ニデックの2025年4~6月期決算発表:純利益19%減少も業績全体は堅調

2025年7月23日、ニデック株式会社は2025年4~6月期の決算を発表しました。この期間の純利益は前年同期比で19%減少しました。主な減益要因は、為替差損の影響を受けたことです。一方で、主力のデータセンター向け事業は好調に推移し、業績の下支えとなりました。

決算の概要と利益状況

ニデックは、2025年3月期に過去最高の売上高2兆6,070億円(前期比11.1%増)と営業利益2,402億円(同48.4%増)を達成しています。営業利益率は9.2%に向上し、AI関連や車載分野での収益改善が寄与していました。今回発表された4~6月期では、純利益が前年同期比で19%減少したものの、営業利益率の大幅な低下は見られず、事業の基盤は堅調であることがうかがえます。

為替差損が利益圧迫の主因

ニデックはグローバルに事業を展開しているため、為替の変動が業績に大きな影響を与えます。今回の減益は、特に米ドルやユーロなど主要通貨に対する円高進行に伴う為替差損が利益を圧迫したことが要因です。これにより、売上げ自体は安定または増加傾向にあっても、利益面では影響を受ける形となっています。

データセンター向け製品の堅調な需要

ニデックの強みの一つであるモーターや精密部品は、AIやビッグデータの活用拡大に伴うデータセンター市場での需要が引き続き旺盛です。この分野での好調が、為替差損やその他のマイナス要因を相殺し、一定の収益を確保する助けとなっています。

2026年3月期の見通しと市場の反応

ニデックは今後の2026年3月期に関しても、経常利益が前期比で14%程度の増加を見込んでおり、過去最高益の更新を目標としています。アナリストの間でも、同社に対する強気の評価が続いており、7月22日には日系大手証券がレーティングを「強気」のまま維持し、目標株価を3,430円へ引き上げました。これに伴い、株価も2025年7月23日時点で2,898円と安定した動きを示しています。

今後のビジネス展開の主な予定

  • 7月24日にニデックは今後の事業戦略や中期経営計画に関する詳細な発表を予定しており、2027年度までの売上高2.9兆円、営業利益3,500億円を目指す高収益構造への転換計画の進捗が注目されます。
  • AI関連分野や車載事業のさらなる成長に加え、海外市場でのリスク管理強化と為替ヘッジの戦略も焦点となる見込みです。

まとめ

ニデックの2025年4~6月期決算は純利益が為替差損の影響で19%減少となり、一時的な逆風に直面しました。しかし、データセンター向け製品の好調やAI・車載事業の収益改善に支えられ、全体の収益基盤は強固な状況です。市場の評価も高く、今後の中期計画での成長に期待が集まっています。

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