立憲民主党の消費税減税戦略が転機、江田憲司議員らの勉強会が統合へ

立憲民主党内における消費税減税を巡る動きが大きな転換点を迎えています。江田憲司議員が主導してきた複数の勉強会が統合され、党の執行部に対して減税政策の提言を検討する方針が固まりました。この動きは、物価高騰が続く日本の経済状況の中で、野党がどのような経済政策を打ち出すのかを示す重要な事例となっています。

勉強会統合の背景と経緯

江田憲司議員は昨年12月、「食料品の消費税0%を実現する会」という勉強会を立ち上げました。この勉強会には想定以上の議員が参加し、当初から議員本人だけでも50人、代理を含めると70人規模が集まったと言われています。さらに、執行部の意向を受けて表立っては参加していない議員も含めると、党内で半数を超える多数派が形成されていったのです。

こうした党内の減税派の活動に対し、党の重鎮である枝野幸男元代表は「減税ポピュリズムに走りたいなら別の党を作って下さい」と厳しく批判するなど、党内の意見対立が存在していました。しかし、このような批判にもかかわらず、江田議員らの活動は勢いを増し、党の執行部でも減税政策の重要性が認識されるようになってきました。

今回、複数の勉強会が統合されることで、党内の減税派がさらに結束を強める形となります。特に注目されるのは、統合後の勉強会が「不公平税制の抜本改革で消費減税の財源をつくる会」という新たな枠組みを持つことです。これにより、単なる減税の主張にとどまらず、その財源確保の方法についても真摯に検討する姿勢が示されています。

食料品消費税ゼロ法案の国会提出

立憲民主党は既に具体的な行動に移しています。10月31日には「食料品消費税ゼロ法案」(正式名称:飲食料品に係る消費税の税率を引き下げて零とする臨時特例の創設及び給付付き税額控除の導入に関する法律案)を衆議院に提出しました。

この法案は、先の参議院選挙において党の公約とした「食料品消費税ゼロ」の実現を図るものです。提案では、現在8%の軽減税率が適用されている食料品や飲料などの消費税率を一時的に「ゼロ」にし、その財源は外貨準備の予算の活用で捻出できるとしています。

現在、食料品の高騰が家計を直撃している状況について、党は深刻に受け止めています。民間の調査によれば、10月だけで3000品目以上の値上げが行われており、今年1年間では2万品目を超える食料品の値上げが行われる見込みです。所得が低い人ほど食料品の支出割合は高い傾向にあることから、この現象は「食卓の危機」とも言える状況となっています。

法案提出後、記者団の取材に応じた吉田はるみ代表代行は「とにかく食べ物に対する不安が大きいというところをしっかりと支えたいという思い」であると述べ、この法案をもとに「国会の議論を活発化させたい」と意気込みを語りました。

野党連携と政策形成の動き

江田議員は、今回の勉強会統合について「野党連携を促進」するものとして位置づけています。これは、立憲民主党だけにとどまらず、他の野党との協力によって消費税減税政策を実現しようとする姿勢を示すものです。

党の指導部における認識も変わってきています。江田議員によれば、当初、野田佳子代表は「減税は検討課題」という曖昧な態度を取っていましたが、やがて「勉強したい、物価高対策としては一定の方向として評価する」という前向きな姿勢へと変化していきました。江田議員は、この変化について「野田さん自身には葛藤でしょうけど、いま物価高に苦しむ国民の皆さんの暮らしを少しでも守りたい、その思いは共通だったのではないでしょうか」とコメントしています。

党内の執行役員からも、食料品の消費税ゼロ化に対する支持の声が出てきました。江田議員のところには多くの執行役員が訪れ、「食料品0はぜひ実現したい、野田代表を説得したい」という意思を伝えてきたとのことです。

政策実現に向けての課題

一方、政策実現に向けては技術的な課題も存在しています。食料品の消費税をゼロにする場合、現在のレジシステムの改修に相当な時間がかかることが指摘されており、この点についても国会での議論が必要とされています。

また、財源確保の問題も重要です。党は外貨準備の予算活用を提案していますが、この点については様々な議論があるでしょう。江田議員らが新たに立ち上げた「不公平税制の抜本改革で消費減税の財源をつくる会」は、こうした財源問題についても真正面から取り組もうとするものと言えます。

今後の展開

立憲民主党は、複数の勉強会の統合によって党内の団結を強め、一律5%程度の消費税減税を軸とした提言を党の執行部に行う方向で検討を進めています。その目標は、与野党を超えた合意形成です。柚木道義衆議院議員も「与野党を超えて成立させたい」と述べており、野党全体での連携を目指す姿勢が見られます。

物価高騰が続く中、消費税減税は国民生活に直接的な影響を与える重要な政策課題です。立憲民主党がどのような具体的な提言を行い、それが国会でどのような議論を生み出すのか、今後の動向が注視されています。

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