「House of the Dragon」、14年の“Game of Thrones”エミー賞連続指名記録に終止符 “期待の続編”が残した空白とその意味

「House of the Dragon(ハウス・オブ・ザ・ドラゴン)」のシーズン2が放送を終え、世界中で話題を呼んでいます。しかし、2025年7月16日に発表された第77回エミー賞ノミネート名簿をめぐり、この大人気ファンタジードラマがかつてない“冷遇”を受けたことが大きなニュースとなっています。その衝撃の事実とそこに込められた業界の評価、そして視聴者やファンの反応について、丁寧にご紹介します。

「Game of Thrones」が築いた14年間の金字塔

2011年にHBOで放送が始まった「Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)」は、全世界で爆発的な人気を獲得し、エミー賞においても無類の強さを発揮してきました。ドラマ作品賞をはじめとして、各賞で常にノミネートされ続け、シーズン8(最終章)まで通算で12部門を制覇。そのうち4シーズン連続で作品賞を受賞し、エミー賞史上最多記録に並ぶ快挙を達成しています。
この「Game of Thrones」で培われたファンタジー・ドラマの世界観と人間模様を、その前日譚として幕を開けたのが「House of the Dragon」です。初シーズンから大きな注目を集め、視聴者数でも高い人気を維持してきました。そんな中、2025年7月16日(米国時間)に発表されたエミー賞ノミネートで、まさかの事態が起きたのです。

第77回エミー賞ノミネートで「House of the Dragon」はゼロ選出

今年のエミー賞候補リストによると、「House of the Dragon」は主要部門どころか、演技賞や技術賞を含む全てのカテゴリーでノミネートされませんでした。この事実は、シリーズ初年度から続く「Game of Thrones」ブランドの“エミー常連”としての連続記録が途絶えたことを意味します。
「Game of Thrones」は、最盛期には数多くの部門でノミネートされ、俳優陣やスタッフにも栄光をもたらしました。しかし、「House of the Dragon」シーズン2はエミー賞ゼロノミネートで、その流れが完全にストップしたのです。番組のクオリティや話題性、さらに視聴者からの反響を考えると、意外な結果と言わざるをえません。

“エミー賞ノミネート連続記録終了”のインパクト

「Game of Thrones」を母体とするヒットシリーズでありながら、「House of the Dragon」の今回の結果は、業界内外に大きな衝撃を与えています。HBOの大きな看板番組として期待されていただけに、その評価が大きく下がったわけではないのに、ゼロノミネートとなったことは、エミー賞の傾向と評価軸が変化していることの現れかもしれません。
エミー賞のノミネートリストでは、ドラマ部門だけでなく、コメディやミニシリーズ、エンターテインメント番組など多様なジャンルの作品が選ばれています。こうした中で、ファンタジー・ドラマの枠組みが相対的に縮小している可能性も考えられます。
また、昨年の「House of the Dragon」シーズン1でも、同じく主要部門でのノミネートはありませんでした。これで2年連続となると、ただの“不運”とは言い切れません。もしかすると、エミー賞が歴史的に“リアリズム志向”に傾いていることや、ファンタジー作品に対する審査員の評価の厳しさが影響しているのかもしれません。

ファンや業界関係者の反応は

今回のノミネート騒動は、SNSなどでも大きな話題となっています。多くのファンは「制作の質は高いはずなのに」「ストーリーもキャストも素晴らしかった」と残念がる声が目立ちます。一方で、「エミー賞はあくまで業界内の評価。視聴者や視聴率は反映されない」と冷静に受け止める意見も少なくありません。
業界関係者からも「エミー賞だけがすべてではない。制作陣やキャストへの努力は変わるものではない」との声があがっています。この結果が今後の制作姿勢やスタッフ体制に影響を与えるかどうかはまだ未知数ですが、少なくとも“エミー賞常連”という名誉からは降りることになりました。

「House of the Dragon」の独自の歩み

エミー賞ゼロノミネートという結果が示しているのは、番組独自の“評価軸”の存在です。視聴者数や話題性、さらに配信プラットフォームの利用増加など、“数字”による成功は揺るぎないものがあります。
「Game of Thrones」の偉大な後継者としてスタートした「House of the Dragon」ですが、エミー賞という権威ある舞台での評価とは切り離して、これからも独自の進化を続けていくことが予想されます。オリジナルとは異なる視点や魅力が、今後どのように受け入れられるか、注目したいところです。

今後の展開に期待

第77回エミー賞授賞式は2025年内に開催される予定ですが、今回の「House of the Dragon」の結果は、今後のドラマ評価のあり方にも一石を投じるものとなりました。番組の質や視聴者の支持と、業界の評価が必ずしも一致するわけではないという現実を、改めて浮き彫りにした出来事です。
「Game of Thrones」の栄光から一歩踏み出し、新たな道を模索し始めた「House of the Dragon」。エミー賞の評価は1つの通過点にすぎません。これからも世界中のファンが楽しみにしているだけに、今後の作風やキャスティング、そしてストーリー展開に期待が高まります。

まとめとこれからの展望

「House of the Dragon」は、「Game of Thrones」が築き上げた14年のエミー賞常連記録に、意外な形で終止符を打ちました。しかし、その評価は視聴者やファンをはじめ、業界にも大きなインパクトを与えています。エミー賞というフィルターを通して、ファンタジードラマのもつ魅力や課題が再確認されたとも言えるでしょう。
今後は、さらなる新シリーズやスピンオフ作品など、HBOが描く“空想世界”の新たな可能性にも注目が集まります。エミー賞の評価とは別のリアルな支持が、次の時代を切り開く鍵になるのではないでしょうか。今後の「House of the Dragon」、そしてHBOの挑戦から、目が離せません。