COP30、ブラジル・ベレンで開幕――加速する気候変動対策と世界の連帯

2025年11月10日、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が、ブラジル北部の都市ベレンで盛大に開幕しました。世界中の国々から代表が集い、気候変動に立ち向かうための新たな枠組みと実効性ある対策が話し合われています。COP30は、パリ協定から10年、またCOP1(1995年・ドイツ)から30年、京都議定書の発効から20年という節目を迎えた記念すべき会議です。

COP30とは?――気候変動対策の世界的会議の役割

COP30は、世界各国が地球温暖化を防ぐために集まり、持続可能な未来に向けた国際ルールや支援のあり方を議論する場です。気候変動の問題は、世界中の人々の暮らしや自然環境に大きな影響を及ぼしています。とりわけ、近年の異常気象や自然災害は、途上国のみならず先進国にも深刻な被害をもたらしており、全人類の協力が欠かせません。

  • 開催期間:2025年11月10日〜21日
  • 開催都市:ブラジル・ベレン(「アマゾンの玄関口」)
  • 主な議題:パリ協定の次の10年(2025〜2035)の行動方針、途上国支援、気候資金、森林保護

加速する危機と求められる「さらなる野心」

パリ協定では、産業革命以前と比較して地球の平均気温上昇を1.5℃に抑える目標が掲げられました。しかし、国連環境計画(UNEP)によると、現在の各国の取り組みでも、今世紀末には気温が2.3~2.5℃上昇する恐れがあると警告されています。つまり、従来の約束だけでは十分ではなく、「もっと速く、もっと大きく」行動することが不可欠とされています。

今大会では、開幕式で一層の協調と迅速なアクションが世界各国に求められました。気候変動対策を加速させるためには、温室効果ガス削減だけでなく、エネルギー転換や資金支援など、あらゆる分野の総合的な取り組みが鍵となります。

途上国への公平な支援と「気候資金」

地球温暖化の原因の多くは歴史的に先進国に起因しています。しかし、その影響は途上国に重くのしかかっています。洪水や干ばつ、海面上昇など、暮らしを根本から脅かす問題が世界中で広がっています。そこで、世界が協力して途上国への資金支援(「気候資金」)を拡充することが何より重要です。

COP30では2024年のCOP29で決まった途上国支援枠組みの具体化が大きな焦点となっています。資金の流れや仕組みの透明性、公平性、そして支援の実効性が問われており、新たな合意形成が期待されています。

化石燃料からの「公正な移行」――意見の対立も

気候変動の加速を食い止めるためには、従来の化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーへの転換が不可欠です。しかし、石油産出国や化石燃料産業はこれに強く反発しています。天然資源に頼る経済構造の転換は一筋縄では進みません。そこに「公正で公平な移行」と「合意形成」の難しさが浮き彫りとなっています。一方で、欧州連合や多くの先進国、企業、市民団体は温暖化対策の強化を強く求めています。

ネイチャーCOP――アマゾンの未来と森林保全の新枠組み

今年のCOP30は、開催地であるベレンが「アマゾンの玄関口」と呼ばれることから、森林保護生物多様性保全にも大きな注目が集まっています。ブラジルは世界最大級の熱帯雨林を抱えており、その保護は地球全体の持続可能性に直結します。

ブラジルはCOP28で提案した新たな基金「Tropical Forests Forever Facility(TFFF、国際熱帯雨林保護基金)」の推進を公約し、今大会での創設を目指しています。特に、先住民への直接支援、衛星による森林監視、違法伐採の抑止力強化などが実施される予定です。

  • 森林をCO2の吸収源として守る重要性: 近年、アマゾンの森林破壊により「吸収源」から「排出源」へ転換するリスクが指摘されています。
  • 先住民による保護活動:伝統的な知恵や地域コミュニティの力を活用し、持続可能な管理を目指します。
  • 違法伐採への対策: 衛星監視や国際協力により、違法な開発や資源搾取を防ぎます。

アメリカ不参加のインパクトと多国間連携への期待

今回のCOP30では、世界第2位の温室効果ガス排出国であるアメリカが事実上交渉に不参加となり、大きな波紋を呼んでいます。これまで気候変動対策の牽引役だった欧州も、政治的な揺らぎやエネルギー危機などの影響で一枚岩ではありません。

それでも、世界の多くの国が協力し、1.5度目標を守るために、国際的な連携を強化する意思を表明しています。COP30の議場では、新たな資金スキームや合意形成に向けて、活発な議論が繰り広げられています。

子どもたちの未来へ――COP30の意義とこれから

気候変動の解決は、今を生きる私たちだけでなく、未来の世代にとっても重要な課題です。COP30は「次の10年」への転換期となり、政策・産業・社会全体を巻き込んだ「本気の対策」が求められています。一人ひとりができること、そして社会が変わるために必要なことを考え、行動を続けていくことが大切です。

  • 気候変動は私たち全員に関わる問題です。
  • 多様な立場の人々が集い、自由に意見を交わせる場がCOPです。
  • 地球規模で考え、地域で行動することが持続可能な社会につながります。

今大会の進展や合意内容は、持続可能な社会の未来を左右します。今後の議論や成果にもぜひご注目ください。

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