北陸新幹線延伸計画、大阪府が「米原ルート」も含めた比較検討を要求
大阪府の吉村洋文知事は2025年7月29日、現在進められている北陸新幹線の敦賀以西延伸計画について、これまで決定的とされていた福井県小浜市から京都市を経由する「小浜・京都ルート」だけでなく、「米原ルート」も含めた比較検討を行うべきだという強い意向を示しました。この発言は与党が推進する小浜・京都ルートに懸念を示す京都府や京都市の姿勢を受けてのもので、大阪府として慎重な判断を求める姿勢が鮮明になっています。
「小浜・京都ルート」への懸念と大阪府の立場
北陸新幹線の大阪延伸についてはこれまで、与党のプロジェクトチームが福井県小浜市から京都市を経由して大阪に至るルートを推進してきました。しかし、京都府や京都市はこのルートに関して、建設費負担の大きさや地下水への影響といった環境問題を懸念し、反対もしくは慎重な検討を求めています。
こうした中で大阪府の吉村知事は「米原ルート」も併せて公平に検討し、より良いルート選定を行う必要があると主張。具体的には、現行案との比較検討を通じて、費用対効果や環境への影響、地域住民の利便性など多角的な観点から判断を下したい意向を示しています。
延伸建設促進大会の延期と超党派会議体の提案
また、こうした大阪府の強い姿勢により、北陸新幹線延伸計画を推進するために予定されていた建設促進大会が延期されることも発表されました。大阪府側は、現状での一方的な決断を避け、関係各所と連携した慎重かつ透明な検討プロセスを重視するための措置と説明しています。
加えて吉村知事は、国の中央官庁や関係自治体の議員たちが参加する超党派の会議体を新たに設置する提案も行いました。これにより、多様な利害を持つ関係者が対話しながら、最適な選択肢を模索できる環境を整えたいとしています。この会議体は大阪府の呼びかけで動き出す見込みで、具体的な設立時期やメンバー構成は今後詰められていく予定です。
北陸新幹線延伸問題の注目点と今後の展望
- 経済効果と地域活性化: 北陸新幹線の大阪までの延伸は観光誘致や物流の効率化に寄与し、経済活性化が期待されている。
- 環境への配慮: 地下水への影響をはじめ、自然環境保護の観点からもルート選定には慎重さが求められる。
- 自治体間の調整: 福井県・京都府・大阪府といった複数の自治体間での利害調整が計画推進の鍵となる。
大阪府が「米原ルート」の比較検討を強調したことで、北陸新幹線の大阪延伸をめぐる議論は新たな局面を迎えました。今後も超党派の会議体による多角的な検討を経て、最終的なルート選択がどのように決まっていくのか、注目が集まります。