参政党支持率が4カ月連続減少 神谷代表は「歓迎」と語る世論の行方

時事通信が実施した12月の世論調査で、参政党の支持率が3.0%となり、4カ月連続で減少していることが明らかになりました。支持率はピーク時の半分以下に落ち込んでおり、これまで急伸が話題となっていた参政党にとって、ひとつの節目となる数字です。

一方で、参政党の神谷宗幣代表は、こうした支持率の低下を必ずしも悲観的には受け止めていません。「参政党は参政党らしくいきます」「私も鹿児島市議会で参政党らしくいきます!」と語り、独自路線を維持する姿勢を強調。また、参政党の支持率低下についても「歓迎」と述べ、高市政権に「喰われ」る面があったとしても、「日本がどうなるかが大切」と、あくまで国全体の方向性を重視する考えを示しています。

時事通信12月世論調査が示した参政党の現状

まず、今回のニュースの出発点となったのが、時事通信による12月の世論調査です。この調査では、各政党の支持率の動きが明らかにされていますが、その中で特に注目されたのが参政党の支持率3.0%という数字です。

報道によれば、参政党の支持率はこの4カ月ほど、連続して減少を続けており、「ピーク時の半分以下」と表現される水準に落ち込んでいます。一時期、インターネット上や若年層を中心に話題となり、「新しい選択肢」として急速に知名度を上げた参政党ですが、その勢いにひとまずブレーキがかかった形です。

他方で、同時期に行われている他社の世論調査を見ると、参政党は一定の支持を維持している調査もあります。例えば、テレビ朝日の「報道ステーション」による2025年9月の調査では、政党支持率の項目で参政党は7.8%を記録しており、主要野党と並ぶ存在としてカウントされています。各メディアによって調査の時期や方法が異なるため、数値には差がありますが、少なくとも「支持拡大のピークを過ぎ、調整局面に入った」という見立てが、現状を示すひとつの見方と言えるでしょう。

「参政党らしくいきます」―神谷代表のメッセージ

こうした中で注目を集めたのが、参政党代表・神谷宗幣さんの発言です。神谷さんは、「参政党は参政党らしくいきます」「私も鹿児島市議会で参政党らしくいきます!」と述べ、党としてのスタンスを崩さない姿勢を明確にしています。

ここでいう「参政党らしさ」とは、一般に、既存政党とは異なる政策テーマへの強いこだわりや、インターネットを活用した情報発信、参加型の政治運動などを指していると考えられます。神谷代表は、支持率の上下に一喜一憂するのではなく、自分たちが掲げてきた路線や理念を重視し続ける、というメッセージを有権者に送っている形です。

また、「鹿児島市議会で参政党らしくいきます」という言葉からは、国政レベルだけでなく、地方議会の場でも同様の姿勢を貫くという意志が伝わってきます。地方議会では、有権者との距離がより近く、生活に直結する課題も多いため、「参政党らしさ」をどう具体的な政策として示していくのかが、今後の評価を左右していくことになるでしょう。

支持率低下を「歓迎」? その真意とは

興味深いのは、参政党の支持率低下について、神谷代表が「歓迎」と語っている点です。一般的に、政党支持率の低下は危機感を持って受け止められることが多いですが、神谷代表は異なるニュアンスでこの状況を捉えています。

報道によれば、参政党の支持率が落ちた背景のひとつとして、新たに発足した高市政権の影響が挙げられています。高市早苗氏が自民党総裁に選出され、新内閣の構想が示される中で、保守系の政策を求める有権者の一部が、自民党側へと回帰している可能性があります。選挙ドットコムとJX通信社の共同調査では、「高市内閣(仮)」について、政党支持率以上に高い期待感が示されたと報告されており、自民党内の路線変更や人事が、保守層全体の受け皿となりつつある様子がうかがえます。

神谷代表は、そうした流れについて、「高市政権に『喰われ』ている」面を率直に認めつつ、それでも「日本がどうなるかが大切」だと語っています。これは、「自分たちの党が支持されること」そのものよりも、「日本の政治全体がどの方向に進むか」を重視するという立場を示した言葉だと受け取れます。

言い換えると、仮に参政党が掲げてきた政策や問題提起の一部を、高市政権側が取り込み、国政レベルで実行していくことになるのであれば、参政党としては一定の役割を果たしたと評価できる、という考え方です。その意味で、支持率の「数字上の減少」が、必ずしも参政党の「影響力の低下」とイコールではない、という見方も成り立ちます。

世論調査から見える「保守系世論」の動き

今回の参政党支持率の動きは、単にひとつの新興政党の盛衰という話にとどまらず、日本の保守系世論全体の動きを映し出していると見ることもできます。

テレビ朝日の9月世論調査では、政党支持率の一覧の中で、参政党は7.8%と、既存の主要野党と並ぶ数字を記録していました。この時点では、石破政権への評価や、自民党に対する不満・期待など、さまざまな感情が複雑に入り交じる中で、「既存政党では物足りないが、完全に反与党でもない」という層の受け皿の一つとして、参政党が注目されていたと考えられます。

その後、高市早苗氏が自民党総裁に選出され、新たな内閣像が提示される中で、「自民党の中に自分の考えに近い路線が出てきた」と感じる有権者が増えた可能性があります。選挙ドットコムとJX通信社の10月調査では、高市内閣(仮)の支持率が50%を超え、前任の石破政権を上回る高い期待感が示されたと報じられており、保守層の一部が「新しい自民党」に期待を寄せている様子が明らかになっています。

このような流れの中で、参政党の支持が一時的に他へ移っているとしても、それは「保守的な価値観を重視する有権者」が、どの器に自分の思いを託すのかを模索している過程とも言えます。つまり、参政党の支持率低下は、単に「人気が落ちた」というだけではなく、「保守系世論の再編」の一部として読み解く必要があるのです。

「数字」と「理念」のあいだで揺れる新興政党

政党にとって、世論調査の数字は重要な指標です。支持率は、メディアの扱い方や他党からの見られ方、さらには党内の雰囲気にも影響します。しかし同時に、数字だけを追いかけることは、自らの理念や政策の一貫性を損なうリスクも伴います。

参政党は、従来の政党とは異なるスタイルで支持を集めてきた背景もあり、「どこまで世論に合わせ、どこから先は譲らないのか」というバランスが、常に問われ続けています。神谷代表の「参政党は参政党らしくいきます」という言葉は、その葛藤の中で、「まずは自分たちらしさを守る」という決意表明だと解釈することができます。

特に、地方議会での活動は、有権者との距離が近い分、党のカラーがよりストレートに伝わる場です。鹿児島市議会で「参政党らしく」振る舞うことができるかどうかは、今後、他の自治体や国政にも波及しうる「試金石」となるかもしれません。

今後の焦点:世論との対話をどう続けるか

最後に、参政党をめぐる今後の焦点として、「世論との対話をどう続けていくか」という点が挙げられます。

  • 支持率という「結果」をどう受け止めるのか
  • 高市政権を含む国政の動きと、どのような距離感を保つのか
  • 地方議会での実績を、どのように全国的な支持へとつなげるのか
  • インターネット発の支持層と、テレビや新聞を主に見る層との間をどう橋渡しするのか

世論調査の数字は、一つひとつが有権者の「今の気持ち」のスナップショットです。しかし、その背後には、「なぜその政党を支持したのか」「なぜ支持をやめたのか」といった、数値だけでは見えにくい理由や感情があります。

参政党にとって、今回の支持率3.0%という結果は、そうした有権者の声に改めて耳を傾け、自らの立ち位置やメッセージの伝え方を見直すきっかけにもなりうる出来事です。一方で、神谷代表が語るように、「日本がどうなるかが大切」という視点に立つならば、自党の浮き沈みだけでなく、国全体の方向性にも目を向け続ける必要があります。

「参政党らしさ」を守りつつ、多様な世論とどう向き合っていくのか。その選択が、これからの参政党の姿を決めていくことになりそうです。

参考元