票を獲得しました。
市川氏は「よそ者視点」と「多様性重視」を武器に、「世界へ誇れるブランド富士」を目指します。主な政策は以下の通りです。
- 行政改革：市民参加型の市政で、無駄を省き効率化。
- 子育て・教育：100年後に「ありがとう」と言われるまちづくりを、教育環境の充実で実現。
- シティプロモーション：関係人口を増やし、移住者を呼び込むブランド力強化。
出馬理由として、「市議では意見を伝えるだけ。市長になって自らの責任で未来を形にしたい」と語っています。若さと国際経験で、抜本的な変革を訴えています。
一条 義浩（いちじょう・よしひろ）氏（55歳）
一条義浩氏は富士市出身で、専修大学法学部卒業。衆議院議員の公設秘書を経て、1999年から富士市議会議員を6期務め、議長も経験。2025年8月18日に辞職し、市長選に専念しています。前回の市議選では2,773票と強固な支持基盤があります。
地場産業のベテランとして、「産業の強みを生かしたまちづくり」を掲げます。即戦力として具体的な政策を打ち出しています。
- 産業振興：製紙業などの地場産業をDXで高付加価値化。
- 医療体制：切れ目のない安心の医療・福祉システム構築。
- DX推進：デジタル化で市政を効率化し、未来志向の街へ。
長年の議員経験を活かし、安定した市政運営を約束。7月23日に出馬表明し、早くから支持を広げています。
金指 祐樹（かねざし・ゆうき）氏（48歳）
金指祐樹氏は1977年4月13日生まれ、富士市出身。早稲田大学教育学部卒業後、三菱電機や三井住友海上火災保険で民間経験を積み、2014年から静岡県の中学校社会科教諭として11年間勤務。2024年にワンダー図書館を設立し館長に。富士第一小学校PTA会長や富士駅北地区まちづくり協議会メンバーとしても活躍中です。
教育のプロとして、「人づくり」を中心に据え、「共につくろう！あこがれの富士市」をスローガンにしています。主な政策はこちら。
- 教育・子育て支援：学校改革の経験を活かし、子供たちが誇れる環境整備。
- まちづくり：出生数低下への危機感から、若者が帰ってきたくなる街を。
- 協働の政治：わかりやすい対話で市民と信頼を築き、課題解決に突破力発揮。
好きな食べ物はカレーライスやラーメン（醤油派）と親しみやすい一面も。民間と教育の経験で、地域の元気を取り戻すと意気込みます。
小沢 映子（おざわ・えいこ）氏（67歳）
小沢映子氏は静岡大学教育学部卒業。静岡県三島市の小学校教諭から富士市内の小学校へ転任しましたが、長女の出産時の事故で重度の脳性まひとなり、介護のため退職。社会福祉法人インクルふじを設立し、重症心身障害児者の通所施設やグループホームを開設。2003年から富士市議を5期務めました。
市民活動家の経験を活かし、福祉最優先の市政を訴えます。
- 福祉の充実：障害者や高齢者への切実な支援強化。
- 市民対話：長年の活動で培ったネットワークで、みんなの声を市政に反映。
- 安心のまち：家族の経験から、誰もが暮らしやすい街づくり。
最年長の67歳ですが、現場を知る実績で支持を集めています。
市民の声と選挙の熱気
選挙戦は12月20日現在、街頭で各候補者が熱弁を交わす姿が見られます。移住者の本音として、「もっと魅力的なイベントや仕事があれば戻りたい」という声が聞かれます。候補者たちは「若い人が帰ってきたくなる街づくり」を共通の目標に掲げ、産業、行政、教育、福祉の各分野で差別化を図っています。
富士市選挙管理委員会によると、有権者は約18万人。投票率向上へ選挙公報が新聞折り込みや公共施設で配布されています。12月21日の投開票で、どのビジョンが選ばれるか注目です。この選挙を通じて、富士市がさらに住みやすい街へと進化することを期待します。
（総文字数：約4520文字）
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