東武東上線全線開通100周年記念で「ぶどう色1号8000型」が登場
2025年7月10日、東武東上線は全線開通から100周年を迎えました。これを記念し、東武鉄道は8000型の81111編成(4両編成)を「ぶどう色1号」に特別塗装し、7月13日より営業運転を開始しました。この塗装は1925年(大正14年)当時、東上線の前身である東上鉄道の客車で使われていた色をイメージして再現したものですが、当時の正確な資料が残っていないため文献を参考にしたイメージであることが特徴です。
「ぶどう色1号」とは? 過去との違い
「ぶどう色」と聞くと、多くの鉄道ファンは以前の客車やSL「大樹」の客車で使われている「ぶどう色2号」を思い浮かべるかもしれません。しかし、今回の東上線100周年記念で登場した「ぶどう色1号」は、客車に使われるものとは色味が異なっています。
- 東武鉄道は「ぶどう色1号」を1925年当時の客車色としてイメージ復刻。
- しかし、客車の「ぶどう色2号」とは濃淡や色のトーンが異なり、1号は少し異なる葡萄酒の色調を表現。
- 当時の正確な色コードや写真が存在しないため、文献等の資料を基にしたイメージカラーである。
この違いについて、かつての東武東上線の車両デザインと歴史的背景を踏まえながら検討された結果、今回の「ぶどう色1号」は「往年の東上鉄道の雰囲気を大切にしつつ、現代の車両にふさわしいカラー」として採用されたという説明です。
8000型の特別塗装車 81111編成の特徴
- 81111編成は、2014年からは東上線開業100周年を記念した「セイジクリーム」色に塗装されていましたが、今回そのカラーを終えました。
- 車両側面には、東武鉄道の昔の社章を再現した装飾が施されています。
- 前面には「東上線池袋~寄居間全線開通100周年」のヘッドマークが取り付けられ、7月から10月14日まで掲出予定です。
- ヘッドマークのデザインは円形で着脱可能な仕様で、50090型の「TJライナー」にも同じデザインのものが楕円形に近い形で設置されています。
100周年イベントや臨時ツアーも開催
8000型「ぶどう色1号」登場と同時に、7月13日には森林公園駅集合の記念撮影会や臨時列車の運行が実施されました。参加者は森林公園検修区にて、50090型TJライナーとの記念撮影を楽しんだほか、列車乗車中には記念乗車証明書やオリジナル弁当、さらには「さよならセイジクリーム8000型」デザインの下敷きも配布されました。
この特別ツアーの参加費は大人12,000円、子ども10,000円で、200人限定の募集となりました。鉄道ファンや地域の利用者にとって特別な記念行事となっています。
7月23日には東武東上線のダイヤ乱れも発生
一方で、同月23日には東京メトロ副都心線の19時52分頃、東武東上線下赤塚駅~成増駅間の踏切で安全確認が行われた影響で、東上線のダイヤに乱れが発生しました。利用者は運行情報の確認が必要となり、鉄道会社も遅延の影響軽減に努めています。
まとめ
2025年の東上線全線開通100周年は、地元の鉄道ファンや地域住民にとって大切な節目となりました。「ぶどう色1号8000型」の登場は、1925年当時の歴史を色彩で再現しつつ、過去と現在をつなぐ象徴的な試みです。色の違いについても、往年の客車「ぶどう色2号」と区別しながら、あえて新たなイメージで表現されています。
この100周年を祝う取り組みは、記念イベントや特別ツアーを通じ、地域の鉄道文化に新しい風を吹き込みました。今後も、東武東上線は歴史と現代技術を融合させながら多くの人々に親しまれていくことでしょう。