国勢調査2025年秋、札幌市を中心に調査員の確保が深刻な課題に
2025年秋に実施される国勢調査(令和7年国勢調査)は、日本の人口や世帯数、暮らしの状況を把握し、将来の行政や街づくりのための大切な基礎データを得るために5年に1度行われる最大規模の国の統計調査です。同調査は、日本国内に住むすべての人・世帯が対象となり、各自治体の協力のもと進められています。しかし近年、この調査の要である国勢調査員の確保が困難になってきています。
札幌市、調査員の集まりが非常に厳しい現状
札幌市では、2025年度の国勢調査に向けて約1,600人の調査員を公募しましたが、実際に集まったのはわずか700人程度にとどまっています。これは必要数の半分にも満たない人数です。こうした事態を受けて、市職員が調査員業務を「代行」する対応を迫られる状況となっています。
- 調査員の高齢化・若い世代からの応募不足
- 負担感や報酬への不安から敬遠される傾向
- 昨今の感染症予防や生活スタイルの変化も影響
このような「人手不足」は札幌市だけでなく、北海道全域や他の都市・地方でも共通の悩みとなりつつあります。
国勢調査の役割と調査員の仕事内容
国勢調査は、1920年(大正9年)から100年以上続く歴史の長い統計事業です。全ての人・世帯が調査対象であり、ここで得られたデータは行政サービス、福祉、インフラ整備、防災計画、教育などあらゆる分野で活用されます
国勢調査員が担う主な業務は以下の通りです。
- 市区町村で行われる調査員説明会への参加
- 担当する調査区域の巡回・確認
- 世帯を訪問し、調査書類の配布や説明
- 未提出世帯への督促
- 回収した調査票の整理・提出
調査員は非常勤の国家公務員として任命され、調査期間中は一般世帯への接触や資料の管理など重要な役割を担います。札幌市の場合、1調査区あたり3万円〜4万円程度の報酬が支給される見込みです。
なぜ調査員の確保が難しいのか?
かつては地域の役職者や主婦層などによる協力が活発でしたが、社会の変化とともに調査員の確保は年々難しくなっています。その主な理由は次の通りです。
- 高齢化と人手不足…従来担ってきた高齢者世代自体の減少、体力的な制約
- 若い世代の応募減…現役世代の仕事や家事・育児との両立が難しい
- 業務の負担感…未提出世帯への督促や訪問の心理的・物理的負担
- 収入や報酬への不安…仕事内容に比し、対価が見合わないとの声
- 個人情報保護や詐欺被害への懸念…無関係の訪問や個人情報扱うリスク
- 新型コロナウイルス感染症の影響…対面活動への警戒心が残る
実際に調査員経験者の中には、「住民とのトラブルやクレームが辛かった」「思った以上に負担が大きかった」と語る人も少なくありません。これらの背景から、住民の理解と協力、働きやすい環境づくりがかつてないほど重要になっています。
市職員による「代行」と業務の工夫
2025年度の札幌市では、調査員の応募不足を受けて急きょ市職員が調査員の任務を代行する方針が採られており、本来の業務に加えて地方自治体として大きな負担を背負うことになっています。
こうした状況に対し、各自治体では様々な工夫が導入されています。
- Web申込やオンライン説明会の導入
- 郵送・インターネットを活用した回答方式
- ソーシャルメディアでの広報活動
- 報酬や業務負担の見直し
- 調査区域の効率化など
特に国は、「調査用紙の直接郵送」方式の試行を進めており、これまで調査員が一軒一軒配布していた書類の業務を部分的に軽減する工夫も始まっています。これにより、今後の調査員不足への対策や、住民の負担減少も期待されています。
住民の理解と協力が不可欠
国勢調査は法律(統計法)で全住民が回答義務を負っており、社会全体が協力して正確な調査を進める仕組みとなっています。しかし、こうした制度的な性質だけでなく、「調査員の人手不足」といった現場の課題を乗り越えるには、やはり一人ひとりの住民の理解と協力が必要不可欠です。
- 調査員への応募や協力
- 地域社会への参加
- 正しい情報と理解の拡大
本年度の国勢調査が無事に全国で実施され、確かなデータが社会のこれからに活かされるよう、自治体もさまざまな広報・啓発活動に力を入れています。例えば「広報いせさき 令和7年9月号」でも国勢調査に関する特集記事が組まれ、調査員の重要性や住民への呼びかけがなされています。
応募方法や相談窓口について
札幌市をはじめ各市町村では、電話・インターネット・郵送など複数の方法で調査員への応募を受け付けています。わかりやすい解説や地区説明会も開催されており、「ちょっと気になる」「詳しく知りたい」という方も気軽に問い合わせることができます。
- インターネットでの応募は24時間受付
- 電話も利用可能(時間帯あり)
- 区役所や統計担当窓口への来庁・郵送
- 各自治体ホームページで詳細掲載
まとめ:国勢調査の今とこれから
今回の国勢調査をめぐる人手不足や取り組みは、「これからの社会の姿」を映す鏡でもあります。急速に進む少子高齢化や生活様式の変化、住民同士のつながりの希薄化のなかで、私たち一人ひとりの役割や協力がより大きな意味を持つ時代になったと言えるでしょう。
調査員の仕事は、地域や日本全体の未来づくりの第一歩です。関心のある方は、ぜひ各自治体の募集情報をチェックしてみてください。調査員を支える「あなた」の一歩が、確かな社会の基礎データを生み出し、より良い暮らしや政策を支えていく力になります。