APEC首脳会議開幕 高市首相、日韓・日中首脳会談に臨む ― 慶州で繋がるアジア太平洋の未来
注目のAPEC首脳会議、韓国・慶州で開幕
2025年10月30日、韓国・慶州にてアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が開幕しました。今年のAPEC議長国は韓国となっており、韓国南部の風光明媚な都市・慶州で、21の加盟エコノミーの首脳たちが一堂に会し、貿易・投資、AI(人工知能)、人口動態の変化といった先端分野や地域的な課題について議論します。日本からは高市早苗内閣総理大臣が出席し、就任後初となる国際首脳外交の舞台に立って存在感を示しました。
外交「ウィーク」締めくくりの慶州訪問
高市首相は、ASEAN首脳との会談やトランプ前米大統領の来日対応など、立て続けの外交日程を経て、10月30日午後に韓国入り。3日間の滞在を予定しています。今回のAPECは高市外交の集大成とも言えるもので、「主要な首脳と協力・信頼関係を構築したい」と語り、アジア太平洋地域の経済発展と繁栄への強い「コミットメント(関与)」を表明しました。
焦点の日韓首脳会談:李在明大統領との初対面
30日夕方、高市首相は韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領との初の首脳会談に臨みました。日韓関係は歴史問題や経済摩擦、安全保障問題など多くの課題を抱えつつも、近年は北朝鮮情勢やグローバルな経済連携を背景に関係改善への機運が高まっています。会談では
- 歴史認識を巡る対話の継続
- 経済交流・人材交流の活性化
- 日米韓の連携による北朝鮮への対応
- 地域の安全保障協力
といった課題について意見交換が行われ、未来志向の協力を確認。高市首相は「両国が互いに信頼と協力で新たな時代を切り開くことが重要」と語り、定期的な対話の枠組み強化など連携深化への意欲を示しました。
歴史的な日中首脳会談調整進む ― 習近平国家主席と「建設的な対話」
翌31日には、中国の習近平国家主席との首脳会談が調整中です。高市首相にとっては就任以来初、中国側にとっても久々の日本新首相との首脳交流。両国は戦略的互恵関係を掲げてきましたが、台湾情勢や靖国参拝、日本の新安保政策などを巡る意見の不一致が続いており、今回の会談はアジアの安定に大きな影響があるとみられています。
高市首相は所信表明にて「中国は重要な隣国。建設的かつ安定的な関係構築へ率直な対話が必要」と強調。中国側は日本の姿勢に警戒感を持ちつつも、対話再開に慎重ながらも前向きな姿勢を見せています。祝電など外交儀礼に変化もあり、神経戦が続いていますが、対話再開自体が地域外交の進展と見る声も強いです。もし会談が実現すれば、気候変動、経済協力、安全保障、人的交流促進など幅広いテーマでの進展が期待されています。
APEC首脳会議の主要テーマと日本の立場
慶州で開催されるAPEC首脳会議では、加盟諸国による以下のような議論が行われます。
- 貿易・投資の自由化と円滑化
- デジタル化やAIといった新技術への対応
- 人口動態の変化や高齢化社会への対策
- 脱炭素経済、持続可能な成長に向けたグリーン・イノベーション
日本は、「信頼性あるサプライチェーン強化」や「デジタル分野での規範作り」「イノベーションによる経済再生」など主導的な役割を担う所存です。高市首相はまた、「共通の価値観に基づき、多様性と包摂性のある社会を目指した対話が重要」と発信しています。
加盟国首脳との個別会談も
高市首相は今回のAPEC参加を機に、韓国・中国以外の各国首脳とも意見交換を予定。多国間協調だけでなく、二国間の信頼醸成や経済交流の底上げを図る外交アプローチに挑んでいます。中小企業支援やデジタル人材交流、2050年カーボンニュートラル目標などの分野でも、日本の積極的な貢献をアピールします。
日韓首脳会談:両国市民の期待と課題
今回の日韓首脳会談実施には、両国の市民からも多くの注目が集まっています。両国の経済交流規模は年々拡大し、旅行や留学など人的な往来も回復傾向にあります。しかし一方で、慰安婦・徴用工問題や水産物輸出の規制など、解決すべき課題は残されています。「未来志向」と「現実的な協力」、そのバランス感覚が今後の外交手腕に問われることになります。
国民へのメッセージと高市首相の新たな一歩
出発にあたり、高市首相は国内で「信頼関係をしっかりと構築し、戦略的な視点で地域と世界の安定・発展に日本が貢献したい」と強調しました。国内外の有権者、関係各国の政財界・市民団体からも、女性首相ならではのきめ細やかな外交姿勢や多様な視点への期待感が高まっています。慶州から発信されるメッセージが、アジア太平洋の次世代協力の礎となることが期待されます。
今後の注目点とまとめ
- 日韓、日中それぞれの首脳会談でどこまで具体的な合意に至るか
- APEC全体会合で日本の主張がどれだけ共有されるか
- 北朝鮮問題など地域の安全保障で新たな共同声明や行動が生まれるか
- 継続的な首脳レベルの対話体制が定着するか
2025年のAPEC韓国・慶州会議は、高市首相のリーダーシップと日本外交の新たな転換点として、地域と世界の注目を集め続けるでしょう。




