屋久島・十島村などに観測史上最大の大雨 鹿児島県内の土砂災害警戒情報は全て解除
記録的な大雨に見舞われた屋久島と十島村
2025年10月下旬、鹿児島県の屋久島町と十島村では、観測史上1位となる記録的大雨に見舞われました。今回の大雨は、停滞した秋雨前線とそれに伴う暖かく湿った空気の影響により、屋久島や種子島の周辺地域、さらに十島村を含む広範囲に強い雨雲がかかり続けたことが原因とされています。
とくに屋久島町尾之間では、72時間雨量が333ミリに達し、これまでの観測史上最多となりました。また、1時間に81ミリという猛烈な雨も観測され、同地域だけでなく、十島村や種子島内でも雨量が200ミリを超える地点が相次ぎました。
住民生活への影響と避難指示の発表
豪雨の影響で、屋久島町や十島村では土砂災害の危険が大幅に高まりました。2025年10月21日夜から22日にかけて、鹿児島県は中種子町、南種子町、十島村に土砂災害警戒情報を発令し、さらに十島村全域には避難指示が出されました。島内各地に避難所が開設され、警戒を呼びかける広報も繰り返し放送されました。
住民の声として、「10月にここまで長く大雨が続くのは珍しい。フェリーが止まれば生活物資が届きにくくなり、島民は非常に困る」といった不安の声が聞かれました。
気象庁や鹿児島地方気象台による警戒呼びかけ
鹿児島地方気象台は、「大雨によって地盤が緩んでいるため、局地的に土砂災害が発生するおそれがある」と厳重な注意を呼びかけました。屋久島や十島村では大気の状態が非常に不安定となり、落雷や突風、竜巻などの激しい気象にも注意が必要とされました。
- 20日午前5時から22日午後6時までの総雨量:屋久島町小瀬田で227.5ミリ、十島村平島で228.5ミリ。
- 土砂災害警戒情報発表中、十島村では全島に避難指示。
- 23日正午までの24時間予想雨量:屋久島地方120ミリ、十島村100ミリ。
交通機関への影響と地域の混乱
大雨とその警戒情報の影響で、交通にも大きな乱れが発生しました。とりわけ海路を中心に、種子屋久高速船やフェリー屋久島2、プリンセスわかさなどのフェリー便が相次いで欠航となり、物資輸送や住民の移動手段に大きな支障が出ました。22日だけでも、複数の主要航路が運航休止となりました。
また、土砂災害警戒情報が発表されていた中種子町や南種子町、西之表市でも大雨警報が発令され、住民の間に緊張が広がりました。報道各社も、各地の雨量や交通状況を細かく報じ、市民への情報周知に努めました。
鹿児島県内の土砂災害警戒情報、すべて解除へ
強い雨は25日未明には次第に弱まり、午前9時20分には鹿児島県内に発表されていたすべての土砂災害警戒情報が解除されました。これにより多発的な土砂災害の危険性は少なくなりましたが、県は「局地的には地盤が緩んでいる所もあり、引き続き十分な注意が必要」としています。
各離島では避難指示も順次解除され、住民らは一息つきましたが、今後も警戒を緩めないよう各自治体が呼びかけています。
種子島・屋久島・十島村の気象と防災意識
今回の大雨は、前線の停滞と暖湿気流による典型的な島嶼部の気象災害でした。通常、屋久島などの多雨地域ではあるものの、1週間で観測史上最大となった雨量や、断続的な強い雨による住民生活へのダメージは計り知れません。
島の生活基盤は船便に大きく依存しています。そのため、悪天候による海路のマヒや、食料・医薬品などライフライン物資の確保は地元行政・住民自治体にとって大きな課題です。また、近年は異常気象や台風の巨大化に伴い、「想定外」の降雨や災害も発生しやすい状況となっています。
今後の天候と生活への影響予測
最新の気象予報によると、種子島や奄美大島では10月末まで雨が続く可能性がある模様です。週末は一時的に気温が上昇し、25度を超える地点も多い見通しですが、来週以降は秋らしい肌寒さが増していく予報となっています。気温の変化も非常に大きいため、住民の方々には体調管理への注意が求められています。
屋久島町や十島村では、猛烈な雨に備えた避難体制や情報連絡網の再点検、また町内の斜面や河川など危険個所の点検も引き続き呼びかけられています。島特有の急斜面地形を有する屋久島では、少しの雨でも小規模な土砂災害が発生するリスクがあるため、気象台や自治体からの発表に耳を傾けながら、早め早めの避難・安全確保を徹底することが大切です。
- 県や自治体の情報提供SNS・ホームページの活用
- ラジオやテレビによる最新気象情報の確認
- 家庭や自治会での備蓄・避難場所の事前確認
- ご近所同士の助け合いによる「共助」の推進
屋久島・十島村を見守る住民たちの今
大規模災害が発生しなかったことは幸いなことですが、今回の大雨でいかに自然の脅威と向き合いながら暮らす大切さが再認識されました。屋久島町民の男性は「これだけの雨が降ると、普段は安全だと思っていた場所でも危険が潜んでいる。最新情報を常に意識し、地域で声をかけあっていきたい」と語りました。
県や気象台、地域の報道機関も連携を強め、今後も災害時の情報発信や住民向けサポートのあり方を見直しています。安全な日常、そして自然と共存する島暮らしのために、一人ひとりが防災意識を高く持ち行動していくことが求められています。



