南海トラフ巨大地震に備える――最新情報と家族でできる防災対策
はじめに
南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に発生する確率がおよそ80%とされ、静岡県から宮崎県にかけての広範囲で最大震度7、場合によっては最大30メートルを超える津波も想定される非常に深刻な災害です。
日本政府および各自治体は、発生に備えたガイドラインや避難対策の強化を進めています。
本記事では、最新の被害想定、ガイドライン改訂のポイント、夏休みの家族防災アクションをやさしく解説します。
南海トラフ巨大地震の基本情報と被害想定
南海トラフは、静岡県沖から九州沖に至るプレート境界です。
ここでは過去にも大地震が繰り返し発生してきました。
令和7年3月に公表された政府の最新被害想定によると、南海トラフ巨大地震が発生した場合…
- 最大震度7:静岡県~宮崎県の一部
- 震度6強~6弱:周辺広範囲が強い揺れに見舞われる
- 巨大津波:関東~九州の太平洋沿岸広域に10mを超える津波が押し寄せる
- 最大被災面積:日本全土の約3割に及ぶ
- 31都府県・764市町村に3メートル以上の津波ないし震度6弱以上が及ぶと予測
- 日本人口の半数以上が何らかの影響を受ける可能性
この巨大地震は、一度発生すると過去に類を見ない甚大な被害が想定され、個人・家族・地域レベルでの事前対策が不可欠です。
地震予知と発生確率の現状
「2025年●月に大地震が起きる」という噂がSNSなどで流れることがありますが、日本の公的機関からは科学的根拠のある日付特定の地震予知・警報は一切発表されていません。
気象庁や地震本部による発生率80%という数値も、あくまでも“今後30年以内”という長期的な統計に基づくものです。
過度な風評や虚偽情報に流されず、公的機関の発表に基づいた備えを心がけましょう。
南海トラフ地震「臨時情報」ガイドラインの改訂
南海トラフ大地震対策で重要なのが「臨時情報」です。
これは、周辺で大きな地震や異変が観測された時、政府が安全のために避難や警戒を呼びかけるものです。
2025年にはこの運用ガイドラインが改訂され、次のような点が明確化されました。
- 住民や自治体に過度な混乱や過剰避難を与えず、本当に必要な情報・行動を促すこと
- イベントや行事などは「中止ではなく、原則継続が望ましい」と明記
- 「臨時情報」発表時の避難は「広域一律」ではなく、想定される被害状況や地元事情をもとに自治体・個人で判断すること
これにより、市民の経済・社会活動を必要以上に制限せず、一方で災害時には迅速・的確な避難がしやすくなりました。
家族でできる防災――夏休みがチャンス
今回は、山梨県などの商業施設で行われている「防災用品特設コーナー」と、それを活用した家族防災の動きに注目します。
2025年夏、夏休みを使って家族で防災意識や備えを高める取り組みが増加しています。
防災用品コーナーで学ぼう
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防災グッズ:
非常食、水、懐中電灯、モバイルバッテリー、携帯トイレ、ラジオ、医薬品など -
家族向けセット:
乳幼児・子ども用のミルクやオムツ、高齢者用サポートグッズ、ペット対応グッズ等、家族構成に合わせてカスタマイズ -
オススメは「防災化粧ポーチ」:
必要最低限の化粧品や衛生用品をまとめ、防災バッグと一緒に準備しておくと安心
特設コーナーでは、防災に関する豆知識やミニワークショップも行われています。
子どもが楽しみながら災害時の知識を身につけられる工夫がされています。
家族で備えるポイント
- 家庭の防災会議を開き、避難先や連絡方法を確認しあう
- 非常持出袋の中身を子どもや高齢者にも分かるよう一緒に点検・補充する
- 年に一度は避難経路の確認や地域防災訓練に親子で参加する
- 避難カード・緊急連絡先リストを全員が持つ
防災への備えは「普段の暮らしの延長」として無理なく取り入れるのがコツです。
例えば食料や水の「ローリングストック(使いながら備蓄)」や、日常のカバンに入る最小限のサバイバルキット作りなどがおすすめです。
商業施設・自治体の啓発活動
商業施設では防災イベントや体験型展示を開催し、地域全体で災害に強くなる動きをサポートしています。
自治体では防災マップや避難所案内、災害伝言ダイヤルの使い方などを家族連れでもわかりやすく紹介しています。
夏休みを利用して家族で防災拠点に足を運んでみるのも良いでしょう。
正しい情報収集の大切さ
インターネットやSNSでは、予言情報や根拠のない噂(フェイクニュース)が拡散されやすくなっています。
正しい情報は、気象庁や自治体公式サイト、NHKなど信頼できる公的機関、報道機関から得ることが大切です。
「いつ起きるかわからない」からこそ、日ごろの冷静な行動と、正確な情報収集が命を守ります。
おわりに:一人ひとりの備えが未来を守る
南海トラフ巨大地震は、どこに住んでいても「自分ごと」として備えが必要な災害です。
国・自治体・商業施設の災害備蓄や啓発に加えて、一人ひとりが具体的な備蓄・家族での避難計画を持ち、「今できること」を行動に移すことが大切です。
気象庁ほか各公的機関の発表とともに、地域や家庭でも「自分たちの命は自分たちで守る」意識を忘れず、安心して暮らせる社会を一緒につくっていきましょう。