立憲民主党が野党統一候補へ協力要請を開始

2025年10月9日、立憲民主党の安住淳幹事長が、近く召集される臨時国会での首相指名選挙に向けて、野党各党への協力要請を精力的に行いました。自民党と公明党の連立協議が難航する中、野党側は政権交代の可能性を見据えた動きを活発化させています。

河村たかし氏への異例の要請

安住幹事長は9日、衆院会派「減税保守こども」に所属する河村たかし氏と会談しました。河村氏は長年「総理を狙う男」として知られており、安住氏自身も「先生が総理を目指していることは30年前からよく知っている」と語っています。

会談では、安住氏が近く開かれる臨時国会での首相指名選挙において、野党統一候補への投票協力を呼び掛けました。これに対して河村氏は「わしに一本化なら断らんよ」と応じたとされ、野党統一候補として自身が選ばれるのであれば協力する意向を示唆しました。この発言は、野党側の連携構築において大きな話題となっています。

野党各党への働きかけを強化

安住氏の協力要請は河村氏だけにとどまりませんでした。同日、参政党の安藤裕幹事長とも国会内で会談を行い、首相指名選挙での協力を求めました。安住氏によると、安藤氏は政権枠組みについて「自民党政権ではない考え方もある」との認識を示したといいます。

参政党は政策面で自民党の高市早苗総裁に近いとされており、スパイ防止法や外国人政策などで共通点があります。しかし、神谷宗幣代表は「(自民党との)連立に関してはまったく検討していない」とも述べており、野党との連携可能性も残されている状況です。

れいわ・共産との会談も実施

安住氏はさらに、れいわ新選組や共産党などの幹部とも会談を重ねました。会談後、安住氏は記者団に対して手応えを語り、「(野党各党で)輪ができてきたんじゃないか。自民党政権を続けていいと全く思っていないことは、皆さんおっしゃっていた」と述べています。

この一連の動きは、立憲民主党が野党統一候補の擁立に向けて本格的に動き出したことを示しており、自民党と公明党の連立協議が難航している状況を好機と捉えた戦略と見られています。

自公連立協議の難航が背景に

野党側の動きが活発化している背景には、自民党と公明党の連立協議が想定以上に難航していることがあります。公明党は9日の中央幹事会で自民党との連立のあり方を巡り協議しましたが、党内でくすぶる「連立離脱」をめぐって賛否両論が噴出しました。

斉藤鉄夫代表は「私が判断」との姿勢を示していますが、同日夜には各都道府県本部の幹部による会議も開かれるなど、党内の意見集約が難航している様子がうかがえます。この混乱が、野党側に政権交代の可能性を期待させる要因となっています。

国民民主党の慎重な姿勢

一方、国民民主党の玉木雄一郎代表は9日、自民党と公明党の連立協議が難航していることを踏まえつつも、慎重な姿勢を示しています。玉木氏は「国会日程も定まらないと、政策実現、補正予算も年内にできるのか不安定になる」と懸念を表明し、首相指名選挙は「後でいい」との考えを示しました。

また玉木氏は、公明党の政権への関与が弱まった場合について、「ある種、自民単独の政権運営になってしまう」との見方も示しています。政権枠組みについては「自公+野党の支持が多い」と述べ、立憲民主党や日本維新の会とは異なる立場を取っています。国民民主党は野党統一候補への協力には消極的な姿勢を維持しているようです。

首相指名選挙の時期について

首相指名選挙の具体的な日程については、まだ正式には決まっていません。通常、総選挙後の特別国会は選挙日から30日以内に召集されることになっていますが、今回は自民党と公明党の連立協議が長引いていることで、国会召集の時期も不透明な状況が続いています。

国民民主党の玉木代表が「国会日程も定まらない」と述べているように、連立協議の行方次第で首相指名選挙の実施時期が大きく変わる可能性があります。野党側は臨時国会が「近く召集される」との見通しを持っていますが、具体的な日程調整は引き続き注視が必要です。

石破政権の今後と課題

現在の石破茂政権は少数与党という難しい立場に置かれています。9日には、自民党の小野寺五典前政調会長が党税制調査会の新会長に就任する見通しであることが明らかになりました。宮沢洋一氏の後任となる小野寺氏は、ガソリン税の暫定税率廃止など、党内外との調整に当たることが期待されています。

しかし、少数与党での政権運営は容易ではありません。補正予算の年内成立など、喫緊の課題に対応するためには、野党の協力が不可欠です。その意味で、連立協議の行方と首相指名選挙の結果は、今後の日本の政治運営に大きな影響を与えることになります。

野党統一候補実現の可能性

立憲民主党が野党各党への協力要請を進める中、野党統一候補が実現するかどうかは不透明です。河村たかし氏の「わしに一本化なら」という条件付きの発言や、国民民主党の慎重姿勢など、各党の思惑は必ずしも一致していません。

ただし、安住幹事長が「輪ができてきた」と手応えを語るように、自民党政権を続けることへの疑問は野党間で共有されているようです。参政党の安藤幹事長も「自民党政権ではない考え方もある」と述べており、野党側の連携可能性は完全には否定できない状況です。

今後の展開に注目

自民党と公明党の連立協議がいつまとまるのか、そして臨時国会がいつ召集されるのか。首相指名選挙の時期と結果は、日本の政治に大きな転換点をもたらす可能性があります。

立憲民主党を中心とした野党側の働きかけが実を結ぶのか、それとも自公連立が継続するのか。あるいは国民民主党が主張するような「自公+野党」という新たな枠組みが生まれるのか。各党の動向と国会日程の調整が、今後数週間の焦点となりそうです。

野党統一候補の擁立を目指す立憲民主党と、それぞれ異なる立場を取る各野党。自公連立の行方を含め、日本の政治は重要な局面を迎えています。首相指名選挙の実施時期とその結果が、今後の政権運営を大きく左右することになるでしょう。

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