愛知県でインフルエンザ患者が急増、去年より1か月以上早い流行入り
2025年10月、愛知県ではインフルエンザの患者数が急速に増加し、各地で感染拡大への警戒が強まっています。県が実施している感染症発生動向調査によると、10月6日から12日までの第41週において、定点医療機関当たりのインフルエンザ患者報告数が1.10人となり、厚生労働省が定める流行入りの目安である「1.0人」を上回りました。
愛知県は10月16日、正式に「インフルエンザの流行入り」を発表しました。この流行入りは昨年と比較して1か月以上早いペースとなっており、今後さらに本格的な流行となる可能性が懸念されています。
患者数は増加傾向が続く
愛知県内の状況を見ると、インフルエンザ患者数は週を追うごとに増加しています。第40週では93人だった報告数が、第41週には179人へと大幅に増加し、明確な上昇傾向を示しています。
名古屋市の状況も同様で、第42週(10月13日から19日)における市内50定点からのインフルエンザ患者報告数は55人、定点当たり患者報告数は1.10となっており、引き続き流行入りの目安を上回る水準が続いています。さらに、愛知県全体では第42週の定点当たり報告数が1.44人に達し、前週の1.31倍に増加したというデータも報告されています。
検出されているウイルスの型
名古屋市衛生研究所が実施したPCR検査の結果、2025年から2026年シーズンの集団かぜにおいて、インフルエンザウイルスのうちA/H3亜型ウイルスの遺伝子が検出されています。このウイルスは、いわゆるA型インフルエンザの一種で、比較的症状が強く出ることが知られています。
今後の警報・注意報の可能性
現在、愛知県内全域にはインフルエンザ警報・注意報は発令されていません。しかし、県の基準によると、全県平均で定点医療機関当たり「10」を上回った場合にはインフルエンザ注意報が、同じく「30」を上超えた場合にはインフルエンザ警報が発令されることになっています。
現在の報告数は1.44人ですが、増加傾向が続いていることから、今後数週間の動向に注目が集まっています。特に冬季に向けて気温が低下し、空気が乾燥する時期に入ることで、さらに感染が拡大する可能性が指摘されています。
学校などでの集団感染も発生
愛知県内の複数の自治体では、学校における集団かぜ(インフルエンザ様疾患)による学級閉鎖などの措置が取られています。名古屋市、豊田市、岡崎市などでは、それぞれの自治体が学級閉鎖などの臨時休業状況について情報を更新し、市民への注意喚起を行っています。
子どもたちが集まる学校や保育施設では、一人の感染者から急速に感染が広がるリスクが高く、各施設では感染対策の徹底が求められています。
周辺県の状況も深刻化
愛知県だけでなく、周辺の県でもインフルエンザの流行が確認されています。三重県では学年閉鎖の措置が取られるなど、インフル増加の傾向が見られています。また、岐阜県でも各地でインフルエンザが増加しており、第42週の定点当たり報告数は1.27を記録しました。瑞浪市の高校では学級閉鎖措置も実施されるなど、東海地方全体でインフルエンザの流行が広がっている状況です。
愛知県が呼びかける感染対策
愛知県は、今後本格的な流行が予想されることから、県民に対して以下のような感染対策を呼びかけています。
基本的な感染予防策として、こまめな手洗いの実施が推奨されています。特に外出から帰宅した際、食事の前、トイレの後などには、石けんを使って丁寧に手を洗うことが重要です。
また、室内環境の管理も大切です。定期的な換気を行い、適切な湿度を保つことで、ウイルスの活動を抑制することができます。特に冬季は暖房により室内が乾燥しやすいため、加湿器などを活用して湿度を50~60%程度に保つことが望ましいとされています。
早期受診と重症化予防の重要性
県は、感染予防とともに早めの治療の重要性を強調しています。インフルエンザの典型的な症状には、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などがあります。これらの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されています。
特に、高齢者や基礎疾患を持つ方、妊婦、乳幼児などは重症化のリスクが高いため、より一層の注意が必要です。早期に抗インフルエンザ薬を投与することで、症状の軽減や重症化の予防が期待できます。
ワクチン接種の検討を
インフルエンザワクチンの接種も有効な予防策の一つです。ワクチンを接種することで、感染そのものを完全に防ぐことはできませんが、発症率を下げたり、重症化を防いだりする効果が期待できます。特に重症化リスクの高い方は、早めにワクチン接種を検討することが推奨されています。
日常生活での注意点
感染拡大を防ぐためには、一人ひとりの日常的な心がけが重要です。咳やくしゃみをする際には、ティッシュや袖で口と鼻を覆う「咳エチケット」を実践しましょう。使用したティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、その後は手を洗うことが大切です。
また、体調が悪いと感じた場合は、無理をせず自宅で休養し、他の人への感染を防ぐ配慮も必要です。特に発熱や咳などの症状がある場合は、外出を控え、やむを得ず外出する際にはマスクを着用するなどの対策を取りましょう。
医療機関の対応と県民へのメッセージ
愛知県内の医療機関では、インフルエンザ患者の増加に備えて体制を整えています。県では、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、県内163か所の医療機関を定点として、継続的に発生動向調査を実施しており、最新の情報を随時公開しています。
豊橋市や名古屋市などの各自治体も、それぞれのホームページで地域の感染状況を公開し、市民への情報提供と注意喚起を行っています。これらの情報を定期的に確認し、適切な対策を取ることが推奨されています。
まとめ:一人ひとりの予防意識が重要
愛知県では、例年より早いペースでインフルエンザの流行が始まっており、今後さらに感染が拡大する可能性があります。2025年第41週に流行入りが発表されて以降、患者数は増加傾向にあり、第42週には定点当たり報告数が1.44人に達しました。
周辺の三重県や岐阜県でも同様の傾向が見られており、東海地方全体でインフルエンザへの警戒が必要な状況です。学校などでは学級閉鎖の措置も取られており、特に集団生活を送る場での感染対策の徹底が求められています。
県民一人ひとりが、手洗い、換気、加湿などの基本的な感染対策を実践し、体調不良時には早めに医療機関を受診することで、感染拡大と重症化を防ぐことができます。今後の感染状況の推移に注意を払いながら、適切な予防行動を心がけることが大切です。



