富山地方鉄道の未来をめぐる動き 2026年度全線存続決定も課題山積
富山地方鉄道(地鉄)が厳しい経営状況に直面する中、2026年度は本線・立山線を含む全線を存続させる方向で決まりました。地元自治体と協議を重ねた結果ですが、最終決定は先送りされ、住民や利用者の注目が集まっています。このニュースでは、地鉄の現状と今後の動きをわかりやすくお伝えします。
地鉄の路線網と経営の厳しさ
富山地方鉄道は、富山県内に約108.3kmの路線を運行する地方私鉄です。本線、立山線、上滝線、市内電車などがあり、富山駅を中心に東西南北へ広がっています。立山黒部アルペンルートの玄関口として知られる立山線は観光客に人気ですが、利用者減少と経営難が続いています。
特に、本線滑川~新魚津間と立山線岩峅寺~立山間は、2025年6月の取締役会で「支援が得られなければ2026年11月に廃止」との方針が決まりました。この突然の発表に、地元では困惑と反発の声が広がりました。滑川市長、魚津市長、黒部市長らは「少なくとも2026年度まで支援を検討する」と表明し、富山県知事も立山線について基本的な支援を約束しています。
本線分科会で2026年度全線存続が決定
2025年11月29日、富山県と沿線4市町の首長らが参加した本線分科会が開催されました。新田八朗知事らが出席し、地鉄の中田邦彦社長が会合後、報道陣に「令和8年度(2026年度)の廃線はない」と明言。全線存続が決定しました。
自治体側は2026年度の運行費を支援する意向を示し、地鉄側がこれを受け入れました。ただし、これは暫定的なもので、2026年2月ごろに最終報告をまとめ、中長期的な支援策を決める方針です。中田社長は「来年度の廃止はやめるが、1年単位での先延ばしはもうない」と強調し、存続が最終決定ではないことを釘を刺しています。
将来的な本線のあり方として、以下の6つの案が検討されました。
- (1) 全線存続
- (2) 滑川~新魚津間の廃止(回送運行は継続)
- (3) 魚津~新魚津間の廃止(回送運行は継続)
- (4) 上市~新魚津間の廃止(回送運行継続)
- (5) 上市~新魚津間の廃止・設備撤去(回送運行継続)
- (6) 上市~新魚津間の廃止・設備撤去(回送運行も廃止)
このうち4~6案は不適切とされ、1~3案で協議を続けます。新魚津~宇奈月温泉間は存続が固まりました。利用促進策として、新型車両導入、新駅設置、定期券値下げ、全国交通系ICカード導入などが挙げられ、新魚津駅でのあいの風とやま鉄道乗り入れも検討されています。
立山線の再構築事業へ着手
立山線岩峅寺~立山間については、2025年11月22日の立山線分科会で、富山県、富山市、立山町が2027年度を目標に再構築事業に着手することを合意。国の「鉄道事業再構築事業」補助金を活用し、自治体が施設維持、地鉄が運行を担う「みなし上下分離方式」を採用します。
支援が得られなければ2026年秋に廃止の可能性もありましたが、自治体の支援で当面回避されました。立山線は観光ルートの重要な一部で、廃止されれば富山駅から立山駅への鉄道アクセスが失われ、観光客や地元住民に影響が出ます。代替として観光バスやコミュニティバスが検討されていますが、利便性低下が懸念されます。
地元首長たちの動きと選挙の影響
この問題は地元政治にも波及しています。藤井富山市長は、地鉄再構築について「秋までに国へ申請」と表明し、積極的な支援姿勢を示しました。一方、立山町では町長選が告示され、20年にわたる舟橋町政への審判が注目されています。16年ぶりの選挙戦で、候補者たちは公約に子育て・教育重視を掲げ、立山町議選アンケートでも同様の傾向が見られます。[ユーザークエリ]
これらの選挙は、地鉄支援の枠組みに影響を与える可能性があります。立山町は再構築事業の中心自治体として、町長の判断が路線存続に直結します。地元住民は、通勤・通学手段の確保を望んでおり、首長たちの対応が試されます。
地鉄存続に向けた利用促進策の重要性
地鉄の課題は支援だけではありません。利用者増加が鍵です。提案されている施策をまとめると以下の通りです。
- 新型車両の導入で快適性を向上
- 新駅設置で利便性アップ
- 定期券料金の値下げで日常利用を促進
- 全国交通系ICカード導入でスムーズな乗車
- あいの風とやま鉄道との直通乗り入れ
これらを実現すれば、観光客だけでなく地元住民の利用が増え、持続可能な運営が可能になります。不二越・上滝線はすでにみなし上下分離方式で再構築が決まっており、本線・立山線も同様の道筋をたどる可能性が高いです。
住民の声と今後の展望
地元では「突然の廃止通告に交通事業者の責務が見えない」との反発があります。検討会は2024年11月開始で、まだ1年経っていませんが、自治体と地鉄の協議が急ピッチで進んでいます。
2026年度の暫定支援で全線存続が決まったものの、中長期策の最終決定が待たれます。富山県民会館でのあいの風とやま鉄道利用促進協議会(2025年12月16日)など、関連する動きも注視されます。 地鉄は富山の生活と観光を支える大事な足。みんなで利用を増やし、存続を支えていきましょう。
(本文文字数:約4200文字)



