2025年自民党総裁選――党再生の行方と候補者たちの攻防

自民党総裁選はいつ行われるのか

2025年自由民主党総裁選挙は、2025年10月4日に投開票が行われます。今回の総裁選は、現職総裁で第100代内閣総理大臣の石破茂氏が2025年9月7日に辞任の意向を表明したことに伴って実施されるものです。党員・党友を含めたフルスペック型で行われる今回の総裁選は、党内だけでなく多くの国民の注目を集めています

総裁選日程とその流れ

  • 9月22日(月):告示・候補者推薦届出受付、各候補者による所見発表演説会
  • 9月23日(火):共同記者会見、公開討論会(党青年局・女性局主催)
  • 9月24日(水):日本記者クラブ主催公開討論会、東京都内での街頭演説会
  • 9月26日(金):愛知県名古屋市での街頭演説会
  • 9月27日(土):オンラインイベント「ひろゆきと語る夜」自主討論
  • 9月30日(火):オンライン政策討論会
  • 10月2日(木):大阪での街頭演説会
  • 10月3日(金):党員投票締切
  • 10月4日(土):議員投票・開票および党員投票開票(結果発表)

投票権を持つのは、党所属の国会議員295人、およびほぼ同数となる党員・党友票です。合計590票で決するこの選挙の行方は、党運営以上に今後の政権の安定や日本政治全体にも直結します

候補者紹介――新しいリーダーを目指す顔ぶれ

今回の総裁選には以下の5名が立候補を表明しました(五十音順)。

  • 高市早苗(元総務大臣)
  • 小林鷹之(元経済安全保障担当大臣)
  • 林芳正(内閣官房長官)
  • 小泉進次郎(農林水産大臣)
  • 茂木敏充(元自民党幹事長)

いずれも前回2024年の総裁選に挑戦した経験者であり、党再生を目指して再び名乗りをあげています。各候補とも、自らの政策・立ち位置をアピールすべく討論会や街頭演説で全国を駆け巡っています。

政策論争の現状――農業・コメ政策が話題にならない背景とは?

今回の総裁選をめぐっては、物価高やコメ価格の上昇が国民生活に大きな影響を与えているにもかかわらず、農業政策やコメ政策があまり話題になっていないという声が挙がっています。「新米が高くて困っているのに、なぜ各候補とも農業政策で踏み込んだ論戦をしないのか?」との指摘も多く見られます。

  • 自民党内では「農業政策が総裁選の“票”になりにくい」「都市部の党員や議員の関心が薄い」など、政策アピールの優先順位が下げられている現状が背景にあります。
  • 一方で、農村部ではコメ価格高騰への不満が根強く、地方の党員票にどう影響するか注目されています。
  • コメ政策そのものが、党や国の農業ビジョンの根幹にかかわる課題として据えられていないため、議論が盛り上がりにくくなっている側面もあります。

こうした状況に対し、専門家からは「農業や第一次産業を軽視し続ければ長期的な支持離れを招く」との警告も出されており、地方と都市の“意識格差”も総裁選後の課題となりそうです。

話題を呼ぶメディアの「票読み」と各候補の現状

各種報道や世論調査では、意外な展開も少なくありません。人気テレビ番組「報道ステーション」の総裁選予想やインターネット上の独自票読みが公開されると、SNSでは「そんなバカな」「なんで?」など驚きと批判の声があふれました。

  • 特定候補が大差で勝つという「極端な予測」や、2位以下が大接戦になる「混戦」シナリオが話題となり、ネット上では冷静な分析だけでなく感情的な議論も巻き起こっています。
  • こうした「事前票読み」が、実際の党員・議員の投票行動にどこまで影響を与えるのか、また予想が当たりやすいのかどうかは、過去の総裁選を振り返っても一筋縄ではいきません。
  • 選挙運動の過程では、SNSなどを活用した新しい情報発信にも注目が集まっており、ネット世論が票の行方を左右する可能性も指摘されています。

その一方で、党選挙管理委員会はメディアへの過度なアンケート回答自粛や、SNS投稿をめぐる疑義にも注意を呼びかけるなど、「公正な選挙運動」の担保に神経をとがらせています。特に2025年の総裁選では、インターネット上で候補者支援の働きかけやコメント要請が問題になり、候補者側も対応に追われる場面がありました

党再生へのカギ―衆参ダブル敗北後の自民党

今回の総裁選の大きな背景には、2024年衆院選や2025年参院選での連敗があります。一時は「自民党解党的出直し」「“政権党”からの転落」までを指摘されるほどの危機感が、党全体を包み込んでいます。

  • 総裁選を通じて、国民からの信頼を回復し、政策転換や組織改革を断行できる新リーダーが選ばれるか――それが自民党再生の試金石です。
  • 選挙戦が進む中で、各候補は「党改革」「信頼回復」「現場主義」などのキーワードを掲げ、「自民党の再生」と日本社会の課題解決を強く訴えています。
  • しかし、旧来の派閥や党内力学が選挙構図に大きな影響を与えている点も見逃せません。最終決着は、党員・党友票と国会議員票の綱引きの行方にかかっています。

一方で、世論調査や地方有権者の声には「どの候補がリーダーになれば自民党が本当に変われるのか」という期待と懐疑が混在しています。新総裁の選出結果次第では、野党や無党派層の支持動向にも大きな影響が及ぶことになるでしょう。

禁止事項と選挙管理――ルールが明確化

2025年総裁選の選挙管理では、物品配布の禁止有料ネット広告・街頭電話作戦等の禁止が厳格に指導されています。総裁選挙管理委員は「党員や国民が公正に候補者の主張を比較できるよう最大限努める」と説明しています

  • 物品の配布や有料広告、電話によるオートコール作戦、告示前の運動など、あらゆる不公平・不正が生じないよう厳格なルールが敷かれています。
  • 違反が発覚した場合の処分や、ネット上での誤った情報拡散対策、メディア対応指針なども徹底されました。

公正性の担保が強く求められる中、候補者や支持者にも自主的なルール順守が呼びかけられています。

党内最大の焦点――「国民の声にどう応えるか」

総裁選の投票直前になり、感じられるのは「党員票」「地方」「中堅・若手議員」各層による支持の動きです。街頭演説や公開討論会に集まる有権者の声は、“政党政治そのもの”への問いかけとして総裁候補たちに突き付けられています。

  • 各候補とも、「現場の切実な声」や「新しい社会像」の提示を強く求められています。
  • 子育て支援、物価高、人口減少対策、エネルギー・安全保障、憲法改正といった多様な論点が議論されつつも、最大の焦点は「自民党が国民の代表たりえる信頼を回復できるか」に集約されます。

総裁選の結末がすべてを解決するわけではありませんが、新リーダーの誕生がどのような社会像や政策ビジョンを提示しうるのか、多くの国民がその行方を見守っています。

おわりに――自民党総裁選が映す「日本政治のいま」

2025年の自民党総裁選は、単なる党のリーダー選びではなく、戦後日本政治の転換点として歴史に刻まれる可能性を秘めています。世代交代、政策転換、地方分権、国民参加――そのすべてが問われているのが、今回の総裁選と言えるでしょう。

党の過去を引きずりながらも、変革を迫られている自民党。そして、その先にある日本社会の未来。10月4日の投開票を前に、国民の「一票」「一声」が、どんな方向性を選択するのか――引き続き大きな注目が集まっています。

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