新潟市で「アプリでバス無料デー」が開催、バス停には行列も
2025年10月19日(日)、新潟市では第4弾となる「アプリでバス無料デー」が実施され、バス停には多くの利用者が集まり行列ができるなど、大きな反響を呼んでいます。この取り組みは、スマートフォンアプリ「りゅーとLink」を通じて事前申し込みをした方を対象に、市内を運行する路線バスや区バス、住民バスを終日無料で利用できるというものです。
申し込み方法と対象路線
今回の無料デーに参加するには、事前の準備が必要でした。利用者は9月29日から開催前日の10月18日までの期間に、専用アプリ「りゅーとLink」をスマートフォンにインストールし、無料1日乗車券の申し込みを完了させる必要がありました。当日は、バスを降りる際に運転手にスマートフォンの乗車券画面を提示するだけで、運賃を支払うことなく利用できる仕組みとなっています。
対象となるのは、新潟市内で運行している路線バス、区バス、住民バスです。ただし、全てのバス路線が対象というわけではなく、空港リムジンバス、新潟市観光循環バス、高速バス(新潟県内・県外)、佐渡汽船・新潟空港ミニライナー(直行便)、新潟空港・瀬波温泉ミニライナー(直行便)、月岡温泉シャトルバス、イベント臨時バス、日曜・祝日運休の路線などは対象外となっています。
市内施設とのコラボレーション企画で魅力倍増
「アプリでバス無料デー」の魅力は、単にバスが無料で乗り放題になるだけではありません。市内の様々な施設やお店が協賛し、無料デー参加者に向けた特典やプレゼントを提供するコラボレーション企画が同時開催されています。
特に注目を集めているのが、「ピアBandai」でのコラボ企画です。ピアBandaiは2025年に15周年を迎え、その記念企画第1弾として「アプリでバス無料デー」と連携しました。ピアBandai案内所でスマホアプリの「無料1日乗車券」画面を提示すると、**館内全店舗で使える100円引きクーポン券**がもらえます。このクーポンは当日限り有効で、9時から18時まで配布されています。
また、「マリンピア日本海」では海鮮丼が100円引きになるサービスや、「万代シテイ」「ふるさと村」などでも様々なサービスが受けられる仕組みとなっており、バスでの移動だけでなく、訪問先でもお得に楽しめる1日となっています。
デジタルスタンプラリーで楽しみながら街を巡る
さらに、当日は二次元コードの読み込みで景品が当たるチェックインラリー(デジタルスタンプラリー)も同時開催されています。これは、市内の様々なポイントに設置された二次元コードをスマートフォンで読み込むことで、抽選で景品が当たるという企画です。バスで移動しながら街を巡り、スタンプラリーを楽しむことで、より充実した1日を過ごすことができます。
スマホ操作が不慣れな方へのサポート体制
デジタル技術を活用したこの取り組みですが、スマートフォンの操作に不慣れな方への配慮も十分になされています。新潟市では、アプリの登録や申し込みに不安を感じる方を対象に、**「アプリ登録サポート教室」**を開催しました。
この教室は10月4日、5日、7日、8日、14日、15日に、新潟市役所ふるまち庁舎やイオン新潟青山店で開催され、参加費は無料でした。申し込みは9月24日から電話(サーヴメント 025-267-6925)で受け付けられ、丁寧なサポートが提供されました。このような取り組みにより、デジタル技術に不慣れな高齢者などでも安心して参加できる環境が整えられています。
バス利用促進への継続的な取り組み
この「アプリでバス無料デー」は、今回が第4弾の実施となります。新潟市では、公共交通機関としてのバスの利用促進を目的に、このような取り組みを推進しています。過去には8月24日にも同様のイベントが実施されており、その際の申し込み期間は8月4日から8月23日まででした。
継続的にこのようなイベントを実施することで、普段はバスを利用しない方にもバスの便利さを体験してもらい、日常的な利用につなげていくことを目指しています。また、環境負荷の軽減や交通渋滞の緩和といった、より広い社会的な効果も期待されています。
当日の混雑状況と注意点
開催日当日は大変な混雑が予想されるため、新潟市では参加者に対して予定より早めの行動を呼びかけています。混雑等によるバスの遅延が発生する可能性もあるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが推奨されています。また、荒天や台風等により、内容の変更または中止の可能性もあることが事前に告知されています。
障がいのある方をサポートする介助者の方に対しても配慮がなされています。バスを降車する際、ご本人が「りゅーとLink」の乗車券画面を提示するのに合わせて障害者手帳を提示すれば、介助者も無料で乗車できる対応となっています。詳細については、都市交通政策課(025-226-2723)への問い合わせが可能です。
地域との連携と「バス待ちオアシス」の協力
「アプリでバス無料デー」の成功には、地域の協力も欠かせません。「バス待ちオアシス」に協力している施設では、ポスター設置などを通じて、この取り組みのPRに協力しています。バス待ちオアシスとは、バス停付近の店舗や施設が待合スペースとして開放したり、情報提供を行ったりする取り組みで、バス利用者の利便性向上に貢献しています。
利用者の反応と今後の展望
初めてこのような大規模な無料デーの取り組みを体験した利用者からは、様々な反応が寄せられています。「高校時代を思い出してエモーショナルな気持ちになった」といった声や、「1日中お得に楽しめて満足」といった前向きな感想が多く聞かれます。また、普段は車での移動が中心という方も、この機会にバスの便利さを再発見するケースが増えているようです。
新潟市では、このような取り組みを通じて、持続可能な公共交通システムの構築を目指しています。人口減少や高齢化が進む中で、バスなどの公共交通機関の維持は地域にとって重要な課題となっています。定期的にこのようなイベントを実施することで、市民にバスの価値を再認識してもらい、日常的な利用につなげていくことが期待されています。
全国的な動きと地域独自の工夫
バスの無料デーという取り組みは、新潟市だけでなく、全国の自治体で広がりを見せています。各地域がそれぞれ独自の工夫を凝らし、地域の特性に合わせた形でバス利用促進に取り組んでいます。新潟市の場合は、デジタル技術を活用したアプリでの申し込みシステムや、市内施設との連携によるコラボレーション企画など、多面的なアプローチが特徴となっています。
今後も新潟市では、このような取り組みを継続的に実施していく方針です。バスが単なる移動手段ではなく、街を楽しむためのツールとして位置づけられることで、より多くの人々にバスの魅力が伝わることが期待されています。
まとめ
新潟市の「アプリでバス無料デー」は、デジタル技術と地域連携を組み合わせた、現代的なバス利用促進の取り組みです。スマートフォンアプリを活用した簡便な申し込みシステム、市内施設とのコラボレーション、デジタルスタンプラリーなど、多彩な企画により、バスでの移動を単なる交通手段以上の楽しい体験にしています。当日はバス停に行列ができるほどの人気となり、公共交通の可能性を示す好事例となっています。