ニデックの2025年4~6月期決算速報:営業利益は微増も最終利益は減少
ニデック株式会社(証券コード:6594)は2025年7月24日、2026年3月期第1四半期(4~6月)の業績速報値を発表しました。それによると、営業利益は前年同期比で約2.3%増加しましたが、最終利益は18.7%減少して455億円となりました。この営業利益の微増には、生産拠点の集約による関税負担の軽減効果が挙げられていますが、為替の円高傾向が収益面で重荷となりました。
生産拠点集約で関税影響を軽減、収益構造の改善を推進
ニデックはグローバルな生産体制の見直しを進めており、特に関税が高まる地域における生産拠点の合理化を行っています。これにより通商コストや関税負担を吸収し、営業利益の底上げに成功しています。具体的な効果として2025年4~6月期営業利益が前年同期を上回る結果となりました。この取り組みは、ニデックが掲げる高収益構造への転換の重要な施策の一環として位置付けられています。
円高の進行が収益圧迫、最終利益の減少に影響
一方で、2025年の第1四半期では為替相場の変動が企業収益に大きく影響しました。特に円高の進行が輸出関連の利益率を低下させ、最終利益は前年同期から約19%の大幅減となりました。ニデックの売上高も1.6%減の約6379億円となり、これが連結業績の減益につながっています。こうした為替変動リスクはグローバル展開企業に共通する課題であり、今後の注視が必要です。
子会社の関税調査による決算開示の延期
さらに、イタリアにあるニデックの子会社で貿易取引に関連した関税問題の追加調査が行われていることが公表されました。この調査結果がまだ出そろっていないため、第1四半期の決算短信の正式な開示は予定より遅れ、四半期末から45日を超える見通しです。この調査結果次第では費用の追加計上などが生じ、現状の速報値が修正される可能性も示唆されています。こうした不確定要素が投資家心理に与える影響も注目されています。
株価の動きと市場の反応
- 2025年7月24日の取引終了後、ニデック株は前日比+1.16%の上昇となりました。
- 株価は3000円台への回復を期待する声も出る一方、子会社の関税調査による不透明感が警戒されています。
- 投資家の間では、今回の決算速報値が示す内容に注目が集まり、中長期の成長戦略と為替リスク対応が焦点となっています。
今後の展望と課題
ニデックは2025年3月期に売上高2兆6,070億円、営業利益2,402億円で過去最高を記録しており、その成長を継続させるため新中期経営計画では2027年度の売上高2.9兆円、営業利益3,500億円を目標に掲げています。今回の四半期決算では為替の影響と子会社調査という短期的な課題がありますが、生産拠点の集約による効率化で営業利益は拡大しています。今後は調査結果の公表と為替動向の注視が必要であり、これらの要因が株価にも影響を与える可能性が高いと言えます。
以上の点から、ニデックはグローバルな経済動向や内部管理の透明性に注力しつつ、経営の効率化と収益力向上を進めていく段階にあります。投資家にとっては現状の情報を踏まえた慎重な判断が求められる状況が続くでしょう。