北海道新聞:七飯町でクマ目撃情報―住民と行政が警戒を強化

七飯町の林にクマ?複数の目撃情報が発生

2025年8月27日、北海道南部・七飯町の林でクマの目撃情報があったとの一報が地域住民と関係機関に緊張をもたらしています。発生のきっかけとなったのは、同町大沼町周辺の住宅街で「0.5メートルほどのクマのような動物がいた」と住民が通報したことです。さらに、その約15分後には、最初の目撃地点から数百メートルほど離れた道路で「体長2メートルと1メートルほどのクマのような動物が2頭いた」との追加通報も入りました。

現場の様子と住民の不安

目撃があった周辺は、住宅も点在し、普段は地域住民の憩いの場でもある町道脇の草地です。住民がベランダから外を見ていた際に発見され、通報したことで地元警察が急行。しかし、現場到着時にはクマらしき動物の姿は確認できませんでした

その後も警察は地域の警戒態勢を強化。「近くに小中学校や民家があるため、不安が拡がっています。特に子どもたちや高齢者が被害を受けないか心配です」と話す住民の姿もあり、町内の不安が高まっています。

秋のヒグマ注意特別期間―行政も注意喚起

北海道環境生活部自然環境局野生動物対策課ヒグマ対策室は、クマ目撃情報が急増した今秋、「秋のヒグマ注意特別期間」を2025年8月22日から10月31日まで設定。市街地周辺への出没が増えていることから「命を守るために、クマに出会ったときの適切な対処法を確認しましょう」と呼び掛けており、LINE公式アカウントや町のウェブサイトを通じて、住民へ情報発信を続けています。

また、町独自のハザードマップや注意喚起の掲示を強化し、「クマを引き寄せないためのゴミ出しルール徹底」や「早朝・夕方の不要な外出を控える」などの対策の周知も進めています。

大沼公園周辺でも継続的な出没―観光関係者も対応

同じ七飯町にある大沼公園周辺では、夏以降親子クマが繰り返し目撃されており、七飯大沼国際観光コンベンション協会は「継続的な出没を受けて関係機関と慎重に協議した結果、今季のイベント等について安全対策を最優先する」と発表。観光客への被害リスクにも警戒を強めています。

公園管理事務所では、園内の巡回頻度増加や見回り強化を実施。観光ルートの一部制限や、警告表示の目立つ場所への追加も進めており「自然の豊かさと野生動物との共生のバランスが求められています」とのコメントもありました。

ヒグマ出没状況と今後の見通し

町の公式情報によれば、今年度のヒグマ目撃情報は増加傾向であり、過去の事例と比較しても市街地近くへの出没が目立っています。行政は「安全を最優先に動き、地域住民・学校・観光事業者とも連携を強化する」としています。

なお、北海道ではクマが冬眠前に餌を求めて活動を活発にする季節であり、今後も目撃件数の増加が予想されています。町役場や警察は、「クマを見かけた際はすぐ通報し、絶対に近づかないようお願いします」と強く呼びかけています。

クマを寄せつけないために私たちができること

  • ゴミの適正管理: 生ゴミや食品残渣を屋外に放置しない。
  • 不要な外出を控える: 特に早朝や夕方、林や草地付近の散歩を控える。
  • 目撃したらすぐ通報: クマを見かけたり痕跡(足跡・糞など)を発見したら警察や町役場に速やかに連絡。
  • 野外活動時は複数で行動: 物音や鈴を付け、クマに自分の存在を知らせる。
  • ハザードマップの活用: 自治体が公開している危険区域情報を事前に把握し、不要な接近を避ける。

こうした日常生活の注意が、クマを引き寄せないための基本となります。住民一人ひとりが意識を高め合うことが、被害防止に繋がります。

クマに出会ってしまった場合の対処法

万一クマに出会ってしまった場合は、命を守るために冷静な対応が必要です。「走って逃げない」「大声を出さない」ことが原則です。

  • クマと距離を保つ: ゆっくりと後ずさりし、相手を刺激しないようする。
  • 物を投げたり、攻撃しない: クマを刺激して威嚇や攻撃に転じるリスクが高くなります。
  • 小さな子どもやペットを守る: しっかり抱き寄せ、決して走らせたりしない。
  • 通報する: 避難した後、警察や町役場へ速やかに連絡。

住民や観光客がこうした対応を知っていることが、万一の事故防止の鍵となります。

地域ぐるみの見守りが重要

今年度は、今まで山林や郊外に限定されていたクマ目撃が市街地や観光地にも拡大しています。「地域で声を掛け合い、危険の兆候を共有することが安全対策の第一歩です」と町役場担当者は語ります。

七飯町は、住民・学校・観光事業者が連携し、広報活動や安全パトロールを継続。今後も行政・警察・地域が一丸となった警戒態勢が求められます。

おわりに

七飯町でのクマ目撃情報は、野生動物との共生という北海道らしい課題のひとつを、地域全体で考える大きなきっかけとなっています。人と動物が安心して暮らせる地域を目指して、最新の情報を確認し、適切な対策を徹底しましょう。

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