カメムシ防除にハーブが効果 小矢部市の水田で実証試験が成功
富山県小矢部市とJAいなばが共同で行った栽培試験で、ハーブを水田の畔に植えることでカメムシの被害を大幅に減らせることが確認されました。近年の温暖化によるカメムシの越冬・飛来増加に対する新たな対策として、注目を集めそうです。
試験の概要と結果
2025年、小矢部市管内の水田でコシヒカリを栽培する圃場の畔に、2種類のハーブを植えて実証試験が行われました。使用されたハーブは「ペニーロイヤルミント」と「オレガノ」で、50センチメートル間隔で植栽されました。
防除用農薬を散布する前の6月26日と7月17日に、カメムシの生息密度を調査した結果は以下の通りです。
- ペニーロイヤルミント区画:6月26日・7月17日ともカメムシが0匹
- オレガノ区画:6月26日が7匹、7月17日が1匹
- ハーブなし対照区(管内20ヵ所平均):6月25日が13.2匹、7月16日が18.6匹
ハーブを植えた区画とハーブを植えていない区画との間に大きな差が見られ、ハーブの防除効果が実証されました。特にペニーロイヤルミントの効果は顕著で、継続的な防除につながる可能性が高いことが示唆されています。
カメムシ対策が求められる背景
近年、地球温暖化の影響を受けて、カメムシの越冬個体が増加し、春から夏にかけて飛来するカメムシが稲を加害する被害が深刻化しています。水田周辺に集まるカメムシは、穂が出始めた時期に稲を吸汁して食害し、品質低下につながるため、農家にとって大きな課題となっていました。
従来は農薬散布による防除が中心でしたが、環境への配慮と持続可能な農業を実現する手段として、新しい防除方法の開発が望まれていました。今回のハーブを活用した物理的防除は、この課題に対する有望な解決策として期待されています。
ハーブを活用した防除のメリット
小矢部市農林課と JAいなば販売指導課の担当者によると、ハーブを活用した防除にはいくつかの利点があります。
- 継続的な効果:ハーブを植えた後は手間がかからず、長期間にわたって防除効果が期待できる
- 環境への優しさ:化学農薬の使用を減らすことで、環境への負荷を低減できる
- 経済性:除草作業以外に追加の手間が少なく、コスト効率が良い
- 汎用性:異なる地域への導入も可能と考えられている
小矢部市農林課の担当者は「JAと意見交換しながら実験的に植えてみた。他の地域でも役立つのではないか」とコメントしており、今後の普及可能性に期待を寄せています。
今後の展開と課題
JAいなば販売指導課の担当者は「除草はいるが、ハーブは植えた後手もかからない。今回の結果を踏まえ、今後も継続したい」と述べており、来年度以降も試験を継続する方針が示されました。
この試験結果から、ペニーロイヤルミントやオレガノといったハーブの香りがカメムシを忌避する可能性が示唆されています。今後の研究では、これらのハーブの成分分析や、より広範囲での試験栽培が期待されます。
また、この防除方法が他の地域の水田でも効果的であることが確認されれば、全国の稲作農家の新しい防除手段として普及する可能性があることも注目されています。特に有機栽培や環境配慮型農業を目指す農家にとって、ハーブを活用した防除は大きな利点となるでしょう。
温暖化時代の農業対策として
地球温暖化により、害虫の生息地が北上し、発生時期が早まるなど、日本の農業は新たな課題に直面しています。小矢部市の今回の試験は、こうした気候変動への対応策として、従来の化学農薬に頼らない新しい防除方法を提案するものです。
ハーブを活用した防除が本格化すれば、農家の負担軽減につながるだけでなく、食の安全性向上や農業の持続可能性向上にも貢献することが期待されています。今後の研究成果が、日本の稲作農業の未来を大きく変える可能性を秘めているのです。


