ライトオン、大量閉店の背景にある真実とは
ジーンズカジュアルチェーン大手のライトオンが2025年8月末までに約100店舗もの閉店を予定しており、業界に大きな衝撃を与えています。かつては全国に約446店舗を展開し、売上高1066億円を記録した時期もあった同社ですが、その規模が急激に縮小しているのです。
「ダサいから客が離れた」という風潮も一部ありますが、それだけでは説明しきれません。ライトオンの大量閉店は出店戦略の大幅シフトや競争激化が複合的に影響しています。もともとロードサイド中心の店舗展開からショッピングセンターのテナント出店へと切り替えたことが、新たな試練をもたらしました。
2024年8月期の決算は、売上高が前年より17.3%減少し388億円、営業利益は50億円の赤字と6期連続で最終赤字を計上。さらに2025年も業績悪化が続く見通しです。これを受けて、ワールドの持分会社がライトオンの株式公開買付(TOB)を実施し、経営再建を進めています。
具体的には、不採算店舗の大胆な閉鎖と本部人員の削減によるコストカットが進められている状況です。昨年は35店舗、今年に入っても段階的に店舗が閉鎖されており、この流れはまだ続く見込みとなっています。
競争相手との厳しい戦いと出店戦略の変化
ジーンズ全盛期にライトオンが独走できた背景には、業界内での競争相手が比較的限られていたことがありました。しかし近年はファッション業界の変化も激しく、顧客ニーズの多様化に対応しきれず、競合店に押される形となります。
また、ショッピングセンターでのテナント展開にシフトしたものの、そこは他ブランドとの競合も激しく、十分な集客力を維持できないケースも少なくありません。これらの要因が重なり売上不振に直結し、多額の赤字を生む結果となりました。
海老名市のライトオン海老名ビナウォーク店、8月17日に閉店へ
神奈川県海老名市にあるライトオン海老名ビナウォーク店も、閉店対象のひとつとなりました。閉店日は2025年8月17日と発表されており、現在閉店にあたって感謝を込めた特別セールを実施中です。
ビナウォーク店は地域のファンや常連客も多く、閉店決定の知らせには惜しむ声もあがっています。期間限定のセールでは、店内の人気商品が割引価格で提供され、最後の買い物を楽しめるよう工夫がされています。
今後のライトオンの取り組みと課題
ライトオンはワールドの支援体制のもと、不採算店舗の整理に加えてITの活用や生産面の効率化など、再建に向けた様々な改革を進めています。しかし、店舗を削減しつつ新たな成長戦略を描くのは簡単ではなく、特に若年層を取り込むブランド力の再構築が大きなテーマです。
消費者のファッション嗜好が多様化し、店舗だけでなくEC(オンライン販売)との連携も強化が必要とされています。ライトオンが今後どのように競争環境に適応し、ブランドの魅力を再確立できるかが注目されます。
まとめ
- ライトオンはかつて業界最大手だったが、近年の競争激化と出店戦略の転換により業績が悪化。
- 2025年8月までに約100店舗を閉鎖し、店舗規模を半減させる見込み。
- 海老名ビナウォーク店も8月17日で閉店し、特別セールを開催中。
- 大幅な人員削減と本部の構造改革を進めながら、経営再建を図っている。
- 今後はブランド力強化とデジタル活用が重要な課題となっている。