ソフトバンク、次世代半導体ベンチャー「ラピダス」への追加出資を表明

2025年8月5日、ソフトバンクの宮川潤一社長が次世代半導体開発企業の「ラピダス」への追加出資について記者会見で語り、「できる範囲で協力していく」との意向を明らかにしました。この発言は、国内で半導体の国産化を加速させる政策的な追い風のなか、企業間の連携や資金供給が重要視される中で注目されています。

ラピダスへの追加出資の背景と現状

ラピダスは国内の次世代半導体の量産を目指すベンチャー企業で、日本政府も2025年3月に同社への5,400億円(54億ドル)規模の大型出資を発表しており、国家プロジェクトの一環として期待が寄せられています。しかし、宮川社長はラピダスについて「課題が山積み」と現状の困難さも強調しています。

宮川社長は、「半導体は製造することだけがゴールではなく、販売まで続けることが重要であり、資金・売り先・技術開発のバランスが絶対に必要」と述べ、企業としての成長には多角的な支援が不可欠だと語りました。また、追加出資の具体的な金額は非公開ながら、「驚くような額ではない」として、慎重ながらも継続的な支援の意志を示しています。

社内での意見の違いも示唆

さらに、宮川社長は今回の追加出資について「社内で私に怒る者が一人だけいる」と述べ、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が反対の立場だったことをほのめかしました。この発言から、ラピダスへの支援には社内でも意見が分かれる複雑な状況があることが分かります。

通信大手との協業検討も進行

一方、ソフトバンクはトヨタ自動車やNTTが推進する人工知能(AI)や通信基盤開発の協業にも参画を検討しており、次世代技術の開発と産業連携を活発化させています。宮川社長は自動運転や交通の安全・効率化を支えるAIやデジタルツイン技術の研究成果を背景に、幅広い先端技術の連携による社会課題解決を目指す姿勢を示しています。

泊原発再稼働に向けた国の動きと地域の対応

同日、北海道では泊(とまり)原子力発電所の再稼働に向けた政府の取り組みが加速していることも報じられました。国のエネルギー庁幹部が地域の村長や北海道知事を訪問し、理解と協力を求める活動を強化しています。

泊原発は北海道電力が運営する唯一の原子力発電所であり、地元との十分な合意形成が再稼働の鍵となっています。エネルギー政策の観点から、安定的な電力供給や脱炭素化への貢献が期待される一方で、住民の安全面の懸念も根強い状況です。

地域の声と政府の対応

  • 地元村長や北海道知事は慎重な姿勢を示しているが、政府幹部と直接対話し再稼働の必要性を説明
  • 安全対策の強化や新たな規制遵守体制の整備について具体的な説明を行うことで理解促進を図る
  • 地域経済への影響や住民合意の形成が今後の焦点となる

まとめ

今回のソフトバンク社長によるラピダスへの追加出資発表は、日本の半導体産業の国際競争力強化への強い意思表明と位置づけられます。政府の大型出資と民間企業の協力により、技術開発と量産体制の確立が期待されています。しかしながら、資金面だけではなく販売戦略や技術開発のバランスを取る必要があり、課題は依然大きい状況です。

また、同時に北海道の泊原発再稼働に向けた国の地元調整が進むなど、エネルギー政策の大きな転換期にあることも明らかになりました。今後、ラピダスや原発問題を含む日本の重要産業とエネルギー政策の動きから目が離せません。

参考元