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ガソリン税暫定税率廃止を巡る議論、愛媛県が直面する課題とは
2025年夏、日本各地でガソリン価格の高騰が続く中、「ガソリン税の暫定税率廃止」を巡る議論が加熱しています。消費者の生活を圧迫するガソリン高、その打開策として注目される暫定税率の是非について、政府・国会・地方自治体それぞれの立場から意見が噴出しています。特に愛媛県では、財政や住民サービスへの懸念から県知事も強い発言を行っています。
ガソリン税の基礎知識と現在の問題点
- ガソリン税は、国税である「揮発油税」と、地方税である「地方揮発油税」、そして「暫定税率」で構成されます。
- 暫定税率は1974年の道路財源不足を補う臨時措置ですが、25.1円/L課税されたまま現在まで続いています。
- 本来は道路整備等が目的ですが、2009年以降は「一般財源化」し、使途は限定されていません。
昨今の物価高騰を受けて、「暫定税率を撤廃しガソリン価格を引き下げるべき」という声が高まっています。一方で、「二酸化炭素排出削減（脱炭素社会）」を目指す国策と整合性が取れないという指摘もあります。
政府・与野党の攻防と財源の問題
2025年、野党7党はガソリン税の暫定税率廃止法案を国会に提出しました。この法案が成立すれば、暫定税率分の約25.1円/Lが減税され、家計の負担は年間9,670円軽減されると試算されています。
- 野党案による減収は年間約1兆205億円の見込み。
- 政府は、より広く見積もり1兆5000億円の税収減になると見解を示しています。
- この差は、一部軽油引取税の取り扱いに起因しています。軽油引取税は地方税のため、野党案は地方財政への影響を避けて対象外にしています。
国会では、与野党協議が難航。減税や補助金による価格抑制策、その補填財源など様々な案が議論されています。政府側は年度内で約6000億円の財源不足が生じると公表し、減税への慎重姿勢を続けています。
地方自治体が抱える危機感―愛媛県の反応
愛媛県の中村知事は、ガソリン暫定税率の廃止が実現した場合、「県税収入の減少によって行政サービスの低下が懸念される」と強い危機感を表明。特に、道路や交通インフラ維持のみならず、福祉・子育て・防災など住民に直接還元されるサービスへの影響を危惧しています。
県知事は「地方の財源を確保し、行政サービス低下を防ぐ議論こそ急務だ」とし、国会議員に対し「責任ある議論」を求めました。このような自治体の声は、特に地方部で車社会が根付く愛媛県のような地域で重みを増しています。
- 道路や公共交通インフラは、地方住民の生活の基盤。
- 財源減少が直接、生活利便性や安全保障の低下に繋がりかねません。
- 愛媛県各自治体でも、今後の行政運営方針に大きな影響を及ぼす見通し。
市民生活への直結―ガソリン価格高騰と家計への影響
現在、全国的にガソリン価格は高止まりし、市民の負担は増大しています。特に都市部に比べ交通手段が限られる地方や、商業・生産活動で車依存が大きい地域ではその影響がより深刻です。愛媛県でも、農業・漁業・流通業を中心にガソリン高が事業運営の圧迫要因となっています。
一方で、「トリガー条項」の発動による減税策など過去に議論された制度もありますが、2011年東日本大震災以降は財政確保目的に凍結状態が続いています。愛媛県内の燃料価格上昇にも関わらず、現行制度下では減税の恩恵を直接受けにくい構造となっています。
ガソリン減税論に対する賛成・反対の論点
減税推進の立場
- 生活・事業コスト負担軽減による経済活性化。
- ガソリン減税で消費喚起、GDP押し上げ効果も試算されている。
- 地方や車社会では、交通インフラ維持費用の一部を減税に還元すべき。
減税慎重・反対の立場
- 脱炭素社会実現のためにはガソリン消費抑制が必要という観点。
- 財源不足分の確保、行政サービス維持への影響懸念。
- 恒久的な税収減が、地方自治体の財政運営に与えるリスク。
石破茂自民党総裁も四国中央市での街頭演説で「ガソリン減税（暫定税率廃止）」に否定的見解を表明し、政府与党の慎重姿勢を際立たせました。
今後の見通しと愛媛県への影響
2025年6月には国会閉会直前での異例の審議も行われましたが、結局法案採決は見送られ、暫定税率廃止法案は廃案となりました。その後も、ガソリン価格上昇への対応策や減税と補助金のバランス、地方財源の確保等について協議が継続されています。
- 財政健全性や脱炭素の社会的要請と、市民生活や地域経済の実情とをどのようにバランスさせるか。
- 愛媛県のような地方自治体では、今後の国政議論や法改正動向に特に敏感にならざるを得ません。
- 住民サービスの安全網を守りつつ、地方の“自立財源”をいかに確保できるのか――それが今、問われています。
まとめ：暫定税率廃止論争の本質と愛媛県の立ち位置
ガソリン税の暫定税率廃止をめぐる今回の国会論争は、物価高騰に苦しむ生活者への支援と、脱炭素や持続可能な行政運営という二大政策目標の板挟みとなっています。愛媛県はこの問題の最前線に立ち、地方自治体の現実的懸念を国政に投げかけています。今後も全国の動向と合わせ、県内行政や愛媛県民の生活に重大な影響を与える重要なテーマとなるでしょう。
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